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ダイレクト・マーケティングは死んだか、CRMはどうなる

category
ワンダーマン・ニューズレター
writer
藤田 浩二
series
DRM Newsletter No.9
date
2002年10月 1日
themes
その他

それは40年前から始まった
6月の日本経済新聞に、折からのワールド・カップ協賛をテーマに富士ゼロックスの全ページ企業広告があり、"カラーが標準になるのに、40年もかかってしまいました"のコピーを見て、技術革新とメディアの変遷、はたまたアナログからデジタルへ、そういえばダイレクト・マーケティングも40年...との感慨を覚えた。

わが師レスター・ワンダーマンが「ダイレクト・マーケティング」という言葉を初めて使ったのは1961年10月のニューヨーク通信販売業界のトップ達に対する講演であった。しかしこの言葉が市民権、独立権を得たのはさらに6年後、67年11月にMIT(マサチューセッツ工科大学)で多くの学者、識者の前で、実務理論とも言うべきものをベースにした広告、マーケティング、流通システムを三位一体としての「ダイレクト・マーケティング」を世に問うてからである。そこに彼が求めたものは、生産者が消費者一人一人に配慮する製品やサービスの提供である。それは可能であり、産業革命の大量生産/販売の利点をこえて、ダイレクトでユニークな対話を実現することが、真のサービス回復の最善策であると共に効率的な経済活動をも約束するという考えであった。彼はあじけないマス・プロ、マス・セールス、ショッピング・センターなどが嫌いである。

この新たなビジネス・コンセプトが動き出した頃、小生は社会人となり、新入社員には算盤が支給され、コピーは湿式の感光による紫色のものであった。さすがに電通はゼロックスのメイン広告代理店であったため、そのコピー機の導入と新型機の切り替えには早い対応をしていた。カラー・コピー機でFAX、プリンター機能付なんて、H.G.ウェルズがビジネスマンでも予測できなかったろう。

今までDMと略せばダイレクト・メール、通信販売としか想起されなかったものが(未だに多くの場合そうだが)、彼の新たなる視点/考え方や提言によって、その後のビジネスやマーケティングは影響を受けたのであろうか。それとも、ダイレクト・マーケティングの発展は、その根本を支え、不可欠のツールであるコンピュータの進化とそれに付随するデータ処理/分析能力の向上に沿った必然的帰結なのか。デジタルによる通信が生み出したインターネットと、その早く、安くしかもパーソナライズ(メッセージ内容の個別化)できる双方向コミュニケーションが、今までのマス媒体など追いつけないインフラストラクチャーあるいはプラットフォームとして、彼の希求するビジネス革新をこれからも加速させるのであろうか。そして2005年のブロード・バンド網が生み出すユビキタス社会...。マス・マーケティングで時代を謳歌してきた企業やビジネス・モデルが、消費者からの直接的で従来とは逆の流れを含む対話型の全く新しい関係についていけるのだろうか。

今年、これまではマス広告クリエイティブのお祭りであったカンヌ・フェスティバルにダイレクト部門が追加され、これを記念して行ったワンダーマン氏の講演から、これからのマーケティングについてのいくつかの示唆をお伝えする。

メディアから、ITから、コンサルから、百家騒鳴の10年
1983年にワンダーマン氏と初めて会って以来、この20年弱の間に彼の講演、文書を通して、その思考の変化を見てきた。
1985年創業以来「わが社こそ日本の新しいダイレクト・マーケティングの総本山なり」と公言し、社内には「日本におけるフロンティアは我々の在る所で、いずれ梁山泊とみなされるであろう」と言ってきた。しかし1990年を越え、95年頃から我々の関連エリアは喧騒を極め始め、ここ2〜3年は、そのヘゲモニーを誰が取るか、否、最も金に替えるのは誰かという戦いの様相を呈しはじめたのである。

