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プロ野球の復権なるか、千葉ロッテマリーンズの顧客マネージメント

category
ワンダーマン・ニューズレター
writer
宮下 敬志
series
Wunderman's view No.29
date
2005年7月 7日
themes
顧客インサイト

千葉ロッテマリーンズ大躍進の影に顧客マネージメントあり!?
昨年の球団合併・1リーグの再編問題を期に生まれ変わった2005年のプロ野球。前半戦の話題は、新球団・楽天ゴールデンイーグルスの予想以上の低迷、セパ交流戦の盛り上がりなど事欠かないが、大きな注目点は千葉ロッテマリーンズの大躍進であろう。

なぜ、今年はこんなにも強いのか?その要因はチームの戦力強化もあるが、ファンの強力な後押しが大きいことにもありそうだ。そもそも、今一つ人気が低迷しているプロ野球全体の中で、どうして多くのファンがつめかけ、熱い声援を送るようになったのか?

ダイレクトマーケティングの教科書的な話だけではなく、わかりやすい事例を知りたいのだけど・・・という読者の声をいただくこともあり、今回のニューズレターでは身近な例として、ダイレクトマーケティングの視点で千葉ロッテマリーンズのファンサービス・顧客対策をひもといてみることにする。

顧客化に結びついた仕掛けとは?
巨人や阪神など比較的人気があるチームとの目玉カードや、週末や夏休み期間等は、その対戦カードと行楽的気分により自然に観客が集まるものだ。しかし、飲食店で言うところのアイドルタイムであるウィークデーの集客をどうするか?どのチームも共通で抱える課題に対して、千葉ロッテマリーンズならではの解決策は2つ挙げられる。

1)地元の人の巻き込み
昨年来から取り組んでいる、ビール会社の協力による近隣の飲食店とのタイアップである。お店では"勝った日にはビール1杯サービス"などの特典を用意。飲食店に行った際に、普段は関心がなかった人も恩恵にあずかれるのがうれしく、皆で盛り上がれる。そして「明日も勝つことを期待しよう!」と地元チームを応援したい気持ちになってくるわけだ。

2)気軽にトライアル
今年から始めたのが、球場がある幕張新都心のオフィスで働く人々を意識した試合前イベントや、近隣駅利用者に対する入場料割引などのサービスである。ターゲットを地元の人や近隣で働く人に絞って、「会社の帰りにちょっと寄ってみようか」とお互い誘い合いながら気軽にチームに触れてもらうわけだ。一度、来場してもらえばしめたもの。こうして顧客となり、観客動員アップにつながっていく。

応援してくれる観客がふえれば、当然選手もますますやる気が出てチームの結束も高まる。勝利を重ねていく構図の完成である。

ファン層の育成・拡大フェーズへ
顧客獲得に成功したら、次は顧客のロイヤリティを高め、何回も球場へ足を運んでもらい、ファン化していくことが求められる。

野球好きの人であれば、若手選手のひたむきなプレーを見たり、チームが強くなる過程を満喫するなど、チーム本体に対する印象で"ファン化" していくのが通常のパターンだ。だが、千葉ロッテマリーンズは野球にさほど関心がない人に対しては、球場そのものを「エンターテインメント施設」とすることでロイヤリティを高めていく戦略をとっている。

休みの日、コアなファン(例えば父と息子)が、家族(例えば母と娘)を誘って、家族全員で球場に来てもらい、家族全員をファン化するプログラムを提供している。それが球場の「ボールパーク化」だ。

同エリアには特設ステージも設けられ、試合前にはムードを盛り上げるスタジアムチアガール集団(M☆SPLASH!!)のパフォーマンスや、チームのキャラクターである「カモメの3兄弟」のイベント、さらに試合後には球界史上初めてであろう、活躍した選手による「臨時カラオケ大会」などを開催している。

