成果を出すために「成す」こと Wunderman's view No.57
- 大窪 穣
- 2007/11/01
[Wunderman's view]
当ニューズレターの読者の多くはマーケティング、広告宣伝、営業企画などの、収益拡大を担う部門の方々だと推察する。そこで、ひとつ皆様に考えてみていただきたいことがある。
「電通ワンダーマンに何を頼めばいいのだろうか?」もっと平たく言えば「電通ワンダーマンは何を得意とし、何を依頼すれば期待に応えてくれるのか!」と。
当社は22年にわたり、ダイレクトマーケティング(以下DRM)エージェンシーとしてお客様のさまざまな課題に対し「考え」、「創り」、「評価」し、「改善」を繰り返してきた。冒頭の当社に依頼すべき内容は「DRMにかかわる領域」とお答えいただければ正解となるのだが、この「DRM」をどう捉えるかが皆様の収益拡大へのポイントの一つとなりそうである。
餅は餅屋?
その昔、DRMはDMとか、通信販売広告とか、レスポンスアドとか、マーケティング施策の一象限として語られ、捉えられていた。『大辞泉(小学館発行の大型国語辞典)』では「カタログ・ダイレクトメール・雑誌・テレビ・電話など各種のメディアを通じて、消費者に直接商品情報を提供する販売促進方法。」−−販売促進方法だけなのだろうか?
もちろん、私たちの日々行なっている業務の中には「販売促進」支援もあり、お客様の売上を向上させるための重要な機能の一部を担っていることは間違いない。カタログ、DM、会員誌は、顧客(または見込顧客)に接触する重要なコミュニケーションツールであり、私たちもこれらの制作は日常的に行なっている。
しかし、これらのツールを制作するプレイヤーは星の数ほど存在しており、読者の皆様も多くのプレイヤーと接触し、得手不得手を見極めながら適切なパートナーを選定されていることと思う。
その選定において、お客様から当社の説明を求められたときにはいろいろと悩む。当社のことを、あるお客様は「消費者視点でクリエーティブを創造する会社」だと捉え、あるお客様では「WEBマーケティング会社」「CRMエージェンシー」「ダイレクトメディア専門広告代理店」「キャンペーン事務局運営会社」「コンタクトセンターのアドバイザー」「コンセプトワーク会社」と・・・。もっともかもしれない。なぜならば、これらの一つひとつがDRMの領域において必要な機能であり、すべてが当社のビジネスの領域なのだから。
従って、当社がDRMのある領域に限定して「餅屋」である、と標榜するのでは意味がない。当社に明確な役割を求めるお客様には、それぞれの専門性や実績などを説明するとともに、DRM領域で求められる課題解決の具体的な方法をつまびらかにしていくことになる。
ダイレクトマーケティング・エージェンシーをアサインする意義はどこにあるのか?
以下は、企業の広告宣伝部員として複数ブランドの一つを扱う担当者の気分で読んでいただきたい。マーケティング会議の中で顧客の離反率がテーマとなり「顧客満足度調査を実施しよう」との意見をもとに稟議を上げ承認が下りたので、当社に調査依頼をかけることになった。
よくありそうな話である。この離反を促進させている要因は、会議の中で幾つも挙がっていた。顧客満足度調査で要因が明らかになっても、改善のための選択肢は数少ないのに本当に調査が必要なのか?仮説検証ではなく実態調査を行なって、次の一手として何ができるのだろうか?
調査目的は?調査対象は?調査規模は?調査手法は?・・・顧客満足度調査に明確な方向性があれば、その与件に対して方法を容易に見出すことができる。ただ、当社として、ここで考えておくことは、
1)お客様にとって、この業務をDRMエージェンシーに依頼する狙いはどこにあるのか?
目的や調査手法が明らかである顧客満足度調査であれば調査会社に依頼しても問題はない。ただ、お客様がDRMエージェンシーに調査を依頼するということは、リサーチディレクションにその付加価値を求めているのだろう。
このことはマーケティング活動における施策や手法、ツールなどすべてに言える。
メディア、商品チラシ/カタログ、DM、Webサイト、モバイルサイト、調査、ログ解析、テレマーケティングなど、既存の専門プレイヤーが存在しているにもかかわらず、DRMエージェンシーに依頼する意義はどこにあるのだろうか?
2)お客様の課題は本当にこれ(顧客満足度調査)なのか?
