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自社で会員誌を発行する。他社の会員誌に広告を出稿する。特定のターゲットに向けられた宅配印刷物という特異なメディア特性、活用における留意点。「宣伝会議3月号掲載(オリジナル版)」

category
公開論文
writer
後藤 一喜
series
その他の寄稿
date
2004年3月12日
themes
その他

1.発行企業における"会員誌"の役割?
企業が自社の顧客向けに発行するコミュニケーション・ツールである会員誌は、いわゆる"顧客囲い込み施策"としては最も一般的で、しかも予め成果の保証されている施策と言える。ひとくちに"囲い込み"と言うが、具体的な役割は以下の2つに大別でき、そのひとつとはブランドが競合に対して持っている独自の価値や文化・哲学を様々な視点から多角的に表現し、それを継続的に伝えるという顧客に対する"(1)ブランド価値創造(理解の促進とロイヤルティの向上)"。もうひとつがクロス・セルやアップ・セル、つまり"(2)ビジネス機会創出"である。
無論"(1)ブランド価値創造"も"(2)ビジネス機会創出"も顧客に限らず生活者全般に対して行われるべきなのだが、新規客におけるビジネスは、既存客の場合の数倍のコストを要する。つまり顧客1人の維持コストと、新規客1人の獲得コスト、ビジネスの効率とを比較すると、顧客には他の一般生活者よりも多くのコミュニケーション・コストを投下すべきであり、実はこの最も有効な使い途として位置付けられているのが"会員誌"なのだ。つまり会員誌とは顧客に対するサービスではなく、企業がビジネスを拡大し、それをより長期的且つ安定的なものとするためのツールなのだ。

2.インターネットの時代になぜ印刷物 なのか?
インターネットの普及に伴い、確かに近年ではeメールによる会員誌"メルマガ"の活用も盛んになってきている。しかしこれらの施策の結果、逆に印刷物の会員誌の価値や役割が再認識・再評価されるといった現象も出現しているのだ。理由として考えられるのは、宅配印刷物という会員誌のメディア特性だが、例えばその会員誌を特に待ってはいなかったとしても、多くの場合会員は開封し、誌面の全体を見渡す程度のことはするようだ。実体のある"会員誌"を未開封のままゴミ箱へ捨ててしまうことには抵抗があるのだ。そして印刷物というのは、そんな斜め読み程度であっても、掲載内容の概要が伝わるという点で非常に優れている。
他方"メルマガ"はどうだろうか。私の場合で言えば、日頃から関心を持っているもので、しかも副題が興味を引くものでもない限り、開封せずに"削除"してしまうことが増えてきている。実体が無くリアルでないため、削除してしまうことにもあまり抵抗は無い。印刷物の会員誌に比べると圧倒的にコストが安いため、各企業が送信対象も伝えるべき内容も、ろくに吟味しないまま、やたら数多く頻繁に、あまりに膨大な量の"メルマガ"を発信し過ぎているという問題も大きい。また、たまたま開封したとしても、印刷物のように簡単に全体を一覧することはできない。画面を縦にスクロールさせなから読み進むことになるが、苦労と忍耐の割には、どうも印刷物を斜め読みした時のような成果(内容の大雑把な把握)は得られない。原稿のレイアウトの問題もあるが、透過メディア(ディスプレイ)と反射メディア(印刷物)というメディアの違いにより、実際に伝わる情報の量には差が生じるのだ。ただし、ターゲットの情報関与度、ロイヤルティが高く、能動的な場合はこの限りでない。逆に経済性、自由度、すぐに注文や申し込みのできるインタラクティブ性、webサイトへの誘導が容易といった点で"メルマガ"は、明らかに印刷物の会報誌より優れている。しかし一般的な企業と顧客との関係というレベルで言えば、例えばインターネット・プロバイダでさえ、メルマガの極端な効率の悪さに、印刷物の"会報誌"の採用を検討するほどなのだ。