当初の利用メディアは、伝統的メディアの新聞、雑誌、ラジオ、TVそしてパーソナル・メディア本命のダイレクト・メールでこと足りていた。少ししてFAXが登場し、電話がコール・センターの形で、洗練された対話技術を身につけた新たなメディアとして出てきた。今までは受注機能に止まっていた電話がアウト・バウンド=発信機能をもって一躍、インタラクティブ・メディアの有力なプレイヤーとしてその地位を得た。電話というメディアは効率的この上ないメディアで、相手がつかまれば、ポジティブであろうがネガティブであろうが、本人だろうが家人だろうが、返事が取れればデータ獲得で、何らかの分析ができるものである。「テレマーケティング」の登場である。以後多くの電話ビジネス書が出され、電話オペレーションにコンピュータが直結し、インターネットがアシストする、より高度なインフラストラクチュアを有するマーケティング・サポート・エンジンになってきている。本人がつかまれば、こんなにすばらしいメディアは、他にない。もっとも人間対応なので高くつくが、生で、ライブで応対するのであるから、印象に残る経験を生み、ロイヤリティ形成にも役立つのである。ブランド戦略に今までの広告・PR活動に加えて、このダイレクト・コンタクト対応を取り入れるのが最近のはやりで、特にインターネットを介したタクティクスも増えている。

ワンダーマン氏は「ダイレクト・マーケティングではブランドを創ることはできない」と長い間言ってきた。当時はインターネットとeメールは存在せず、オペレータの音声アシストも無く、さらにブランド形成とカスタマー・リレーションシップとの関係も解明も進んでなかった。
しかしダイレクト・マーケティングはその性質(顧客を維持管理し、継続したコミュニケーションを通して購買を喚起し、顧客のLTV=生涯価値を高める)上コンピュータをいち早く取り入れた。多くの見込客と顧客のリストの管理が要求される通信販売は昔から誰が、何を、どんな時に、どうすれば買ってくれるのかの膨大なチャレンジの連続であったが、逆に買ってくれた膨大な経験律の集積がそこに生まれたのである。「ものみなコストの上がる中で、コンピュータの1ビットあたりのコストは急激に下がっている。コンピュータによる管理と分析はダイレクト・マーケティングが最も必要とするツールであり、武器である」この言葉を彼から聞いたのは、まだコール・センターの萌芽をAT&TのHQで見た1984年のことであった。
こんなところから、ダイレクト・マーケティングよりは狭い概念ながら、データ・ドリブン・マーケティング、コンピュータ・ドリブン・マーケティング、データ・ベース・マーケティングという、特にコンピュータによるターゲット・セグメンテーションをよりどころにした理論の発表が多く現れた。

顧客データの分析はますます高度になっており、過去の購入履歴やデモグラフィック属性のみならず、繰り返される様々な対話、そこに意図された質問を込め、解答を解析して、個々の顧客のインサイトを掴むサイコグラフィック属性によるセグメントも進んでいる。顧客分析での最重要テーマは「なぜ買うのか」であり、これまでは商品に対するロイヤリティの計測に多くの努力がなされてきた。同様にCS=カスタマー・サティスファクション、顧客満足とその維持拡大による好意形成にも、この大命題の要因として多くのスタディがなされた。ダイレクト・マーケティングでは対象者、購入、コンタクト歴が、総てデータとしてファイルされているのであるから、適切なサンプルを抽出して研究をするのにやり易いのは事実だ。又、絶えずテストを繰り返し、より効率のいいビジネスを希求するのもダイレクト・マーケティングの元来の特徴であり、ビジネスとテストが一体になっているところも学問的ではあった。この消費者と直接対話しながら相手を啓蒙、説得して望む行動を起こしてもらうというプロセスは様々なものに応用がきき、資料請求、購買のみならず、広報ではなく広聴、そしてカリキュラムを組んで込み入った社会行政的問題の納得、理解を得るための対話にも応用できた。