「顧客満足度調査」という課題をお客様が提示してきたとするならば、それを受け止めることはエージェンシーサービスとして必要な対応である。その際に、このタイミングで「顧客満足度調査」を実施する意義を考え、そこからお客様の収益拡大の方法を導き出すことが当社の役目と考えている。
ダイレクトマーケティングとはオプティマイゼーション(最適化)のこと
オーダーを受けた調査会社では「顧客満足度調査」としての設問を立て実査に入るであろう。同様にカタログやチラシをオーダーされたSP会社や印刷会社は?アウトバウンドをオーダーされたテレマーケティング会社は?ほとんどすべての専業プレイヤーはスペシャリティを活かし、要件を整理し作業を進めるはずである。それが専業プレイヤーの収益の道だからである。
DRM領域におけるお客様の課題に対して、企画、制作、実施、評価、改善のPDCAサイクルを長年にわたり繰り返してきた当社が調査を行なうとすれば、「結果」を基に「施策展開」までを考えなければ意味がない。ただ、その施策もお客様内部において有機的に機能しなければ良い成果を出すことはできない。
プロジェクトにセクショナリズムが存在し、全体が有機的に結びついていない場合、プロジェクトを俯瞰(ふかん)し、一つのゴールを見据えて施策を最適化することは難しいといえる。実際、各セクションの担当者は専門性を意識して専業プレイヤーに期待をしたものの、それぞれのプロセスが結合されていないために、本来の成果が上がっていないことが多い。
では、本来の成果を上げるためには、どうしたらよいのだろうか?
私たちの経験から導き出した答えとしては、「真の課題」の顕在化とそれに対する明確なゴールを持つことに他ならない。
真の課題を発見するために
当社のお客様(仮にA社とする)の例をご紹介しよう。A社のWebサイトは非常に多くのPV(Page View)と売上を誇るEコマースのサイトだった。
ただ、サイト構築・運営において、さまざまな規制や禁則事項があり、かつ規模が大きくサイトの構造が複雑なため、下層コンテンツにある目的の情報を探すには困難が伴い、ユーザビリティが非常に悪かった。技術面、デザイン/クオリティ面、遷移面においても解決したいことは山ほどある、という。
大きな組織の中でそれぞれが自分の領域を盾にとって築きあげたサイトは、社内的評判は良いのかもしれない。しかし、機能系を中心としたチームと販売系を中心としたチームの衝突は結局のところ売上もブランド価値も生み出さないのである。
さて、この企業にとっての「真の課題」は何なのか。その課題を明らかにすることで、ほとんどを解決することができたのである。
当社では「ファシリテーターを入れて、決定権を持つ関係部署の皆様とともに一緒に課題を整理しましょう」という提案を行なった。なぜなら、課題があいまい過ぎて最終的なゴールが誰にも見えていなかったからである。
このプロジェクトのゴールはサイトコンセプトの顕在化だった。そのために、私たちが行なったいくつかの施策を紹介する。
・顧客満足度の高いと言われるサイトを20社ほどピックアップし、プロジェクトメンバーにサイトツアーしていただいた結果、ほとんどがとても良いサイトだと回答された。では、どこのどんな部分が良いと考えるのか?私たちとメンバーで、それぞれのサイトの目的を制作者、消費者のそれぞれの側面から読み解き、キーイシューを整理する。
・10年後、自社と競合社の関係がどのようになっているかをイメージし、そうなるため/そうならないためには何が必要かを全員で考え、それを具体的なゴール作りに落とし込でいく。
・ゴールイメージをコンセプトとして固める。
このように、お客様の参画と私たちDRMエージェンシーの知見を基にした、数カ月間にわたる作業を経て具体的なコンセプトまで落とし込んだ。
すでに皆様もお分かりように、このA社で必要だったのは一つひとつの機能の問題点を整理することではなく、最終的なゴールを俯瞰で捉えることであり、課題の答えは“決定する”お客様の中にあったと言える。設定したゴールに向かって、お客様の決定権を持つメンバーと私たちが一緒にプロセスを明確にしながら進めることで、近視眼的な施策に陥ることは少なくなると考えている。
いろいろな課題が見え隠れし、どれが真の課題なのかが分からないというときには、ぜひ当社にアプローチいただきたい。当社でのこれまでの知見を踏まえて、お客様のDRM領域において成果を導き出すために「真の課題」発見をお手伝いできると確信している。
