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ナレッジポータルの売り手からの提言:KM成功のポイント&Tips TIPS★TIPS No.16

  • 金森 努
  • 2004/07/15

[TIPS★TIPS]

今回は、いささか宣伝めいていて恐縮であるが、当社のKM(Knowledge Management)ソリューションである、ナレッジポータルbr@inportの販売を通じて得られた現場のナマの知見を、企業におけるKM推進のTipsとしてご紹介したい。

企画・営業分野でのナレッジポータル導入ニーズの高まり
ナレッジマネジメントに関しては、当ニューズレターでも何度か取り上げてきたが、昨今、特に企画・営業分野でのKM導入のニーズが高まっている。本年1月のWunderman's viewにて「ナレッジによる営業強化」の必要性を述べたが、まさにそれが現実のものとなってきた感がある。

リストラによるコスト削減によって業績回復を果たしてきた企業が、次のテーマとして掲げているのが「営業力の強化による利益向上」であり、各ビジネス専門誌も「営業特集」花盛りの状態だ。しかし、今日の「営業」は高付加価値型の提案営業にどんどんシフトしてきており、個々の営業マンがいかに靴をすり減らすかで結果が決まる状況ではないのも事実だ。それだからこそ、「稼げる営業としての武器」が必要であり、成功事例や勝率のいい企画書の共有などが可能になる、「企画・営業分野でのナレッジポータル導入」が求められるようになってきたのだろう。

企画・営業ナレッジポータルとは何か
ここ数年、EIP(Enterprise Information Portal)、EKP(Enterprise Knowledge Portal)などの、全社的な情報共有やナレッジ共有のためのソリューションがいくつかの企業に導入されている。しかし、それらは全社をカバーしようとするが故に、営業現場で必要な「すぐに使えるナレッジ」を探そうとしても、全社的な情報や一般情報が多く、欲しいものがそこには収録されていないことも少なくない。

その解決策として誕生したのが、単独で、もしくはEIP・EKPの下で企画・営業という特定領域や特定部門のナレッジ活用を支援するナレッジポータルである。このメリットとしては、目的が明確なだけに営業が「使えるナレッジ」を集約できることと、EIPやEKPがまだ導入されていない企業であれば、それらを導入するほどの手間と労力、コストをかけずにクイックスタートすることが可能であることだ。
※関連公開論文「部門ポータルからはじめよう!」

ワンダーマンの企画・営業ナレッジポータル:br@inport
上記のとおり、昨今の企画・営業分野におけるナレッジポータルのニーズの高まりとメリットをご紹介したが、残念ながらそれに特化したナレッジポータル・ソリューションは現在のところ数少ないのが現実だ。そこで、当社電通ワンダーマンでは本年1月の号でご紹介したとおり、自社で推進しているナレッジマネジメントのノウハウを結実させ、企画・営業ナレッジポータルを自社開発した。そして社内での3年間で、数々のバージョンアップを経て本年より外販を開始したのだ。そのナレッジポータル・ソリューションにはbr@inport(ブレインポート)と名付けたが、おかげ様で販売は好調であり、既に何社もの企業様にユーザーとなって頂いた。

と、ここまででは宣伝で終わってしまうので、以下からお約束通りbr@inportの販売と、br@inportにセットで提供されることになっている、導入・運用コンサルティングを通じて見えてきたKM実行現場のTipsをお伝えしよう。これまでの当社の経験で見えてきたKMの導入障壁と回避策を以下にまとめる。

その1:主人公は誰なのか?
企画・営業ナレッジポータルのように機能や利用目的、対象ユーザーがはっきりしているソリューションにおいては、そのユーザー部門自身が導入の際に力強くリーダーシップを発揮しなくてはうまくいかない。導入を失敗した例を振り返ってみると、本来主人公であるべき営業や企画部門の担当者が、「ITソリューションだから」という、いささか短絡的な発想で社内のITセクションに丸投げした場合が多かった。

あえて反発を恐れず言えば、ビジネスが複雑化している今日において、企画業務や、営業と言っても高度な提案内容を求められる業務においては、それを支援するソリューションの選定や運用に対して、ITセクションが直接的に貢献できるケースは少なくなっている。なぜなら、その詳細すぎると言っても過言ではない業務内容に踏み込み、キャッチアップすることが容易ではないからだ。理想的には、導入の際の主人公というか主担当者は、現場の営業なり企画担当であり、それをサポートする形で、現場業務に理解を持ったIT担当者がチームを組むことだ。
※関連公開論文「情報システム部門は“情報”に帰れ」