曰く、顧客満足のマーケティング、ロイヤリティ・マーケティング、ダイヤログ(対話)・マーケティング、ターゲット・リレーションシップ・マーケティング、カスタマー・リレーションシップ・マーケティング、カリキュラム・マーケティング、ワントゥワン・マーケティング、アフター・マーケティング、そしてインターネットを介在させたインタラクティブ・マーケティングとなんでもマーケティングを付けた理論らしいものが、関連業界に飛び交った。
かねてからビジネスのIT化を狙っていたのはコンサルティング・ファームとコンピュータ・IT産業である。ソリューション・テクノロジーとしてコール・センターからSFA=セールス・フォース・オートメーション、ERP=エンタープライズ・リソース・プラニング、SCM=サプライ・チェーン・マネジメント、そしてCRMが時流商品である。CRはカスタマー・リレーションシップ、Mはマーケティングではなくマネジメントである。日本でも外資系コンサルティング会社が増えたものの、その企業診断アウト・プットは依頼企業宛名の表紙を変えただけで、上記のソリューションと人事リストラ提案のみという噂話も...。IT企業の勧めも加わってCRMをやってみたが、コール・センターとコンピュータを買ったのみで、どう使っていいか分からない。コンサルティング会社はオペレーションも、コンテンツ開発もメディアの使い方も領域外で対応できず、全く動かせないという笑えない話が多く、最近でもCRMの失敗記事が多くのビジネス誌に出ている。このCRMという言葉は少なくとも米国ではドットコム企業、IT企業の崩壊によりもう輝きのないもの、陳腐化したものと受け取られている。前述のアルファベット三文字と共に、鳴り物入りでIT企業各社が展開したため、広告のフレーズか一時の消えモノとしてしか捉えられないのかもしれない。
ところが、このCRMがダイレクト・マーケティング的なソリューション提供者として、我々の会社を最も良く表すのだから困ったものだ。我々は装置からではなく、人間のインサイトとコミュニケーション/メディアでの経験を踏まえたスキルから入っているために、CRMを運用することができるのだが...。

その規制と高い料金で、世界でも最悪に近い環境にある日本は、現在、ダイレクト・メールからeメールへのシフトが激しい。今度の信書規定は噴飯ものの上に、政府は法案が、最も郵便ビジネスを支えるダイレクト・メールそのものを減少させることに気付いてないから始末が悪い。B to B=企業向けのメールのe化は当たり前になって来たし、B to C = 消費者向けも、賢明な広告主は、ブロード・バンド時代に個人宛の動画CMを送るために、eメール・アドレスの獲得と蓄積にもうスタートを切っている。
最も使いやすく、満足を与えるコミュニケーション・エンジンとしてeを付けたeCRMのマーケティング時代に向かっているのだ。しかし本質は経験律を重んじるダイレクト・マーケティングであり、ソリューションは最上のコミュニケーションと効率を追求するCRMの進化するスキームがその骨格である。

レスター・ワンダーマンのカンヌ講演要点

  1. CRMに使う対話用の機器はもう揃っているし、個人対応のパーソナライズTVも加わる。リレーションシップ・レベルまでも創れる、複雑なデータ・ベース対話が可能となり、より洗練されたCRMの実践が可能となる。
  2. ますます顧客リレーションシップの管理を優先する時代では、Relevance(レリバンス=最適性)、 Relationship(リレーションシップ=関係性)、Repurchase(リパーチェス=再購入)、Retention(リテンション=維持)の4つのRが、広告メッセージのキー・ワードとキー・コンセプトになるが、理論的に理解してもその実践までには時間が掛かりそうである。
  3. 継続して購入しているからロイヤルであるとは言えない。ただその製品やサービスに満足しているだけだ。満足でいる限り買い続けるものだ。
  4. もし本当に有意義な個人的対話や信頼を築こうとするなら、我々はまだまだ努力が不足の開発ステージにおり、なんの対話もうまく継続してないと認識すべきだ。現在はリレーションシップ・マーケティングの名の元に、いい加減な言葉や思考が横行している。
  5. ロイヤリティとリレーションシップのコンセプトに的確にはまりそうな言葉は「Ophelimity=オフェリミティ」で、満足を与える能力を意味する。ブランドや顧客との関係を評価する時この「オフェリミティ」因子を見積もらなくてはならないだろう。
  6. レリバンス(適合性の求められる)時代に、優れた経済を推進するエンジンになるのは、多種多様なメディアの中で、情報に基づいてデータ・ベース化されたコマーシャルを語る能力であろう。しかし重大な変化に対応するそれ以外の能力とは、購入者から生産者に向かう、今までとは逆流のコミュニケーションに耳を傾け、知り、学べるということだ。
  7. マーケティングと広告において、人生同様、知識に取って代わるものはない。

千葉商科大学経済研究所発行誌 CUC [View &Vision] 第14号掲載

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