クリエーティブ制作の命:絞込みの鉄則 TIPS★TIPS No.6
- 吉岡 英彦
- 2003/09/18
[TIPS★TIPS]
冷夏の帳尻合わせをするかのような残暑が続いている。しかし、肌寒さに今ひとつ楽しめなかった夏休みは戻ってこないので、筆者にとって、強い陽射しと暑さは全く帳尻合わせにはならないのだ、、、。
こんなクリエーティブはNGだ!
帳尻合わせ。実はクリエーティブの世界でも、ともすればやってしまいがちなことがある。表現としての面白さ、美しさやキャッチの強さなどについ意識がいってしまい、本来の「レスポンスを取る」という目的が後付けになってしまった場合だ。
やけにフリーダイヤルの番号だけが大きい。金利か何かの数字だけがやけに目立つ。しかし、それらはメッセージとして伝わってこない。だからレスポンスも取れない。やはり表現優先で最後に帳尻合わせをしようとしても、うまくいかないという失敗例である。
そもそもDRAとは?
資料請求をさせる、申し込み・購入をさせるなど、ターゲットとする見込み客・顧客から、直接的なレスポンス獲得を目的とした広告を「ダイレクト・レスポンス・アド(DRA)」という。認知促進・ブランド訴求などを目的とした一般広告に対して、DRAが求めるものは具体的な「行動」であり、「レスポンスという目に見える行動」が数字となって表れる厳しい世界なのだ。
DRAは厳しい結果が求められるが故に、いくつかのセオリーがあり、それを守らなければ、決してうまくいかない。そこで、以下その中でも最も重要な「ターゲットの特定」について話をすすめていこう。
「はっきりとターゲットを特定する」ということ!
なぜ、「はっきりとターゲットを特定する」ことが重要なのか?それは「誰に向ってクリエーティブを創るのかによって、その組み立てが全く変わるから」である。なぜなら、ターゲットとの関係性、コミュニケーション深度に従って、問いかける切り口や情報量の整理のしかたが大きく異なり、結果として広告のつくり方が全く違ってくるからだ。
これは広告全般に言えることでもあるが、DRAの場合は特に重要な要素であり、このポイントを外してしまうとレスポンスに大きな影響を与えることになる。
究極は1to1なのかもしれないが、本当に個々の「個客」に対してコミュニケーションを行うことはまだまだ難しい。とすれば、できるだけ適切な層にターゲットを絞り込み、そのターゲットに提示するメッセージとベネフィットを尖らせる訴求をすることこそが肝要なのだ。誰もが何となくメリットと思えることは、実際にはレスポンスという行動には結びつかない。しかし、絞り込まれたメッセージとベネフィットの訴求は、ターゲットとして該当する人からの多くのレスポンス行動を誘発することができるのだ。
ターゲットのセグメントを大雑把に考えないこと!
マーケターがターゲットのことを考える時、その顧客化のプロセスなり、顧客の成長ステージをモデル化して考えることが多い。「潜在客→見込み客→顧客→ロイヤル顧客」というようなものだ。
確かにモデル化は、全体戦略立案や、各ステージでの戦術を整理するためには便利であり、必要なものである。しかし、クリエーティブを考える時にはそのレベルのモデルでは網の目が大きすぎるのだ。
「潜在客→見込み客」といってもその両者の中間ぐらいの「距離感」にいるターゲットもいる。その中間距離のターゲットが重要なら、当然きちんと分けて考えなくてはならないし、その点に気付かなければレスポンスは低下してしまう。大切なのは、大雑把なステージで捉えず、もっと細分化して考えることである。
DRA制作の第一歩と3つのポイント
今回は、DRAのクリエーティブの基本を再考することがテーマである。その基本中の基本はここまで述べてきたように、「ターゲットを特定し、細分化して考えること」だが、それを実現するためにも重要なのが以下の3つの要素である。
(1)次のステップを予め組み立てておくこと
(2)ハードルの高さを認識すること
(3)絞込みのストーリーを考えておくこと
第一に、「顧客化」なり「ロイヤル顧客化」なりの最終的なゴールに向けたステップを組み立てておくことだ。「現状のステータスに対して、どのような働きかけをし、次にどこまでの状態にするのか」を検討するのだ。潜在客の状態から、一気に来店させてカウンター越しに商談をさせるという組み立てもあるだろう。逆に、まずは簡易な資料を請求させ、追加資料の発送、再三の来店のお誘い電話やE-mailによるフォローを予め実施するような、細かいステップを計画する場合もあるだろう。それらは、当該商品・サービスの内容とターゲット特性次第なのだ。
そのステップが設計できれば、前者は「まずはご来店ください」というメッセージになるだろうし、後者は「お気軽に資料をご請求ください」となるだろう。もし予めステップが想定できなければ、「来店でも資料でもご自由に」という中途半端なメッセージになってしまい、当然効果も期待できなくなるのである。
第二に、顧客が各々次のステップに進む際のハードルの高さを予め理解しておくことだ。単にインターネットや電話で資料請求をさせる場合、店舗などまで出向かせ試させる場合、最終的に金銭を支払い購入させる場合、各々のハードルの高さは大きく異なる。
ハードルが高ければ、それを超えさせるだけのメリットを提示し、行動させるモチベーションをターゲットに与えなくてはならない。そのためには説得のためのコピーやオファーの設定など、様々な検討要素が関わってくるのだ。
第三に、次のステップに進ませるべきターゲットは、どのレベルなのかを考えておくこと。つまり絞込みのストーリーだ。
レスポンスは多ければよいというものではない。「レスポンスの質」である。レスポンスの質を高めるためには、メディア選択が重要だが、それ以外にもコピーやオファーの設定などでコントロールすることが必要だ。例えばコピーにおいて「どなたでもお気軽にどうぞ」と「○○な方にお勧めです」では全く異なる。また、有象無象が集まるような安易なオファー設定も避け、適切にコントロールすることが必要になる(関連バックナンバー参照)。
絞込みには大きく分けると二つの方向性がある。「入り口でレスポンス自体を絞り込み、量が少なくとも質の高いレスポンスを取ること」と、「初回レスポンス時のアンケートやフォロー活動によって絞り込むことを前提に、入り口のハードルを低くしてなるべく多くのレスポンスを取ること」である。そのどちらが適しているかも検討が必要だ。
以上、行数の関係でまだまだ語り尽くせぬ内容であるが、DRAのクリエーティブ制作においては、「ターゲットの設定と絞込み」が重要であることをおわかりいただけたと思う。これ以外にもクリエーティブ制作に関わる鉄則は数多く存在する。また折に触れてご紹介していきたいと考えている。
