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引かば引け、押さば押せ:営業の極意を再考する

category
ワンダーマン・ニューズレター
writer
金森 努
series
TIPS★TIPS No.17
date
2004年8月19日
themes
その他

金・内柴正人、谷亮子、野村忠宏、谷本歩実、上野雅恵、銀・横沢由貴、泉浩。日本柔道がアテネ五輪でメダルラッシュ。このうっとうしい夏のさなかにあって、何ともスカッとさせてくれる話だ。そこで今回は柔道の極意にあやかって、営業の極意を再考してみようというのが今回のTipsである。

「柔道は引いたら押すんじゃないの?」
今回のタイトル、「あれ?」と思われた方も少なくないだろう。そう、柔道の極意は「押さば引け、引かば押せ」である。これは、相手が押してきたら下がり、引いてきたら寄って間合いを保ちつつ、相手の力を利用して自分が技を掛けることをいう、「体さばき」「崩し」という柔道の基本に属するものだ。しかし、それを極めると、今大会同様、前回のシドニーにおいても金メダルを獲得した、男子60キロ級・野村忠宏が開始後14秒で韓国の鄭富競に一本勝ちした技、「隅落とし」にも通じるものなのだ。

ちなみにこの「隅落とし」は明治・大正・昭和を生きた柔道の名手、講道館十段の三船久蔵が得意とした技でもある。あみ出された当初は、あまりに素早い体さばきで相手の重心を崩し、柔道衣を持った手以外相手には触れずに投げるため、「空気投げ」と呼ばれていたのだ。

・・・試合の感動の余韻からか、よけいな解説が長くなった感もあるが、いかに基本と極意が一体であるかがおわかりいただけただろう。

弱気な営業担当、増殖中
さて、テーマは営業の極意である。「押さば引け、引かば押せ」はそのまま柔道と同じ意味で、相手が強く出てきたら下がり、引かれたら押していくという「営業の駆け引きの極意」として広く言われていることである。筆者も新入社員の営業研修の時、教えられたように思う。

そもそもそれが、営業の極意として教えられるようになった背景には、高度成長期以来の押しの強い営業・ハードセルに対して、消費者が敬遠の姿勢を見せるようになってきたことに起因する。確かにプロダクトアウトがまかり通っていた時代は、消費者も商品の供給を必要としていたため、消費者の意志決定がこう着した際に強気で押せば効果が出ることも多かった。「押さば押せ、引かば押せ」の押しっぱなし状態だ。それに対する反省として「きちんと駆け引きをしてタイミングを見るように」ということで柔道の極意が引っ張り出されたのだ。

しかし、最近様子が変わってきた。最近の営業担当者は「引かば引け、押さば引け」という感じで、引きっぱなし、腰が引けて元気がない人が多いように思う。いや、元気がないというような個々人のやる気の問題ではなく、各企業とも営業組織全体で押しが弱くなっている傾向を表しているようにも思える。ハードセルへの反省が進みすぎたのだろう。

ノンプレッシャー・セールスはお手本か?
ハードセルの代表格といえば自動車ディーラーがすぐに連想されるが、それすらも様変わりしている。1998年トヨタは5大チャネルの一つ、「オート」店を「ネッツ」店に切り替え、その際新たなコンセプトを打ち出した。戸別訪問型営業から、入りやすい店作りによる集客型営業である。

そしてその目玉の一つが、「声をかけていただけるまでこちらから声をおかけしません」という「アスク・ミー・スタイル」、従来のハードセルに対するアンチテーゼであるノンプレッシャー・セールスである。しかし、同時期以降にノンプレッシャー・セールスに取り組んだ同業・異業種の企業の中でも成功を納めているのは数えるほどしかいないのが現実だ。

その差は何か。それは、ネッツの営業担当者と商談をしてみればわかるだろう。彼らは「アスク・ミー」で待っている時とうって変わって、こちらが購入意向を見せたときの積極性は、以前と比べいささかも衰えていない。その意味で、ネッツにおけるノンプレッシャーやその実現手段としての「アスク・ミー」は、決して及び腰の「引き引き営業」と同義語ではないのだ。その形だけをまねをしても、決して成功はしない。

購入意向の見極めこそ命
成功と失敗を分けるものは何か。ここを明らかにしておかないと、今後さらに遠慮ばかりする「引き引き」営業担当者が増加しそうな気がする。つまり、消費者からのセールスアプローチに対する拒絶を恐れるあまり、踏み込みが甘く結果が出せないというケースに対する解決策こそが、今回のTipsだ。

まずは、積極的なセールスを受けることを拒絶する/受容するタイミングやシチュエーションを一消費者の視点に戻って考え直してみることが必要だろう。

最も大切なのは、目の前の見込み客が「どの程度購入意向が高まっているか」という見極めができるかどうかだ。購入意向が低い段階、つまりまだ自分自身で情報収集をしたり、確認を行っている段階であれば、あえて声をかけずに自由にさせておく方がよいだろう。それが昨今の消費者の好む応対であることは間違いない。つまり、相手が「引いている」時は、こちらも「引いて」おくのだ。

しかし、肝心なのは購入意向が高い見込み客が目の前にいたときだ。特に使い方や内容がわかりにくい商品であったり、高額商品であったりした場合、きちんと接触・接客して説明をする、背中を押すという対応をしなければならない。そうでなければ消費者は購入に踏み切れず、営業担当やその企業に対して「不親切」「やる気がない」というような感情を持ってしまう。結果としてクロージングできずに見込み客を逃がすことになるのだ。

今回のTips:購入プロセス状況の情報をきっちり取得しよう
モノが飽和した時代、ハードセルは敬遠される。だから購入意向が高まっていない「引いた」状態の相手に対しては、こちらも「引いて」おく。これは最近営業の常識として一般化しつつある。しかし購入意向が高まり、相手が「押して」きたときには、きちんとこちらも「押して」あげること。この部分が最近弱くなっているのである。今回のタイトルである「引かば引け、押さば押せ」は、そのまま昨今の消費者の営業対応に対する嗜好を反映した営業の極意を表しているのだ。

では、それを実行するためにはどうするのか?まずは、その顧客購入意向はどの程度なのか、購入プロセスのどのレベルにいるのかをどう見極めるかがポイントとなる。

やはりそこは「営業の勘と経験」に頼るのではなく、事前にアンケートの回答でおさえておく、店舗などへの来店回数を記録しておくなど科学的に行いたい。そのためにも、いきなり出会い頭で営業をかけるような旧来のスタイルからも脱却するべきだろう。見込み客としてゆるやかに囲い込んでおき、複数回のコミュニケーションの中で徐々に購入意向を高めクロージングを図るということは、ダイレクトマーケティングやCRMの王道である。それらが営業現場でも実践されることが重要なのだ。

今回は営業活動の中で見落とされがちな、新しい基本であり極意であるポイントをお伝えした。各企業とも営業費用の切りつめ・削減によるリストラはもはや限界に来ている。これからは営業担当が売り上げと営業利益を上げることで、企業が本来の体力を回復していく以外に生き残る道はない。だからこそ今、営業が見直され、脚光を浴びているのだ。その期待に応え、営業がエースプレイヤーとして企業復活という金メダルを取るためにも基本を忠実に守りつつ、極意を発揮して頂きたい。

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