情報ライフサイクルマネジメント 第35回 〜「日経NET BizPlus」 連載
- 杉田 裕一
- 2004/11/09
[IT & マーケティングEYE]
情報整理と情報管理。今、多くの企業が取り組むキーワードである。個人情報のみならず、すべての保有情報についてセキュリティーの管理をしなければ企業の社会的責任が果たせない状況となってきた。そこで、企業は率先してPマークやBS7799などのコンプライアンスプログラムの準拠・取得を目指すわけである。
ご存知の方も多いと思うが、PマークやBS7799では、社内の情報(Pマークでは個人情報)について最重要・重要・中程度など情報の重要度合いによって分類をし、それぞれの情報によりアクセス可否と保管状況について企業内ルールを徹底させることで運用される。
しかしながら、どちらのコンプライアンスプログラムも情報が時間の経過により重要度が変化することについては十分に設計されているとは言い難い。また、管理手法の見直しという概念はあるものの、現状の情報量で設計される管理のため増大する情報管理についても考えられていないのである。つまり、日常的に変化と増大をともなう企業の情報管理には、機密性重視の管理では不十分であるということになる。
活用でする情報と保存情報
少し前置きが長くなってしまったが、そこで今回は情報ライフサイクルマネジメント(ILM:Information Lifecycle Management)」という考え方を紹介し、情報管理のありかたについて検討してみたい。
情報ライフサイクルマネジメントを簡単にいうと、「情報の価値は常に一定ではなく、時間経過によって変化する。また情報には常に活用・更新されるものと、まったく活用・更新されないものもある。つまり、情報を活用・更新するものと、保管管理するものと分けて管理する」という考え方である。
実際の実務に即して考えてみるとさらにわかりやすい。例えば、現在稼働中のプロジェクトのデータなどは常に更新されるだろうが、すでに終了してしまったプロジェクトや過去の財務データなどは、参照されることはあっても書き換えられることはない。
むしろ、法令で保管が義務づけられている過去の財務データなどは書き換えられては困るだろう。つまり、単に一口で「情報」といっても
- 活用中のもの
- 活用中ではないがマーケティング戦略の構築や新製品の開発など業務に参照されるもの
- 保存は必要だが参照されることは極めてまれなもの
- 本来は不要なもの
といったように分類をした上で電子ファイルや書類などの保存方法をポリシーに従って、
<活用中>電子ファイルと書類を共有化
<参照活用>電子ファイル化、共有化
<参照用>電子ファイル化、メディアバックアップのみ、参照期間終了後廃棄
<不要>廃棄、廃棄リスト化
などが必要となってくる。
現状ではすべて同じ「情報」として管理されているのが多いはずだ。情報を区別無く、これまでのように高速かつ高価なストレージに保存し続けることは、結果としてストレージを含めてコストを大きく引き上げることになる。情報ライフサイクルマネジメントといったポリシーを導入することで、業務とコストの効率化をさらに目指したい。
