コラムコラム

電通ワンダーマン(エントリー)

わかってきたモバイルサイトの使い方 TIPS★TIPS No.15

  • 菊地 克彦
  • 2004/06/17

[TIPS★TIPS]

2004年は日本のモバイル・コミュニケーションの転換点
昨年11月号の当ニュースレターで、「モバイル新時代の“当たり前”とは?」と題し、企業と消費者とのコミュニケーションにおいて携帯電話を活用したモバイルサイトが“当たり前”のものとなってきている、とお伝えしてから、はや半年が経過した。

その後のモバイル関係の大きな話題といえば、3Gサービスの普及が進んできたこと、auとi-modeがパケット通信料定額制サービスをついに導入したこと、などだろうか。 また、昨今のマーケティングキャンペーンを見回しても、Webサイトとモバイルサイトを同列に活用している事例がいよいよ増えてきたのも見逃せない事実だ。

さて、弊社はモバイルサイトを組み入れたマーケティング・コミュニケーションの業務を数多くお手伝いさせていただいているが、今回は、その経験から見えてきたさらなる“モバイルサイト固有の課題”についてお伝えしよう。

モバイルサイトの“課題”とは
ケーススタディをご紹介しよう。あるサービスのローンチにあわせて、プレゼント・キャンペーンを実施した時のことだ。その際、プレゼント・キャンペーンの申し込み方法として3つの窓口、『Webサイト』、『モバイルサイト』の両方に加えて、『受け付け電話番号』をもって消費者のレスポンス行動を喚起したのだ。

キャンペーン期間中は各媒体での広告出稿やダイレクトメールなど、全ての窓口を告知し、結果として当初期待した以上のレスポンスを獲得できた。特に、モバイルサイトに対するレスポンス数がWebサイトに匹敵、あるいはそれ以上であったことから、モバイルサイトの重要性についてあらためて認識した次第だ。

と、ここまではめでたしめでたし、であるが、あとから見えてきたことがある。キャンペーン終了後、つまり、広告での告知が終了し、プレゼント受け付けを締め切ったあとに話しを移そう。

『電話窓口』についてだが、時間の経過とともに問い合わせ件数は減少し、キャンペーン期間中に組んでいた複数オペレータでの応答態勢は不要となった。一方で、キャンペーン期間中の勢いは一段落したものの『Webサイト』への訪問数は、一定数で安定した。ポータルサイトへの登録やリンクなどの外部要因だろう、当方の覚えがないのにサイト訪問数が急増することもあった。

これらは読者の皆さんも経験したことがある一般的なケースだと思われるが、では『モバイルサイト』のレスポンスはどのように推移しただろうか?

モバイルサイトは一期一会と心得よう
さてモバイルサイトだが、電話窓口と同様、キャンペーン終了ともにサイト訪問数が激減する傾向があることがわかった。

Webサイトの傾向値とは正反対になるが、これは同じオンラインコミュニケーションであっても、モバイルサイトには“特有の閉鎖性”があるということなのだろう。つまり、Webサイトを公開するということはWorld Wide Webの名前が示すとおり、世界中に相互に蜘蛛の巣のように張り巡らされたネットワークの一部に組み込まれることを意味する。そのため、一度サイトを構築してしまえばネットワーク内での自然発生的な横展開が派生していく。

他方、現状では“閉じられたネットワーク”といわざるを得ないモバイルサイトでは同様な効果は期待できず、基本的にユーザからの主なアクセス方法は下記2つのみだ。

  1. 携帯キャリアが運営するポータルにユーザがアクセス、サイトメニュー一覧より選択する
  2. 広告等でユーザに直接告知し、アクセスを誘引する

従って現状では、携帯キャリアにメニュー登録されるといった例外を除き企業からの広告出稿等が一段落してしまえば、継続的な新規訪問者獲得は期待できないというのが現実の姿なのだ。