3.どんな"会員誌"が良い会員誌なのか?
閉ざされたメディアであるため、同様に優れていながら一般に知られていないものは多数あろうが"エスカイヤ・クラブ"(日本最大の会員制飲食クラブ/大和実業?)の会員誌「エスカイヤ・ニュース」は、何よりそのコンテンツのミックスが絶妙であり、会員誌のひとつの典型・教科書とも言える。同クラブの会員は中小企業の経営者中心と思われるが、内容は店舗及びスタッフ紹介、期間限定の特別メニューや関連サービス紹介といったビジネスに直結するテーマをきっちりと押さえつつ、関連テーマとして酒に関する薀蓄、文化教養、ゴルフや健康、そして経営豆知識、会員と家族(娘と配偶者)の紹介、会員のマイブーム紹介といった内容だ。客観的に見れば、あまりにベタな構成と言えなくもないのだが、会員インサイト(クラブと会員との関係等)を考慮すれば、企業が顧客に伝えるべきこと、顧客が企業に期待することの両方を上手くまとめており、顧客の維持と売上の拡大に貢献しているものと評価できる。
さて一般誌の発行は、出版社自体の営業のためであり、基本的に部数の拡大が目的と言える。他方"会員誌"発行の目的は、冒頭に述べた通り"発行企業のビジネスの維持と拡大"である。換言すれば、成功している良い"会員誌" ほど一般誌とは異なる個性や傾向を持っていると考えねばならない。そして多くの会員誌は、顧客の維持と売上の拡大に貢献しているはずなのだが、実はこの貢献度は中々数値で測り辛い。そのため会員誌によっては、不必要に廃刊や休刊に追い込まれてしまったり、継続はしているものの編集方針が迷走してしまったりしている場合が少なくはない。?カタログハウスの「通販生活」は有償の"会員誌"であると同時に"通販カタログ"でもある。このため会員の維持及びロイヤルティ向上と、商品の売上とは、ほぼ直結していると言って差し支えが無い。宅配や冊子小包といった仕組みの無い時代、通販各社は安価なカタログ発送手段として"第3種郵便物"の認可を得たが、認可を得るためには営業(商品)頁を全体の半分以下にし、残りを編集頁にしなければならない。他の通販会社が編集頁についてはコストの削減しか考えず、当然仕上がりも投下したコストに相応しいレベルのものに落ち付いたが、カタログハウスだけはせっかくの編集頁を無駄に使っては罰が当たるとばかり営業頁に負けない情熱を持って個性的頁作りに腐心した。当初のテーマは一見して同社のビジネスとは直結しない"中国残留孤児問題"であったり"チェルノブイリ問題"時にはユーモアに溢れる"珍道具特集"等であったが、会員にはただのモノ売りカタログでなく、読むに値する価値と主張のある会員誌として受け入れられ、ファン層が定着し売上も躍進した。そしてカタログハウスが最後に辿り着いたテーマが"環境問題"だったが、これなどは同社のビジネス(商品開発と販売)を疎外しかねないと、社内ですら危惧する声があったと聞くが、ついにはこれらの主張と、営業(商品)頁で展開するビジネスとを一致させることに成功し、結果として同社の年商は344億円(経常利益38億円/'02年度)にまで到達した。これは仮に同社が1年間に発行した会員誌「通販生活」4冊・別冊「ピカイチ事典」1冊の計5冊の総商品頁数の合計を1000頁(概算)とし、商品掲載頁1頁当たりの売上を試算すると、平均でも3000万円超(億を超える頁も多数あるに違いない)に達するという程驚異的なものなのだ。つまりブランド独自の価値を創造することは、顧客の維持とロイヤルティ向上に繋がり、それらをビジネスの機会に結び付けることは可能なのだ。そして会員誌こそが、これらを最も効率良く実現させる。これらの成果は、必ずしも直接数値で評価できる場合ばかりではない。上記のような目的と意図を持って制作されている会員誌こそが良い会員誌と言える。

5.他社"会員誌"に出稿する際の留意点
媒体選択における配慮と広告原稿における配慮については既に述べたが、例えばクレジット・カード会社の会員誌のような場合、大部数を誇るが故に逆に会員誌らしい個性が薄れ、他の一般誌とあまり変わり栄えのしない状態に陥っている場合がある(カード自体が一般化したためで、発行会社にとっては目的を達成できている)。このような場合は、一般誌と同じと割り切って出稿するというのもひとつの見識だが、クレジット・カード会社であれば、会員の基本属性やカードの利用履歴(例えば3ヶ月以内の海外利用の有無、ゴルフ場や高級レストランでの利用の有無等)は把握しており、これらを活用した周辺サービスも提供している。したがって会員誌への出稿と合わせて、これらのサービスを活用することができれば、一般誌に出稿する場合とは異なる成果を達成できるはずだ。 最後に、媒体選択の具体例と、広告原稿における配慮に関するヒントだが、媒体選択で言えば、例えばリゾート・マンションやリゾート・クラブの会員誌があったとする。それがもし海外のモノであればれば、例えば航空会社の広告と相性が良く、国内のモノであれば、例えば高級車の広告、セダンよりはワゴンの広告との相性が良いといったことになる。それでは、リゾート・クラブの会員誌に、高級ワゴン車の広告を出稿する場合の広告原稿について考えてみるが、会員誌なので、あまりに広告的なものよりは、全体のトーンや、むしろ他の記事に同化させた方がより有利と考えられる。例えば、読者である会員を連想させるようなキャラクタを登場させたインフォマーシャル等は効果的だろう。登場するキャラクタも、多分、ターゲット1人では駄目だ。何故ならリゾート・クラブの会員は1人では行動しない(少なくとも会員誌に接している時の気分としては今度は、誰と何処に行こうか?といったことを、意識あるいは無意識の内に考えているものだ)したがってターゲットを連想させるキャラクタに加え、その配偶者や親、子供、孫といった家族、仲間や友人と思われるキャラクタを同時に登場させ、キャラクタ相互のコミュニケーションが、ターゲットの高級ワゴン車に対する購買欲望を刺激する...「お父さん、この車だったらジョン(愛犬)も一緒に連れて行かれるネ!」といったように作られるべきだ。

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