昨年中盤には、千葉マリンスタジアムのメインエントランス周辺でネオ屋台村がオープン。ヤキソバ・やきとり・ビールなどのいわゆる古典的・縁日的な食べ物以外にも、タコスやベトナムフォー、トルコ名物ケバブなど、これまで野球場では味わえなかった食べ物が楽しめ、ここに来るだけでお祭り気分が味わえる催しが繰り広げられている。また、チームキャラクター「カモメの3兄弟」は千葉県内の幼稚園・保育園を訪問し、幼少期からファン化させる取り組みも実施している。

純粋な野球ファンのみならず、家族みんなが誘いあって、思いっきり声援し、盛り上がる。その時その場面で、一つひとつがそれぞれ家族の思い出づくりにもなるし、何回も来場したくなる。こうして球場が「エンターテインメント施設」として機能し、ファンの育成・ファン層の拡大につながっているのである。

今後の課題、ロイヤリティプログラムの視点は?
球場に誘致し、繰り返し通わせてファンにさせる。ここまでの千葉ロッテマリーンズの顧客マネージメントは日本のプロ野球チームとしてはトップクラスにあるといっても過言ではない。今後の課題は、よりブランドの好感度を高めて、ロイヤル顧客へと育てるロイヤリティプログラムである。

球団にとって最も高い収益顧客であるスペシャルラウンジ席(VIPシート)の顧客向けには、専用の駐車場券や飲料無料サービス、前述のM☆SPLASH!!の座席訪問などの魅力的な特典がある。ただし、こういった高価格なシートは、企業の接待・福利厚生用に購入されていることが多く、不景気のあおりで企業による購入が停止されることも想定される。

だからこそ、ここまで大切に育ててきた個人の顧客の心をいっそう強くつかむべき重要な時期にさしかかったと言える。考えられることは、ファンクラブ会員のクラスアッププログラム(楽天ゴールデンイーグルスに先を越されてしまった)、年間指定席のばら売り(現在は最低でも1シートあたり14万円/年)、開門時間の繰上げ入場(現在はナイターで試合開始 2時間前のため、ホームチームの打撃練習は見られない)、ファンクラブ会員限定試合の開催、知人・友人の紹介による特典の付与など、様々ある。

ここで大切なのは、顧客一人ひとりの心をくすぐり、気持ちを高めるプログラムを考えること、「あなたのことを私たちは大切に思っている」と感じてもらうことではないか。そもそも「プロ野球はファン一人ひとりを大切にしていない」というイメージが先行してしまった感がある。 今シーズンから、千葉ロッテマリーンズはWebサイト上に投稿BOXを開設。開設1週間で1,000通を超える投稿があったと聞く。そのほかにも、対面質問形式の来場者アンケートを実施したこともあり、今後のサービス開発に何らかの形でつながっていくことが期待できる。

こうして注目が集まっている時こそ、顧客に向けて、丁重な「お伺い・アンケートメール」を実施したり、「応援メッセージ」「ご意見メッセージ」が選手のみならず経営陣にも直接届くようにする。また回答者には返事を送るなど、お互いの思いが通じあうようなコミュニケーションを図ることを考えたらいかがだろうか。

ダイレクトマーケティングの創始者であるレスター・ワンダーマンは、今年「成功する会社が知らねばならない19のルール」に20番目のルールを加えた。

「会社は聞くべきだ」
自分からしゃべり続けるのではなく、語ると同じくらい聞くべきである。
そこに対話の鍵がある。

プロ野球のような"目にみえないサービス"だからこそ、顧客を知り、話を聞き、さらには、心を通わすことが重要であり、チームを愛するファン(顧客)と、その声に耳を傾けるフロント(企業)の心が通うことが、強いチームの条件へとつながるようだ。

プロ野球界は昨年の混乱の中で、あらためて顧客の声を聞いていないことに気づいたわけだが、むろん今からでも遅くはない。そしてこの球団は、すでに「顧客を知り」「聞く」ことを始めていて、その手ごたえを感じ始めているのである。

*記載の社名・商品名は各社の登録商標または商標です。
*記載のサービスや価格は、2005年7月1日現在、当社調べによるものです。

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