人材育成とコンピテンシー 第22回 〜「日経NET BizPlus」 連載
- 杉田 裕一
- 2004/04/08
[IT & マーケティングEYE]
ミッション・ステートメントで乗り切れるのか?
4月、新入社員を迎えた企業も多いだろう。厳しい就職戦線を乗り越えてきただけに最近のルーキーたちの意識は相当高いように見受けられる。
しかし、迎え入れる企業組織側は、厳しい就職事情の元である厳しいビジネス環境での「人材育成の難局面」を迎えているように思う。ビジネス環境における変化のスピードが増し、将来的に必要な人材像を明確にして人材育成できる組織がどれだけあるだろうか。
前回第21回「ミッション・ステートメントで乗り切ろう!」では、組織ドライブ自体の難易度が高まり、ミッション・ステートメントにより全社・全従業員が心を合わせて課題解決に取りくむ重要性とその手法について扱った。そのためにはミッション・ステートメントの実践に取り組むことができる人材を育成しなければならないのである。そこで今回は、企業の人材育成についての考察をおこなってみたい。
人材育成の基準作りと実践
人材育成においては、業務を通じての教育(OJT:オンザジョブトレーニング)や研修・座学などの教育(OffJT:オフザジョブトレーニング)など手法論が企業内では盛んにおこなわれてきた。しかし、先に述べたとおり現在のビジネス環境に対応した人材を育成するには、より細分化した人材像を明確にしておく必要がある。手法ではなく、「人材育成の基準」の検討を優先させることが重要である。以下に検討内容と手順を紹介する。
<1>職務で一貫して高い業績を出す人の行動特性の抽出
人材育成の基準を作成するには、職務で一貫して高い業績を出す人の行動特性である「コンピテンシー」の抽出をおこなうことが有効である。コンピテンシーの要素としては、
- 必要な知識(Knowledge)
- 実行スキル(Skill)
- 態度(Attitude)
の3つがあげられる。特に態度(Attitude)は、これまでの人材育成ではあまり取り扱われなかった要素であるが、実際の業務遂行を司る能力としては必須の要素であり、まして組織のミッション・ステートメントの実行にも欠かせない。
<2>コンピテンシー・プロフィール化
そして人材の育成基準は、コンピテンシー・プロフィール(それぞれの職務がどのような知識・スキル・態度を要求するのか)を明確にし、その達成基準をはかる目盛りを設定することになる。
<3>コンピテンシー・アセスメント
それと同時にそれぞれの人材に対してのコンピテンシー・アセスメント(それぞれの人材の知識・スキル・態度の査定)をおこない、「現在の姿」を把握しやすくすることである。
<4>コンピテンシー研修の実施
そして「求められる姿(知識・スキル・態度)」と「現在の自分の姿」とのギャップを埋めるための、コンピテンシー研修から各自が選択して受講していくカフェテリア型研修を社内・社外から用意する。
コンピテンシー・マネジメント
以上のような手順で「人材育成基準」の整備をおこない、コンピテンシー・マネジメントを導入する企業が増えて来ている。
それは、すべての教育を計画できなくなった企業が、自立型の人材育成で対応しなければならないところまで、追い込まれている状況を示しているようにも見える。MBA(Master of Business Administration)やMOT(技術経営=Management of Technology)の修了者の採用を企業が好むようになったのも、MBAやMOTが汎用的なコンピタンスの抽出された教育プログラムだからと言えそうである。