つまり、モバイルサイトはキャンペーンにおける新しいレスポンスデバイスとして十分に機能することは過去ケースからも証明されているが、恒常的な顧客接点として新規訪問者を継続的に受け入れるという期待値においては現状では、Webサイトに及ばないのだ。

モバイルユーザで継続コミュニケーションを維持するために
前述の前提に立ち、モバイルサイトにおけるコミュニケーションのポイントの一つとして、Webサイトと同様に、新規訪問者獲得の装置としてだけではなく、一度掴んだキャンペーン参加者を再訪問させるにはどのような工夫すべきなのだろうか。

端的に言えば、キャンペーン参加者に対して、キャンペーン・コンテンツだけでない魅力的なサービスを継続的に提供することを約束し“また利用したい”と思わせることで、ブックマークさせることがモバイルサイト再訪問への足掛かりとなるのは間違いない。

現在モバイルサイトで広く支持されていて、かつ、繰り返し利用されているサービスといえば交通機関情報、グルメ情報、天気予報などだろう。これらの共通点といえば“外出先などの、○○について、いますぐ知りたいシーン“で利用されていることではないだろうか。そして、これらのシーンに対応できるという点で、モバイルサイトはその本来の携行性と相まって、Webサイトが持ち得ない圧倒的な優位点を有することができるのだ。そして、ここに一般企業がモバイルサイトを運営する場合のヒントがある。

別のケースをご紹介しよう。あるキャンペーン作業にて、モバイルサイトを構築するにあたり“すでにあるWebサイトと差別化しながら、共存させる“ため、「外出時の利便性」にポイントをおいたサービスを強調することにした。
具体的にはWebサイトでは一コンテンツの扱いであった『ストア・ロケーター』を全面に押し出すことにしたのだ。

キラーコンテンツとしてのストア・ロケーター
ストア・ロケーターとは、店舗検索機能である。つまり、ユーザに希望の地域を検索させ、その地域で自社製品を取り扱う小売店情報(住所、電話番号そして周辺地図)を表示することで、店舗誘引を図るプログラムのことだ。結果として、キャンペーン期間中、多数のアクセスが期待通り集められただけでなく、キャンペーン終了後も恒常的にある程度のアクセス獲得することができたのだ。

このモバイルサイトから取得したアクセスログを検証した結果、Webサイトと比較して明らかにモバイルサイト特有であると思われるいくつかの傾向が検証できた。それを以下にご紹介しよう。

1) サイト内におけるストア・ロケーターの利用率が高い。
2) 検索を開始してから完了するまでのプロセスの完了率が高い。
3) 検索終了後の店舗情報から、周辺地図を表示する値が高い。
4) 同一ユーザあたりの地域検索回数が高い。
5) 同一ユーザのサイト再訪問の平均値が高い。
6) リピートユーザの再訪問回数が高く、期間も長い傾向が見られる。

上記については、まだまだ長期にわたる計測、また複数サイトでの検証が必要だが、今回のケースのように、モバイルサイトをうまく活用・訴求すれば、ユーザとの継続的なコミュニケーションが可能だということだ。

まだまだ工夫できるモバイルコミュニケーション
さて、ストア・ロケーターは単なる店舗機能だけでないことはもちろんだ。B2C・B2Bを問わず、自社製品・サービスを提供することに関係していれば、全ての業種業態へ応用できる筈だ。代理店情報、あるいは、病医院などの施設情報などをモバイルサイトで提供するのもよいだろう。

Web・モバイル全キャリアに対応したASPも多く出ているので自社でシステム開発を行わずに、ストア・ロケーター等のサービスを提供することが簡易になってきているのも注目すべきポイントだ。もちろん弊社でもそのサービスをご提供している。

今後、さらにモバイルを自社のビジネスに活用するには、今回ご紹介したストア・ロケーターのような、キラーコンテンツは何か?ということを、とことん突き詰めてみることをおすすめしたい。