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千里の道も一歩から:積み重ねが生む財産

category
ワンダーマン・ニューズレター
writer
岸部 甲
series
Wunderman's view No.45
date
2006年11月 2日
themes
効果検証

イチロー選手の強さの秘密は
先日、何の気なしにネットを巡っていたら、シアトルマリナーズのイチロー選手の「名言集」というものを目にする機会があり、それがとにかく趣深い内容だった。せっかくなのでこの場を借りていくつかご紹介したい。

「常に、先のことを予測する習慣をつけることは、大事だと思います。」

「どうやってヒットを打ったのかが問題です。たまたま出たヒットでは、なにも得られません。」

「ぼくは、1試合、1試合、ふりかえっています。まとめてふりかえることはしません。」

「自分のやっていることは、理由があることでなくてはいけないと思っているし、自分の行動の意味を、必ず説明できる自信もあります。」

他にもいくつかあったので、興味のある方はぜひ検索してみていただきたいのだが、それにしてもなんと重みのある言葉。イチローのようないくつもの輝かしい記録を打ち立てる選手は、こうした高い意識と強い意志から生まれるのだろうと率直に感じた。

なぜこのような話をご紹介したかというと、これらのイチロー選手の言葉はビジネスマネジメントにおける PLAN → DO → CHECK → ACTIONそのものだな、と思ったからだ。イチロー選手の強さの秘密はPDCAサイクルをきちんと行っていることにあるのだろうと思う。

PDCA、できていますか
さて、この基本中の基本であり、有益なPDCAサイクルだが、筆者が感じる限りでは、ビジネスの現場できちんと実践できている人は実は多くないように思う。野球選手の誰もがイチローの言っていることは至極真っ当だと思ってはいるが、同じような意識で常に試合に臨んでいる選手はそう多くない(と思われる)のと一緒で、頭ではわかっているけど現実にはないがしろにされているのではないか。

筆者自身の反省も含めて、どうしてこのような「わかっちゃいるけど難しい」事態に陥ってしまうのか。PDCAの実施を阻む要因は大きく分けて2つあると言えそうだ。

できない理由1.抱えている課題が複合的
何か施策を行う際、よほどのことがない限り「今の課題は○○です」と端的に課題が明確になっていることはあまりない。多くの場合は「売れ筋商品と新商品の広告予算をどのように配分すべきか」といった戦略的な課題や「テストマーケティングをどこで行うか」といった戦術的課題、「新商品を告知するのに最適なクリエーティブは何か」といった表現の課題など、複合的な課題を抱えていることがほとんどだ。こうした場合、それぞれの課題に対して仮説を立て、ひとまず施策を実施してみるが、いざ結果を検証しようとしても可変要素が多すぎて結局どの仮説が正しかったのか分からなくなってしまう。

これはある通販ビジネスを行っている企業から聞いた話なのだが、年に一度改訂している通販カタログを、売上向上施策として競合の成功事例に倣って形状を一新したところ、逆に売上が悪化してしまったそうだ。慌ててカタログの強化を図ろうにも何が売上悪化の原因なのかが解らず、結局翌年にカタログの形状を元に戻してしまったそうだ。しかしそれでも売上は改善されず、詳しく検証を重ねたところ、どうやら売上悪化の要因は、カタログの形状ではなく実は品揃えにあったらしい。

これはきちんとした手順を踏んでいれば防げた事だけに、泣くに泣けない話だ。この場合で言えば、カタログの形状を変えるなら新版と旧版でスプリットテストを行う、せめて段階的に形状を変えていくなどのステップと検証が必要であっただろう。つまり、比較の対象となるポイントを明快にし、チェックのときに明確な答えをひとつ導き出せるようにあらかじめ設定しておくべきだったのだ。

できない理由2.次を急ぐあまり成果を短絡的に捕らえてしまう

また施策ごとに成果を振り返るのがPDCAの絶対条件であり、醍醐味でもあるわけだが、施策を実施し終えると(特に結果が思うより上手くいかなかった場合などは如実に)、良ければ続投!悪ければ他の施策!と、とにかく次の一手を考えることで頭が一杯になってしまい、結果からその要因を振り返ることをつい後回しにしてしまう。しかし急がば回れの諺もあるように、大切なのは施策内容とその結果をきちんと検証することで、何がうまく作用し、何がうまく作用しなかったのかをひとつひとつ振り返らなければ、施策の結果をノウハウとして蓄積していくことはできない。

具体的な例を挙げてみよう。ある商品のクリエーティブを決める場合、一般的にはテストエリアを決めた上で、いくつかのクリエーティブを制作しスプリットテストなどを経てチャンピオンクリエーティブを決定し、全国展開を図るという流れで行う。ところが、いざ実際にチャンピオンクリエーティブを決定し全国展開をしてみると、これが思ったよりも売り上げが伸びなかった。出稿直後は、全面的にクリエーティブを開発しなおす必要があるのではと気が急いた。しかし、チャンピオンクリエーティブとは一部コピーが異なるだけの、テストでは僅差で次点となった原稿があったことから、こちらであれば効くのではないかとの仮定のもと、エリアを絞って出稿してみた。

そうしたところ、複数のエリアでチャンピオンクリエーティブを超える反響があった。その後、いくつかの検証を重ねることで、本商品の場合はエリアによって訴求ポイントが異なることが判明した。最終的には、各エリア・セグメントに合わせて、異なる「チャンピオンクリエーティブ」を用意することで、全国同一の原稿で出稿するよりも投資対効果を大きくすることができた。

イチロー曰く、「いま小さなことを多く重ねることが、とんでもないところに行くただ一つの道なんだなというふうに感じてますし。」
このような理由で普段なかなか実行に移しづらいPDCAであっても、逆に考えれば「1つの施策から1つの結果を導く設計」と「成功、失敗に関わらずその要因の徹底検証」ということを施策の計画段階から意識できていれば、検証作業も格段に進めやすくなる。施策実施の際はぜひ頭の片隅に置いておいていただきたい。

PDCAのステップは魔法のような派手さはないが、長期的に見れば必ず成果が挙がるものだ。せっかく施策を行うなら、たとえ転んでもタダで起きないように、なんらかの発見を積み重ねて知見の精度を向上させ続けることが大事だ。そうやって蓄積されていった知見は他の会社では絶対にマネできないその会社独自のノウハウであり、とても重要な財産になるのだから。千里の道も一歩から、やはり基本は怠ってはいけないのだ。

※なお、本文中のイチロー選手のコメントは、東邦出版株式会社刊 児玉光雄氏著 「イチロー思考孤高を貫き、成功をつかむ77の工夫」、およびぴあ株式会社刊「夢をつかむイチロー262のメッセージ」編集委員会著「夢をつかむイチロー262のメッセージ」からの引用です。

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