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CGMの活用からCRMの未来を考える

category
ワンダーマン・ニューズレター
writer
杉山 実
series
Wunderman's view No.50
date
2007年4月 5日
themes
CRM

最近、クライアントからCRM(Customer Relationship Marketing)という言葉をあまり聞かなくなってきた。市場に定着して目新しくなくなったからなのか、それとも既に時代と乖離(かいり)してしまったからなのか。
顧客と企業の関係は常にマーケティング上の重要な課題であるし、今後も消費者のインサイト(洞察)を無視した訴求が主流になることはないはずだ。とはいえ、残念ながらクライアントの興味はCRMから離れつつある。その視線の先にあるのは、CGM(Consumer Generated Media)を利用したマーケティング(CGM Marketing、以下CGMM)と言える。それはなぜなのだろうか?

 このニューズレターの読者の方なら既にご存知だろうが、CGMは「消費者生成メディア」などと称され、「口コミマーケティング」のプラットフォームとして注目されているものである。SNS、ブログ、口コミ・投稿サイト、共通関心事のコミュニティ サイト(COI=Community Of Interest)などがこれに当たるが、共通点はアップロード機能を持っていることだ。ユーザー同士が自らの情報をシェアし合うことで、特定の意識(志向)を共有するグループを形成することができるのである。

 現在、既にいくつかの企業はSNSなどを活用し、これらのターゲット グループに対し「潜在顧客としての囲い込み」「行動・動機の喚起」「ユーザー同士の情報交換によるフォローアップ」「マーケティングツールとしての機能」「企業イメージアップ」を行っているという......となれば、CGMMがCRMより魅力的な手法に見えてもおかしくはない。しかし、筆者は(『I.M.press Vol.130』の拙稿をご覧いただきたいのだが)、同じユーザーとの関係を起点にした手法として比較されがちなCRM側の現状にも問題があると考えている。今回のニューズレターでは、この問題を考察してみたい。

CRMとCGMの違いを捉える
まず、それぞれの概容を見ていこう。
 CRMの対象者は基本的に「顧客」である。購入した(申し込んだ)商品/サービスから一定の志向性と動機を読み取り、企業との関係を保っていく手法だ。今さらであるが、以下のようなメリットから、顧客単価向上に効果があるとされている。

 ●ユーザーに直接メッセージングが可能。つまりある程度の行動コントロールが可能
 ●ブランディングをはじめとした価値観の共有により強い「囲い込み」が可能
 ●特定の志向分野とマッチングさせることで高いリピート率を達成可能

 これらは事実であり、成功事例は山ほどある。ただし、CGMMが大きな波として脚光を浴びるようになって以来、筆者の心からは次の疑問がぬぐい去れないのも事実だ。
 
 「CRMは本当にCustomer Insightに根ざしたソリューションなのだろうか?」
 
 原則的には、当然「Yes」である。しかし、例えば、amazonのマイページ的トップに「何でこれが?」という商品が表示された経験はないだろうか?毎日のように届くメルマガに「何でここから来るの?」と思った経験は? 
 その理由はこうだ。「その時は確かに自分の意志で選択したのだが、今は全然違う志向だから」......人間の志向や興味は常に変化するのである。問題は、その当然の変化にCRMという枠組みが追いついていけるのかということなのだ。

 確かにメルマガで新商品を案内すれば、ターゲット顧客が購入してくれるかもしれない。ただし、それは「たまたま」そのときの志向と合致しただけかもしれず、その意味では、顧客を洞察し最適な関係を維持していくというCRMの意義はなく、単に顧客リストを活用しているだけにすぎない可能性が高いのだ。

 CRMが本当にリピート率を向上させ(脱落率を下げ)るためには、常に把握している顧客の「志向データ」を最新のものにアップデートさせ続けなければならない。その手法を持たない顧客データベースは、過去の「ある瞬間」の購買履歴にすぎないのである。

 ここでいう顧客データのアップデート手法には、商品購入などの行動履歴だけでなく、Webサイトのコンテンツ閲覧履歴の収集と分析なども含まれる。理想は自動追跡型機能(究極がOne To One)を搭載することだ。

 ただし、自前で行動ターゲティング(Behavioral Targeting)を行おうとするとシステム自体の規模も相当なものになってしまう。予測される売上との対比の中でROI(Return On Investment)を考えた場合、どこまでインフラに初期投資すべきか、運営コストを掛けるべきかが大きな問題となるだろう。