* Tips(1):
現場担当者とITセクションの「チーム作り」がポイント!
〜ITセクションへの丸投げは絶対禁止〜

その2:いかにTopを説得するか?
いわゆるトップダウン型で「KMを推進せよ」と命じられたのではなく、「競合環境の中で勝っていくために、ナレッジポータルが必要だ」と、ボトムやミドルが導入を上申していく場合は、どうしてもトップの説得というフェーズは避けて通れない。ともすれば、トップは全社の計数管理のため、BI (Business Intelligence)を充実させる。もしくは、短期的に成果を出しやすいと思えがちなSFA(Sales Force Automation)の方に目が行きがちになる。そこを説得するのだから大変だ。

トップの常套句は、「それじゃあ、それを入れると幾ら儲かるんだ?」だろう。しかし、このROI(Return On Investment投資対効果)の議論に入り込むとKM導入に関する説得は極端に難しくなる。なぜなら、KMにおけるROIは、先進的な導入企業や学会においても様々な検証が行われているが、残念ながら未だその答えは出せていないからだ。

しかし、よく考えて頂きたい。例えばBIによってトップの意志決定のスピードや確度が向上したり、SFAによって営業効率が向上するかもしれない。しかし、それらの本当のROIは測定できているのだろうか?にもかかわらず、KMだけがROIを厳しく問われがちなのだ。KMのROI検証は筆者にとっても大きな課題であり、いずれご報告させて頂きたい考えている。しかし、ROIの論議にのみ、拘泥していては永久にKMの導入は先に進まず、その間のチャンスロスは計り知れないものとなろう。例えばどれだけ企画書等を作成する際に効率化が図れるか。その内容が高付加価値なものになって、受注率や受注額の向上につながる可能性があるかなどの定性的な効用にもっと目を向けるべきなのだ。

* Tips(2):
定量的なROI議論でトップと議論しないこと。
〜数字だけでは表せない定性的な部分でトップを説得しよう!〜

その3:ソリューションの導入を検討するなら、同時に組織と運営体制を考えておこう!
「トップを見事説得して導入した!しかし、うまく運営できなかった・・・。」という悲喜劇は、KMに限らずソリューションの導入に際してはよくある話しではある。しかし、当事者には全くシャレにならない。

当社の場合、ソリューションとセットでこのあたりのコンサルティングは、しっかりやらせて頂くのだが、検討の初期段階で企業様にヒアリングをさせて頂くと、ナレッジポータルの導入にのみ意識が先行しており、その後の運営体制が十分に検討されていないケースが少なくない。中核となるKM担当セクション、もしくは担当者は決定しているものの、当のナレッジポータルのユーザー側とどう連携していくかという部分が定義されていない場合が多いのだ。組織と運用は、導入を前提とした際にセットで考えておかなくてはならない。

結論から言えば、KM担当セクション、もしくは担当者単独で推進機能を担うことはできない。KM担当側をサポートすべく、その運用部分にはユーザー側の協力体制を整備し、各部門に兼任者などがおかれていることが必要なのだ。そして、スムーズな運用は、その専任者と兼任者の連携によって “収集〜チェック〜ナレッジポータルへのアップ〜活用〜フィードバック”という一連のナレッジサイクルを生み出すことがポイントとなるのである。

* Tips(3):
自社の組織やナレッジサイクルなどの内的情報の整理・構築が必須。〜ソリューションの機能比較などによる外的情報だけを検討しない〜

今回は当社の製品であるナレッジポータル“br@inport”をクライアント企業様にご提案したり、納入したりした中で得られた知見をお伝えした。そのため、多少、読者の方には“br@inport”の宣伝めいた伝わり方になってしまったかもしれない。しかし、それが主旨でないことはご理解頂きたい。

多くの商談、コンサルティング、導入セットアップの中で、実際にクライアント様と相対して初めてわかってきたことを、まさにこれからKMを導入されようとされている方に向けて、ポイントとTipsをお伝えしたかったのだ。

現在、KMはマネジメントの側面からも、マーケティングの側面からも多くの企業が注目し、導入の検討をしている。当社、ワンダーマンとしての経験と実績が少しでもお役に立てばと考えている次第だ。