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新・カスタマーインサイト:自己実現を目指す消費者への対応を考える

category
ワンダーマン・ニューズレター
writer
金森 努
series
Wunderman's view No.11
date
2004年2月 5日
themes
顧客インサイト

景気は回復基調にあるとされながらも、「モノが売れない」という販売現場からの悲鳴にも似た声が依然聞こえてくる。未だに不況で消費者は「買いたくても買えない」のだろうか。しかし、一方で「安く買いたい。しかし、良いものであれば買う」という選択をする消費者も多数いる。つまり、この現状は企業と消費者の距離がさらに離れてしまっていることを意味しているのではないだろうか。

変わる消費者・変わりきれない企業?
100円ショップに代表されるような消費者の低価格志向は今でも根強く存在している。しかし一方で、普段は低価格品で倹約しつつ、自分の気に入った商品やカテゴリーには突如高額出費を行う新たなタイプの消費者も、前述の通り数多く出現してきている。これらの消費者の変化を売る側はどこまで捉え、対応できているのだろうか。

ディスカウントモデルからの脱却を図りたいと考えている流通関連の企業も多く存在する。しかし、実際には価格訴求に変わる価値として、何を訴えていけば良いのか絞り込めないケースも散見される。消費者は変わっている。企業は、まだ変われていないというのが今日の姿なのである。

そもそも、なぜ消費者は変わったのか
消費者の変化に関しては様々な方が、様々な論で解説しているが、今回はアブラハム・マズロー(1908〜1970)の欲求段階説で考えてみたい。ご存知の方も多いと思うが、マズローによれば人間の欲求は5段階に分かれており、一つの段階が満たされた時点で、上の段階に進むとされている。

1段階目と2段階目は「生理的欲求」と「安全欲求」で、衣食住の根源的欲求である。つまりこれは高度成長期において、プロダクトアウト的に生産・供給されたものをありがたく受け入れていた時代の消費の形態であるといえよう。

3段階目が「親和欲求」。他者と関わり、同じようにすることによって喜びを見出す段階だ。高度成長の終わりに一通りの耐久消費財が揃った。そしてバブル期にネコも杓子もブランドのロゴの入った商品をぶら下げて歩いていた。そんな少し前の時代までの消費の姿ではなかっただろうか。

4段階目は「自我欲求」。自分が集団から認められ、尊敬されることの喜びを見出す状態だ。この状態は、消費において、高価格なプレミアム性の高い商品を恒常的に購入して得られる、"羨望"などが擬似的な状況として存在するものでもあり、全ての消費者が手にできるものでもない。

しかし、問題は現在、マズローの説とは異なり、4段階目を完全に満たさなくとも、第5段階目の「自己実現欲求」のレベルに達した消費者が多数出現し始めたことだろう。つまり、自己実現欲求は、自分の能力を発揮し、創造や自己成長を図ることによって喜びを得るものである。つまり、消費という側面でみれば、消費そのものがより明確に「目的化」していると考えられるのだ。気に入ったものであれば、普段自分が購入しているレベルの商品より遥か上のレベルの商品を買う。例えば100円ショップの常連でありながら、ワインショップで1本1万円近いヴィンテージを買う。通信販売のセール商品の衣類をいつも着ていながら、夏のリゾートで100万円のツアー料金を払う。ワンルームに住みながらBMWに乗る。それらは、あくまで見栄のためではない。その絞り込んだ消費、一点豪華を自分のスタイルの実現、自己表現として実行しているのだ。

自己実現的消費者対応を考える
一つ前の4段階目、自我欲求は自分の収入レベル相応のものを幅広く選択するという消費行動を一部の消費者が取っていた。それ故に、その層は把握しやすく、多くは「上得意」としていずれかの企業に囲い込まれていた。しかし、この「自己実現層」の難しさは、第一にその消費者を特定することが、そうやさしくはないということだ。いわゆる上得意であれば、百貨店ならば外商顧客として登録されているだろう。しかし、自己実現的消費者はそうした囲い込み対象にはなっていないはずだ。これらの層を購買履歴や来店行動、様々なアンケートの機会創出やキャンペーン実施などから見つけ出し、より高付加価値な、説明・説得型の販売によって囲い込んで、新たな消費を提案し、取り込んでいくことが欠かせないはずだ。それこそが、前段で述べたディスカウントモデルからの脱却方法でもあるのだ。

以下に、自己実現的消費者対応を考えるための方法を列挙するので参考にして頂きたい。

  1. 自社の商品・売り場のコンセプトを明確にすること。漫然とした商品作り/品揃えでは、目的化した消費の対象としては選ばれない。
  2. 選ばせるためのストーリーとベネフィットを明確にすること。消費者がなぜその商品を選ばなければならないのか。選ぶことによってどのようなことが実現できるのかを機能的要素と情緒的要素の両面から理解させること。
  3. 説明/説得のためのコミュニケーションを十二分に取ること。自己実現的消費の対象商品の多くは「要説明商品」である場合が多い。例えば、一体どれくらいの人がワインのラベルだけを読んで買えるのか。旅行パンフレットの記載内容だけで十分な理解ができるのか。現状の売り方の多くをみると、コミュニケーションが不足しているケースが非常に多い。自己実現的消費者の何より求めているものは、「納得」であることを忘れない。

ロイヤルティと顧客生涯価値(LTV)という考え方を再び思い出してみよう
ダイレクトマーケティングやCRMにおいて、ロイヤルティと顧客生涯価値という考え方は中心的な思想であることは間違いない。しかし、一部ではロイヤルティというものの把握のしにくさ、生涯価値の計測の困難さから、もはやそれらを諦め、ワンショットのキャンペーンの積み重ね的な展開に移行してしまっている動きもみられる。しかし、それではここまで述べてきたような新しい消費者を発見し、関係性を構築することはできない。また、自社の商品作りや売り方も、新しい消費者の存在を意識し、それらに選ばれることを意識しなくては、このままデフレスパイラルに取り残される負け組みになってしまうだろう。

いかに、新しい消費者の姿を明らかにしていくのか。そして、ロイヤルティを向上させ、継続的な関係性を築いていくのか。再度、変わりつつある経済環境と、明確に変わり始めた消費者を前にして考え直す時がきているのだと言えよう。

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