 結局、CRMは、過去から現在の志向を予測する手法である。その「過去」をなるべく現在の生きた情報に近づけていかなければ、何気ないユーザーニーズを拾い上げることすら難しいだろう。換言すれば、CustomerとのRelationを最適化するという意味において、CRMは新しい市場を創造しようとするものではないのである。

 一方、CGMMは、まったく逆の性質を持ったマーケティング手法だ。
まず、単純にユーザーの「現在」の方向性が明確である。各ユーザーは興味があるブログやSNSのコミュニティに属したり、COIサイトの常連になったりしている。その行動そのものにより、洞察を行うことも容易だろう。

 ただし、ここで重要なことは、彼らが「どの分野に属するか」ではなく、「いまアクティブなのか」である。つまり、企業が何らかの情報を発信したときに、それを受けて即座に行動を起こす可能性のある潜在顧客がどれだけ存在するのかを把握することなのだ。

 半面、彼らを実際に動かすことができるかどうかは大きな問題である。CRMであれば、少なくとも顧客にメッセージングすることに問題はない。しかし、CGMMではそうではない。企業のヒモ付き情報をダイレクトに受け入れない土壌が厳然と存在するのだ。だからこそ、インフルエンサー(Influencer)と呼ばれるコミュニティ内のキーパーソンをたぐり寄せ、彼らをノード(node)として網の目状に情報の連鎖を作っていかねばならないのである。

 その結果、何らかの情報操作によってひとつの商品/サービスが即座かつ爆発的に売れ出すということは考え難いのが現状だ。本来、口コミマーケティングは大きなムーブメントを生み出すためのものであったが、ことCGMMにおいては小ムーブメントを断続的に「じわじわ」と発生させていく手法に変化しつつあるようだ。

 以上からわかるように、CGMMは現在から現在、あるいは近未来を導く手法である。その意味では、新しい市場を創造する可能性を持っているとも言えるだろう。ただし、対象者の行動予測は容易だが、大きなマスとして潜在顧客を導くのは難しい。インフルエンサーにどのように情報を伝え、どのように彼らを動かしていくのか、そのメソドロジーの構築が今後の大きな課題である。
 
CRMの利点を再認識
結論に入ろう。CRMは顧客の過去の実績から次の行動を判断するため、結果を計算しやすい手法であるが、半面新しい市場を創造するパワーに欠ける。そのため、マス広告などと連動させて常に顧客層の新陳代謝を図り、顧客そのものを入れ替えることでデータベースをアップデートさせていくことが重要になる。

 CGMMは潜在顧客の現状そのものが次の行動を示唆するため、行動ベクトルは予測しやすいが、直接メッセージングができない婉曲的な施策になってしまう。
 どちらにも一長一短はあるのだが、クライアントにCRMは「コストが掛かる」「結果が見えない」というイメージが定着しつつある現状では、CGMMが輝いて見えるのも無理はない。何せ、自前で顧客DBを作らなくても、コミュニティ内にはイメージどおりの活きのいいプロスペクトが大勢いるのだ。ちょっと刺激を与えれば、どんどんアクションを起こしてくれそうな気がするではないか。

 CRMにかかわるマーケッターは、このネガティブイメージをどう突き崩していくべきか。
繰り返しになるが、ポイントはこうだ。CRMシステムにおいては、顧客と企業との関係を常に最新の状態にさせなければならない。そのために、以下の項目をWebサイトやキャンペーン上で徹底するだけでも、顧客の現在・近未来のニーズに適合するばかりか、脱落率を抑えることができるはずだ。

 1)最新の顧客アクション(購入など)データを正しくDBに落とし込むフローと慣習を構築すること
 2)顧客の自発的なアクションを待つだけでなく、小さなキャンペーンやWebイベントでアクションを
  起こすきっかけを提供すること
 3)顧客が自らのデータを正しく書き換えることのできる機能&フローを構築し、そうすることで何らかの
  メリットを享受できるようにすること

 考えてみれば、CRMマーケッターにとって、これらすべては当たり前のことである......が、現実的に実施できているだろうか。時代は常に動いている。そして、それをカスタマーインサイトの側面からキャッチアップし続けることは、私たちの使命でもあったはずなのだが。

 CRMシステムは「エンジンの構築」がゴールではなく、日々の施策=「燃料の供給」によってビジネスのスピードを出し、結果を残し続けることが重要なのである。今回はあえてCGMMという異母兄弟と比較してみたが、これと効果的にリンクすることもひとつの施策だろう。
 

*記載されている会社名および商品名は、各社の登録商標または商標です。

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