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変わりゆく消費者環境の中であるべき営業の役目とは

category
ワンダーマン・ニューズレター
writer
上之原 匡
series
Wunderman's view No.41
date
2006年7月 6日
themes
顧客インサイト

このところの消費者は、心も身体も急激に変化しているように思われる。ここで言う変化とは、一時的なブームとして数年後になくなる様なものではなく、個人に強く定着している変化と考えている。これに対し、企業は多様なチャネルを介して消費者にアプローチしていくことになるのだが、「営業」というチャネルはこの消費者の変化に十分に対応しきれておらず、営業ならではの力を発揮できていない様に感じる。

消費者の変化(1)「見えないものが見えるようになってきた心」
消費者の変化として大きく感じるものは、「目に見えないもの」、「その場では価値が分からないもの」にお金を払うようになっていることだ。この変化の具体例を以下に示そう。

例えば投資。かつて、政府が間接金融主導の世の中を直接金融へ移行させようとテコ入れをしても、消費者はほとんど変わらなかった。それが、ここ1〜2年という短い期間で、金融商品として株や投信が一般的な選択肢となった。ネット証券は350万口座を越え、携帯での株売買が1兆円を越した事実からも個人が抵抗なく投資をするようになったことがうかがえる。

もう一つの例は嗜好品。嗜好品と言えばウイスキーや葉巻がイメージされたが、その対象が増えているように思う。ウイスキー、ワイン、焼酎、コーヒー、自転車、住宅まで、かつては「白か赤か」、「ブレンドかアメリカンか」、「ハウスメーカーか工務店か」程度の感覚しかなかったものが、選択肢の充実も手伝って"より自分好みの"が付く選択をしているように感じる。「焼酎は米よりも芋、それもお湯割りで飲む」とか、「建築家に自分の趣味を反映した設計をしてもらう」といった具合だ。

投資と嗜好品という全く関係の無い話を出したが、明らかに10年前はほんの一部の人にしか当てはまらない消費者像である。では、この変化をどう見るか。私は消費者が"見えないものが見えるようになってきた"のだと捉えている。

給料明細やボーナスの入ったATM画面を見た時に、まとまったお金を投資することで増やすことをイメージする。また、店頭のワインを見て、夕食でどの料理にあわせるか、特別なイベントでの引き立て役に使うか。自分の生活の中でどのように取り込むと、どのような楽しいことがあるのかをイメージする。このイメージする力が豊かになったのだと思われる。

これがマスメディアの見せる多様なライフスタイルによる影響なのか、電子分野でのコミュニケーションが増え、実態の無いものに触れる機会が増えたからなのか、理由は明確には言えないが、今後「お金は基本的に全て貯金」という後戻りは無いと思われるし、一時的な変化ではないことは断言できる。

消費者の変化(2)「見えているのに見えていない身体」
上記のような変化ができ上がっている一方で、「見えているのに見えていない」消費者が多く現われているように思う。これは心ではなく消費者の身体の話と言える。

ここ20年で我々が一日に受ける情報量は10倍になったと言われる。これに対し深刻になっている問題として、思考停止があるとのこと。人間の情報処理能力は限界があるので、とてつもなく多い情報に対しては見ない・聞こえないようにする。つまり部分的に「思考停止」するのだ。極端な場合は、"情報を取り込まない"または"自分で判断をつけられない"「回避性症候群」「依存性症候群」といった症状になってしまう。

このような人にとっては、受け取る情報が無味乾燥で無機質なものに感じられることから、ことさら「生きたもの」「魂があるもの」を求めがちとなる。ひょっとしたら、改めて日本人の在り方を語った『国家の品格』や精神的な意味を多く含む「ヨガ」が大ヒットしたのも、無味乾燥な情報の中で何らかの「生」を求めた結果なのかも知れない。

複雑化する消費者に対するコミュニケーション
消費者の変化を二つ挙げたが、(1)と(2)は相反するものだ。だからこそ消費者像の把握が難しくなっていると言える。消費者の内面では個人のライフスタイルが大きく幅を利かせ、外部環境との接触時には情報を受け入れにくい状態だ。

この複雑な消費者に接するにあたり、今一度基本に立ち返り、個対個のコミュニケーションを目標別に整理したい。社会心理学者の池田謙一氏によるコミュニケーションの3相をベースに、消費者対企業のコミュニケーションを考えると、以下の3つの状態に分類できる。

