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通信販売事業への参入を成功に導くために

category
ワンダーマン・ニューズレター
writer
益国 隆人
series
Wunderman's view No.42
date
2006年8月 3日
themes
コミュニケーション戦略

「通販」は黄金の新大陸か
日本通信販売協会の発表によると、2004年度の通信販売業界全体の売上高は推計で3兆400億円となり、対前年の伸びは9%を記録した。今夏発表される2005年度の集計結果では、さらに10%以上の拡大が予想されるという。

他業種の市場規模推移と比較すると、成長著しいと感じるコンビニでも+2.7% 、スーパーが−1.2% 、百貨店は−3.4%と軒並み苦戦を強いられている中で、通信販売業界の9%成長という数字がいかに大きいかお分かりいただけると思う。「通信販売業」に限定せず、有料の音楽配信事業や航空機のチケット、ホテル予約などインターネットの普及によって新しく生まれたビジネスモデルや、ダイレクト保険や投資信託などの金融商品等も含めればその市場規模はさらにその数倍まで拡大するだろう。

長い間デフレと消費不況を経験したわが国において、急激なこの市場の拡大と消費行動の変化に強い期待を寄せられる企業担当者も少なくないことと思う。

流通や経営の変化が通信販売を加速する
2000年の大店法施行に伴う規制緩和をきっかけに全国に出現した大規模量販店やドラッグストア、逆に限られた販売棚をPOSデータで効率的に管理し、強力なブランド力と利便性で圧倒的な販売力を持つコンビニエンスストアによって、多くのメーカー企業は消費者主導力を簒奪された。大量仕入れによるコストダウンはメーカーの売上を圧迫し、厳然と突きつけられるPOSデータは商品寿命を著しく短命化した。メーカー企業にとって中長期の経営を支えるためには新たな販路の開拓は不可避なことになりつつあり、直販ルートの確立を目指して通信販売事業への参入を試みる企業が後を絶たない。

"インターネット""決済システム""宅配便"の3大インフラが社会的に浸透し、消費者に安心してネットショッピングで購入してもらえる仕組みを比較的簡単に提供できるようにもなった。そこで名の知れたメーカー企業においても「通販でも既存事業で培われたブランドが優位に作用するだろうし、流通コストが削減できて利益率も高まる。流通サイドに奪われた消費者主導力も取り返すことができる。」と考えて、通販事業を始めるのは当然の流れかもしれない。

通販事業担当者の苦悩と誤謬
:ところがどっこい。始めてみたら思ったように売れない。
:そこそこは売れているのだが、利益が出ない。
:事業計画書にあるような計画数字にはとても手が届かない。
:半年で成果を求められているのに、こんな状態なら事業撤退を検討しなければ
  自分の立場が危ない。
:広告費がかさみ、これでは広告会社を儲けさせてやっているだけではないか。

こんなお悩みを相談されるケースが急増している。しかし、詳しく話を聞き、資料を拝見するといつも同じ回答に至ることになる。

「何もおかしいことはありません。」

参入した通販事業の成果は着実に出ている。少なくとも広告やサイトに反応した顧客は存在し、売上がたっている。問題なのは、その事業計画の立て方と目標の規模感、その他もろもろの「御社のご都合」なのだ。

なるほど時間をかけて通販事業を立案し、人事の異動を行い、生産ラインにも変更を加えたりもしているのだから、その「投資」を回収して収益ベースに乗せる「成果」を出す必要があるのはわかる。しかしながら事業計画の目標そのものが呆れるほど壮大な目標金額であったり、あまりにも性急な計画達成だったりする。

さらには、既存チャネルを刺激しないようにと競争力を最初から持ち得ない商品になってしまったり、関連他部署に協力を得られぬしわ寄せが、顧客への遅い商品配送や支払い方法の不便さに現れていたり。貴社でも心

通信販売ビジネスを始めるにあたって
あたりまえのことであるが、通信販売は消費者の反応によって売上が大きく変動する。商品を作って流通企業に出荷すれば売上がたつのとは大きな違いだ。その意味で新規参入を試みるメーカー企業にとっては、通信販売の消費者行動依存型なビジネスモデルはなんとも計画性の乏しい、収益基盤の脆いものと感じることだろう。しかし逆に言えば、常に立案、実施、検証、修正のPDCAのプロセスを繰り返すことによって、莫大な損失を被ることを回避しながら、着実に成長させることも可能なビジネスなのだ。

通信販売を始めるにあたって最も重要なことは、経営サイドの通信販売に対する十分なご理解だろう。これまでの知名度やブランド力は大した役に立たないことを知っていただかなくてはいけない。小さなビジネスから始めて、商品やサービスに満足して購入を繰り返してくださるロイヤルな顧客を増やすことで大きなビジネスに発展させるという正攻法以外に、長期間収益をもたらす事業として成功させるすべはない。仮に短期間で爆発的な収益を上げても、継続して顧客に満足を与えられなければ、ネット上の口コミが企業生命を左右するような現在、獲得した大量の顧客に企業のブランドを毀損する行動をとらせてしまうリスクさえある。性急な成果を求めるよりも、長期的視点で直接顧客と接するビジネスを戦略上どう捉えるのかということを十分に検討しなければいけない。

実施においては、商品企画、市場研究、競合研究、ターゲット調査などに十分なコストと手間をかけることをおすすめする。その上でテストマーケティングを行い、レスポンス広告のクリエーティブ、メディア、販売価格、購入インセンティブ、Webサイトの設計やデザイン、コールセンターの応対時間などの検証を行う。購入者に対するアンケートや購入後の質問やクレームなどを元に、顧客拡大や顧客満足向上に必要な知見を形式知化することも必要だ。購入者に対しては継続購入をなるべく低コストで繰り返していただけるような仕組みも作らなければ、収益化は加速しない。これだけでも事業として採算ベースに乗せるまでに相当の時間を必要とすることがお分かりいただけるはずだ。

通販ビジネスのもうひとつの成果
最後に、ある企業の成功例をご紹介したい。
かなり大々的に投資を行って始めた通信販売事業が芳しくなく、撤退も検討の視野に入っていたところだった。ところがある商品を自社のWebサイトを通じて消費者参加型で開発したところ、発売開始後1週間で完売、初期ロットを超えた追加増産を行うことになった。原価率は30%を下回り、大きな利益をもたらしたヒット商品になったばかりでなく、その商品開発の過程で得られた消費者の意見や要望はこれまで社内の商品企画では決して生まれることはなかったもので、今後の商品開発に多大な影響を与えるものになったという。さらにその経緯を聞きつけた大手コンビニエンスストアチェーンからは商品の独占販売のオファーが持ち込まれ、卸値の交渉もメーカー側に非常に有利に進んでいるとのことである。

この事例は、本業のビジネスに対する有益なマーケティング装置として通信販売事業が作用したケースである。通信販売での直接的な利益だけで評価せず、ブランドや顧客ロイヤリティの向上に貢献する事業価値も総合的に評価、活用することで、通信販売事業への参入に新しい経営上の意味を持たせることができるのである。

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