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『売る広告』の立場から見た広告のアカウンタビリティ「宣伝会議」3月号

category
公開論文
writer
後藤 一喜
series
その他の寄稿
date
2000年1月27日
themes
その他

売上でアカウンタビリティを測る
製品やサービスの価格に広告費が上乗せされていることを考えれば、広告にアカウンタビリティ(計測性と説明責任)を求めることに異を唱える人は、多分一人もいないだろう。しかし、広告の効果を売上で測ろうと言い出すと、同業者ばかりか広告主からまで否定され兼ねない。その理由の多くは「アカウンタビリティは短期・長期、定量的・定性的、蓄積効果・疲弊率など多面的に捉えられるべきであり、売上だけで短絡的に測るなど以っての外」といったところだ。

『売る広告』から『ブランド力強化の広告』へ
元来、広告とはより多くモノを販売するための手段として発生したはずであり、当初の広告主とは販売者であり、生産者とも同じだったかも知れない。ところが工業化社会(大量生産→大量消費の仕組みによって経済効率の最大化を実現させる社会)の出現とその進化により、生産と流通の分業化が進んだために、広告主の中心も販売者ではなくなってしまった。同時に広告自体もそれ以前のような直接販売を推進させる『売る広告』から、間接的で側面的コミュニケーションの『ブランド力強化の広告』へと変わって行った。

『ブランド力強化の広告』
改めて説明する迄もないが『ブランド力強化の広告』の特徴とは、売るこを直接の目的としないという点に尽きる。アカウンタビリティを売上で測ろうという提案に『ブランド力強化の広告』支持派が抵抗するのも、目的が根本的に異なるという点に尽きるだろう。逆の言い方をすれば『ブランド力強化の広告』とは、売ることが広告ではなく、流通チャネルの仕事だということを広告主も広告会社も、お互いに理解し納得し合った上で作られていると言える。したがって、これらの広告と、買う側である生活者との関係も、向き合っているように見えて、一方通行であり、双方向的なものではない。とは言うものの、工業化社会において「大量生産→大量消費の仕組み」をより促進させて行くためには「売ること」と「広告すること」も、分業化させた方が合理的で効率も良かったに違いない。そしてこの仕組みを決定付けたのが、テレビの出現だった。

広告が失ってしまったもの?
広告は原始的な『売る広告』から近代的な『ブランド力強化の広告』へと変容することにより巨大産業化したが、その過程においてもし失ってしまったのものがあるとすれば、それは生活者とのインタラクティブな関係性だろう。もちろん、広告主も広告会社も、この辺りについては十分に理解しているので、生活者調査には力を入れているが、調査で得られる意識や態度に関するデータと、実際の行動とでは大きな隔たりがある場合が少なくない。結局のところ、生活者と製品やサービスのインタラクティブな接点とは"売り場"にしか無いのだ。結果として多くの『ブランド力強化の広告』が、それに接した生活者に対して、例えば以下のような印象を与えている可能性がある。

  1. 生活者が常に情報に飢え、モノに飢えていると勘違いしている。
  2. 製品やサービスに売れない可能性があることを疑っていない。
  3. 目立てば良いと勘違いしている。
  4. 「認知」「知名」のゴールが売ることにあるのを忘れている。
  5. 見てもらえる、読んでもらえる、理解してもらえると勘違いしている。

『売る広告』のトレンド
当然『売る広告』の特徴とは、売ることを目的とするという点に尽きる。逆に言えば、購入という生活者の"行動"を促すということであり、意識や態度にのみ影響を与える『ブランド力強化の広告』とは異なる。とは言うものの、現在の生活者は一回の広告メッセージだけで購入を決意する程単純ではなく、また『売る広告』が扱う商品やサービスも、店頭に並ぶ大量生産品よりは複雑な場合が増えてきている。そこで広告で直接注文を取る"1ステップ型"ではなく、「資料請求」「サンプル請求」あるいは「説明会参加募集」など、広告の後に用意された別のコミュニケーションにより販売に結び付けようという"2ステップ型"の広告が最近の『売る広告』のトレンドとなっている。近頃よく見掛ける「自動車保険」や「ガン保険」の広告などもこれに当てはまることになる。

『売る広告』はセールスマン?
例えば、通信販売は『売る広告』そのものと言えるが、多分、一般の広告制作者は、通販広告を"売り場"として捉えているに違いない。ところが『売る広告』の制作者は、売り場ではなくセールスマンだと考えているのだ。もし、売り場だとすれば、商品は並べて置けば売れるということになるが、セールスマンだと思うと、放って置いたのでは売れないということに気付くはずだ。広告でモノを売るということは、蕎麦屋が店に入って来た客に蕎麦を売るのとは訳が違う、広告のターゲットはお腹を空かせているとは限らないし、蕎麦好きとも限らない。漫然と構えているだけでは店に入って来ないどころか、足すら止めないからだ。

まとめ
確かに『ブランド力強化の広告』のアカウンタビリティを、売上だけで測ろうと言うのは的外れかも知れないし、『ブランド力強化の広告』を『売る広告』と同じ土俵に乗せて比べようと言うのもフェアと言えないかも知れない。ただし、生活者にとって広告の課題となった商品やサービスの購買機会が極端に少なかったり、購買のための接点が限定されているといった、明らかに『売る広告』が求められる状況にあるにも関わらず『ブランド力強化の広告』の考え方だけで制作された広告をよく見掛けるというのも事実である。

もちろん広告主が『売る広告』を望むか、納得した場合に限られるが、『売る広告』のアカウンタビリティとは、売上と利益そのものであり、成果を保証する自信の無い広告会社は、保証できるか、あるいはそれに挑戦しようという気概を持った広告会社に席を譲らざるを得なくなるものと考えられる。

売る広告制作上のポイント

  1. 『売る広告』は最初の一言で客の足を止め、目を釘付けにする。
  2. 『売る広告』は客の心の奥に眠っている購買動機を引っ張り出し焚き付ける。
  3. 『売る広告』は誰からでも同じ成果を導き出せるとは考えていない。
  4. 『売る広告』にとって客とは買ってくれる客だけである。
  5. 『売る広告』は万人受けを狙うより選別することの方が効率の上で優ることを知っている。
  6. 『売る広告』は"美しく見えること""独創的に見えること"には必ずしも拘らない。
  7. 『売る広告』は斬新なアイデアよりも確実に成果に結び付く経験則や確率論を大切にする。
  8. 『売る広告』は売れない可能性について、特に念入りに検討する。
  9. 『売る広告』はテストすることにより常に最善の販売方法を発見する。
  10. 『売る広告』は状況に合わせて変化することを好む。
  11. 『売る広告』は一度に沢山話すと、客の理解が追いつかなくなることを知っているので、段階を追って少しづつ話す。
  12. 『売る広告』は一方的な話し方をせず、客にも考えさせながら説得する。
  13. 『売る広告』は魅力的なセールスポイントを何度も繰り返す。
  14. 『売る広告』は成果の責任を負っているので、商品によっては受けられない場合もある。
  15. 『売る広告』は何よりも売上と利益を達成することを大切にする。

(終)

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