1.メッセージを伝えている状態:
対象に対して"感情や行動"の変化を目標にメッセージを送っている状態。 これは、マスメディアが一方的に消費者へ「伝えている」状態が例と考えられる。
2.メッセージが伝わっている状態:
対象に対してメッセージを送り、対象がメッセージをキャッチして、感情や知識を共有することを目標にしている状態。 営業やオペレーターが消費者と話をして、メッセージの受け渡しができている状態が例となる。
3.メッセージが伝わってしまっている状態:
対象にメッセージを送る意図や目標を意識していないにも関わらず、対象がメッセージをキャッチしている状態。 営業が熱心に自社商品のセールスポイントを語ることで、「本当に商品を信じて話をしている」と商品の良さが自然と伝わってしまうことが例と言えよう。

上記1,2のような情報の共有は、商品購入の選択の俎上に乗せるためには必要である。情報を知りたいのなら確実に情報を伝えるコールセンター・Webも必要。ただし、ほとんど飽和状態にある各種サービス・商品群の中で購入に結びつくのは、3つ目の「伝わってしまう」コミュニケーションにあるように考える。

この3つ目のコミュニケーションをできるのは、人が積極的に介する「営業」である。この対面チャネルの重要性を受けて、すでに企業も具体的な施策として動いているように思う。

例えば、ひと通りの非対面チャネルを充実させた銀行や証券会社が、店舗サービスを充実させ、支店セミナーを多く開催するようになっている動きも一つ。

また、代理店営業を擁する企業が代理店管理のシステムを導入し、代理店情報の共有と効率利用を進めている事例が多く見られることからも、対面営業に力を入れているものと解釈できる。

営業社員一人ひとりに求めること
消費者の複雑な変化によりコミュニケーションが困難になる中、営業個人はどのような振る舞いを求められるか。その解は、前述の消費者の変化に対応していくことにある。

まず、"見えないものが見えるようになった"消費者に対し、多様な商品使用時のイメージを語ってあげられる能力が1点目だ。金額やスペックだけでなく、消費者のイメージを誘うのだ。さながら、ストーリーテラーとでも言うべきか。欧米ではロジカルシンキングの次は、ナラティブシンキング(narrative thinking:物語力) が重要視されているというが、これと類似した発想である。

かつて、営業業務改革のコンサルテーションに取り組んだ際、ロジックの世界では全案件が成約してしまう営業プロセスを設計したとしても、完全な結果は出なかった。このロジックでは作り込めない部分を補うのが、この物語力なのではないかと考える。この点については、新たなナレッジ共有の1項目として、商品を使うストーリーというものがあっても良いのかも知れない。

一方、"思考停止しがちな"消費者の変化に対するポイントとしては、どの様に考えるべきか。これは、前述の3つ目のコミュニケーションが答えとなるだろう。

営業ならではの"最後の一押し"は、小手先の説明で済まさない、深い商品理解と商品への親しみといった感情的な部分が大きいと思われる。これにより、無機質な情報を血の通った情報に変換させ、「心底信頼している商品なんだ」という、言葉では伝えられないメッセージが発生する。

むろん、この点をマネッジすることは、簡単なことではない。しかし、間接的に時間をかけ育成していくことは可能と考える。例えば商品情報をより深く理解する社内セミナーを実施するのも一つ。

また、自社社員を対象に商品・サービス満足度の調査を実施。調査で明らかになった課題を改善していくような働きかけも、間接的な育成方法となる。これは、会社や商品が社員から愛されるものに生まれ変わった結果、自然と心のこもったサービス提供につながるという流れだ。

企業が行うべき営業チャネル最適化に向けて
これまでに述べてきた営業・対面チャネルは、顧客接点の中でも比較的大きな費用となるチャネルであるので、特に有効に活用する必要がある。

そのために、新聞やTV、チラシ、Webサイト、コールセンター、DM、セミナーなど、今お持ちの顧客接点を一度整理し、企業(商品)を演じるこれら役者達の振る舞いとその関係性を明確にする。その上で、営業の特性を活かした振る舞いを定義付けていくことが必要であろう。(チャネルミックスの話は機会があれば、また触れることとする)。

この配役が整えられた先には、血の通う、会社の意図を代表して、ものが売れ、他部門からも認められる、営業部門の確立が実現されるものと信じている。

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