日常的に蔓延する"お友達紹介施策"
日常生活上で"お友達を紹介してください"というフレーズをよく見聞きすることがある。しくみやメディアはそれぞれに異なるものの、カード会社、マンションディベロッパー、乳幼児向け食品、飲料、教育関係などなど業態や商品に限りは見られない。
その状況下でいずれも気になるのは「紹介者はどのように紹介するのか?紹介される側はすんなり紹介されるのだろうか?この施策は成功しているのだろうか?」といった点である。
そもそも、ダイレクトマーケティング上では"お友達紹介施策"は"Member Get Member"(以下MGMと表記)と称し、認識されている。この意味は文字どおり、「会員が会員を獲得する」というもの。もっと言うならば「なんらかの会員組織のメンバーが新たな会員を獲得する」という意味である。
よって、MGM施策の肝はメンバー≒ある種のロイヤリティが確立された顧客の存在であり、取引が成立した顧客に対し、ロイヤリティ醸成のプロセスがどのように設計され、メンバーがどのように確立されていくのか、もしくは、これらの施策とロイヤリティとの関係性がとにもかくにも気になるのである。
ロイヤリティ施策の成功事例と成功を導くポイント
以前、当社で新規顧客獲得を目的としたMGM施策を実施した際のこと。このクライアントは、当社に相談する以前より十分にブランドが醸成されており、顧客層にはリピーターも多く存在していた。しかも、多くは単なるリピーターではなく、"ブランド・ファン"であった。この状況に、クライアントはMGM施策を実施するに十分と考え、キャンペーンを仕立てたが、結果は失敗に終わった。
その後、相談が持ちかけられたのだが、施策を検証したところ、以下3つの問題点を見出した。
<問題点>
- キャンペーン対象者を顧客全般としていた。
- ブランドは顧客に受け入れられていたが、商品の機能性やメリットなど特長が解りにくく、購入まで至るには、十分な解説を要する商品だった。
- 紹介者が被紹介者にお友達紹介キャンペーンのしくみや紹介オファーについて説明する必要が生じた。
これらの問題点を解決するソリューションとして、当社は以下のしくみを構築し、失敗より成功を勝ち取ることができたのである。
<ソリューション概要>
- 過去のアンケートやリピート状況をはじめとする顧客情報を分析し、ターゲットのセグメントを行った。
- 対象者を、単なるファンではなく、商品を十分に理解し、他人に解説できるであろう層に絞った。
- 上記のように対象者を絞り込んだことにより、紹介者への詳細な商品説明を省略化し、被紹介者向けの商品や何をすればどのようなメリット(オファー)を享受できるか等、限られたスペースの中でキャンペーンのしくみを解りやすく表現した。さらにチケットタイプで、被紹介者に渡しやすい撒き型ツールを起用した。
この案件が成功した要因は、ターゲットのロイヤリティ尺度、商品特性、それらを十分加味したしくみが一貫したことにあると分析している。
前述の事例を踏まえ、ロイヤリティプログラム上でMGM施策を実施する場合に、忘れてはならない4つのポイントと視点を以下にまとめさせていただいた。
- ロイヤリティが高い顧客を対象とする
顧客をセグメント →育てる →優良層であることを認識させる→紹介できる
- 紹介者と被紹介者双方へのオファー提供を必須とする
両者にとってのキッカケづくり →気兼ねしない、話しやすい
- 手間がかからない、ひと目で解りやすいしくみ
口頭や説明なしでもわかるクリエーティブ →ツールの開発、提供
- 「誰が誰を?何人?被紹介者の生む利益は?」施策の結果を検証し、次回にフィードバックする
施策の全体フレームワーク →成果を対象者別に検証(トラッキング)できるしくみ
商品特性×市場環境×ターゲット×タイミングetcでしくみを設計する
ご紹介した事例は、ダイレクトマーケティング上のロイヤリティをベースとしたMGM施策の一例であり、理論と市場のニーズをはじめとする様々な要因がベストマッチした結果である。
さてここで、私が最近触れた上記とは異なるお友達紹介の事例をご紹介しよう。先日、幼児を持つ友人と友人宛に届いた幼児向け商品の販促DMについて話をした。DMには申込用の返信ハガキがついており、そこには属性の記入欄と簡単なアンケート、さらに「お友達を紹介してください」が記載されていた。友人は資料を請求しただけで、商品を購入したり、会員組織に登録したわけではない。
友人に誰か友人を紹介する気があるのか聞いてみたところ、「何かもらえる(メリットがある)なら紹介してもよい」と答えた。商品を購入してみてその商品が友達に勧めるに値しないものだったらどうするのかとの問いに、「この商品は既に他の友人が試していて、その友人の勧めで資料請求をした」という答えが戻ってきた。
これにあるように、紹介者になるであろう友人は、その企業にとってはまだ顧客ではない。にも関わらず、何らかのメリットがあればさらに友人を紹介しようとしている。企業にとっては、ロイヤリティなど存在しない見込客が見込客を獲得してくれるので倍の成果を得ることができているわけである。
この例はあくまでも私の友人の例ではある。このようにロイヤリティとは関係が薄いアクイジション(新客獲得)段階でも、お友達紹介施策が結果をもたらす可能性もある。ダイレクトマーケティング上のMGM施策とは異なり、ロイヤリティが皆無であったとしても、商品特性、市場環境、知名度、ターゲット、タイミング等によっては、お友達紹介施策を成功させるチャンスがあるのではないか。
マンションディベロッパーが主催する住宅購入後の新居披露パーティー。保険を勧誘するファイナンシャル・プランナーが、ターゲットだけではなく、友人知人も巻き込んで実施するアセットマネジメント勉強会。お台所用品の実演販売を目的とした茶話会など。特に口コミ効果にも見られるターゲットを取り巻く人々の反応や評価が成果をもたらす商品サービスは、しくみにより、このママ子市場案件と同様にロイヤリティのないお友達紹介施策が成立する可能性があるのではないかと思料している。
他をまねるのではなく、自身に置き換えて施策を再考する
今後、読者の皆様が施策を試みる場合は、今回ご紹介した内容を思い出していただければ幸いである。
- むやみに「お友達紹介施策」を実施しても望んだ成果は得られない。
- 対象が誰なのか。顧客であるのか、そうでないのか(その場合はどのような関係性なのか)。
- ロイヤリティが存在するのか、そうでないのか。
- どのようなしくみ、タイミング、条件で実施するのか。
- 短期のみならず中長期で成果を十分にシミュレーションしているか。
その上で、どのように実施すべきか、ご自身のビジネスに最適であるかを熟慮し、実りある施策を実現していただきたい。


































