コラムコラム

電通ワンダーマン(エントリー)

そのキャンペーン、伝わってますか? Wunderman's View No.2

  • 金森 努
  • 2003/05/01

[Wunderman's View]

キャンペーン花盛りの今日ではあるけれど、、、。
 販促施策、いわゆる“キャンペーン”は不況下の今日以前にも増して花盛りである。「○○キャンペーン実施中!」「○○会員募集中!!」などなど。しかし、一生活者の目で見ると疑問符がいっぱいになってしまうものも少なくない。例えば応募資格がやけに厳しく、一体誰が対象になるのだ?というようなキャンペーン、“会員”という割にはメリットが感じられないような会員組織、“限定!”と言われてもありがたみが感じられないような募集告知などなど、、、。ご覧になった方も多いのではないだろうか?つまり、生活者に“伝わっていない”のだ。
 キャンペーン告知をマス投下すれば、多少伝わりにくくとも何度かその告知に接触していくうちに、一度で理解できなかった生活者も「ああ、なるほど」とわかってくれるだろうし、多少魅力が乏しくとも、ある程度応募や参加してくれる人を集められるかもしれない。しかし、昨今、そんな費用をかける余裕はない。

なぜ、伝わらないのか?
 そもそも、なぜ“伝わらない”キャンペーンが行われてしまうのだろう。端的に言えば、“キャンペーンの内容とターゲットとの適合性不足”ではないだろうか。つまり、この不況下において即効性を求めるあまり、短期間の検討の中で非常に重要な、しかし基本的なポイントを置き去りにしてしまう。さらに、検討不足なキャンペーン内容が、関係者の十分なチェックとコンセンサスを経ずに生活者にリリースされてしまっているためだろう。
 まず、“キャンペーン”において重要なことは、取り込みたいターゲットにきちんと“伝わること”に他ならない。当ニューズレターで何度もご紹介しているが、レスター・ワンダーマンの言葉を思い起こしていただきたい。「Answer the question “Why should I ?”(なぜ私に?に答えなさい)」生活者は企業から何らかのアプローチを受けたとき、常に“なぜ私にこのアプローチがなされるのか?”という疑問を持つ。それはキャンペーンにおいても同様だ。つまり、自分が目にしているキャンペーンは、自分に対して向けられたものなのか?果たしてメリットはあるのか?という疑問だ。その疑問が解消されなければ、当然、参加することはありえない。

伝えるために
その1:十分検討してまとめてみよう!

 前述のとおり、伝わらない根本原因の多くは検討不足とチェックの甘さにある。だとしたら、検討すべきポイントを整理し、まとめ、関係各者が相互チェックを行うことによって大半は防げるだろう。基本的なことではあるが、以下のようなポイントを整理していただきたい。さらに“キャンペーン実施企画書”や関係者が共有すべき“ミッションステートメント”といったドキュメントにまでまとめることができれば万全だ。

  1. そもそも、どのような市場環境と自社の背景において、何のために、どのような効果を期待して行うのか。
    →まず、自社にとっての必要性と期待効果を明確にしなければ、生活者への訴求も中途半端になってしまう。
  2. どのような生活者をターゲットとするのか。そして、そのターゲットとなる生活者は、どのようなベネフィットを享受できるのか。
    →ターゲットの明確化は第一の基本であり、さらにそのターゲットが明確に認識できるベネフィットが設定されていなければ、反応は得られない。
  3. 施策実行における関係者は誰なのか。成功のためには、関係各者はどのような認識を持って、どのような活動を行わなければならないのか。
    →施策自体が円滑に運営されるためだけでなく、より効果的に“伝わる”ためのコミュニケーションを実現するためにも重要な要素。

伝えるために
その2:行動に結びつくような表現になっているかチェックしよう!

 何と言っても最終的に生活者に伝えるためには何らかの“表現”に落とさなければならない。そしてその表現はキャンペーンを“認識”させればよいのではなく、きちんと“理解”させ、“行動”させるものでなければならない。キャンペーンが“伝わる”ということは、最終的に“行動を促す”レベルにまで至らなければならないのだ。
 レスター・ワンダーマンは「Advertising must change behavior, Not just attitudes.(広告は消費者の認識・態度だけでなく、行動も変えなければならない)」と述べている。行動させるための広告は、認識を与える広告とは明らかに作り方も異なる。先の段階で検討してきた内容が魅力的に感じられ、行動してみたくなるような表現になっているかが最後のチェックポイントなのだ。

生活者の視点で、、、。
 前述のとおり、きちんと実施内容を検討し、表現も十分考慮するという過程を踏めば“伝わらない”というケースは回避できるだろう。しかし、最も重要なポイントは、「検討している施策を常に俯瞰して生活者の視点でチェックしつづける」ということではないだろうか。いろいろな事情、しがらみや制約の中で本来やりたかったこと、正しいと思われることが実現できないことも多々あるのが実際だろう。しかし、施策の立案者自身も一生活者であることにかわりはない。自分自身の生活者の視点で見直したとき、きちんと伝わるか、魅力的に感じられるかを常にチェックしていくことが何よりの方法だといえるだろう。