ナレッジポータルの悲劇:使われない!と嘆く前に!! Wunderman's View No.21
- 金森 努
- 2004/12/02
[Wunderman's View]
最近、ナレッジマネジメントに関する講演を行う機会も多く、それに伴って当社で自社開発したナレッジポータル「br@inport」のコンテンツへのアクセス、お引き合いが増えている。非常にありがたい限りだ。当然、まだ導入されていない企業さまには当社も商売なので、自社の「br@inport」をお勧めさせていただく。
※関連コンテンツ:ナレッジポータル構築サービス
しかし、お問い合わせで多いのが、「ユーザーが使ってくれない」もしくは、「使いこなせていないのようなのだがどうしたらよいか」という類のご質問だ。当社はナレッジマネジメント、及びナレッジポータルの導入・運用に関わるコンサルティングも行っているので今回はそのエッセンスをご紹介しよう。
「使わない」のか、「使いこなせないのか」のか?
実は、このユーザーが「使わない」のか、「使いこなせないのか」という、一見似て非なるものの間には、非常に大きな差が存在する。まずは、そのどちらなのかを追究することから始めるのが基本だ。周りの人間を見てもポータル画面を開いている姿を見たことがない。もしくは、ポータルに実装されている、何らかのログ集計ソフトの数字を眺めてため息をついていてもしかたがないのだ。
さて、「使わない」という場合、想定されるのは「使う習慣ができていない」「コンテンツに魅力がない」という二つのレベルが想定できる。前者であれば、さらに利用促進のための社内プロモーションを展開する必要がある。ログを見れば、部門毎の利用状況は一目瞭然なので、当該部署に向けて集中的にプロモートすることも有効であろう。
手間をかけてヒアリングしてみよう!
しかし、不幸にして後者であった場合、問題は根深く、その後かかる手間も多くなるのを覚悟する必要がある。非利用ユーザーの中から「コンテンツに魅力がない」という理由を述べるユーザーを抽出し、「魅力ある(利用したい)コンテンツ」とは何であるのかをヒアリング等によって明らかにすることが重要だ。
大げさにいうと、そのナレッジポータルに求める「価値とベネフィットは何なのか」ということを洗い出していかなくてはならないのだ。ちょっとした便利ツール、社内情報のリンク集程度のものを求めているのか、それとも、より自己研鑽ができ、高度なアウトプット(ドキュメント作成)が可能になることを望んでいるのか等々、、、。このヒアリングは、各階層、職種様々な切り口で綿密に行っていくことが大切なのだ。ここでの手間が、社内のニーズにフィットしたタクソノミー(ナレッジ体系)を作り上げることに貢献するからだ。
意外な逸材の発見に繋がるかも?!
「コンテンツに魅力がない」というユーザーのヒアリングを実施すると、そのユーザーは現行コンテンツよりも遙かに上のレベルの知識を持ち合わせている場合にも遭遇する。つまり、ナレッジポータルを使わない。自分のナレッジを供給もしない、「自己完結型」のトッププレイヤーだ。であれば、そのユーザーは何としてもコンテンツ(ナレッジ)の供給者として巻き込んでいかなくてはならない。つまり、現場において、特定領域において卓越した知識を持ったとプレイヤーとしてナレッジコーディネーター(もしくはプラクティスリーダー)としてKMの運営サイドの人間として巻き込むのだ。
無論、本人は拒否するかもしれない。しかしそこは少々荒っぽく、現組織に加えてKMの運営部署との兼任辞令を発行しMBO(目標管理制度)の評価項目でも一定以上の稼働と労力を提供することを評価基準としてコミットさせるのだ。そういう優秀な兼任のプレイヤーがどんどん増えてこそ、社内のKMは活性化するのである。
使えない!といわれてしまったら?
さて、ナレッジポータル不振の原因を追求するヒアリング結果の中で、「使えない」という意見が多くみられることも少なくない。しかし、それは悲観することはないのだ。もう一度、ログを見てみよう。本来、重要であるにもかかわらず、多くのユーザーがそのコンテンツを利用していない場合、それは階層が深すぎるなどのユーザビリティーの問題が潜在していると考えられる。
つまり、ユーザーは「使いたくても使えない」状態にあったことを表しているのだ。そのような傾向が見えたら、すぐにでもユーザビリティーを改善すべく、ユーザーの協力の下ユーザビリティーテスト(指示したいくつかのコンテンツを実際にポータルを操作して探し出させるなどの方法が有効)を行うべきだ。
このように、ポータルを構築した後は、常に管理者はログの監視をし、そこから意味を読み取り、何らかの傾向を感じたら、対面でヒアリングを行ったり、社内プロモーションを展開する、テストを行うなどの努力が欠かせない。
社外向けのWEBサイトに力を入れて、日々進化させている企業も多い。しかし、同じように社内向けのナレッジポータルも生き物のように、ユーザーニーズに応じて日々進化していく必要があるのだ。
