• TOP
  • アクセス
  • メールマガジン購読申込み・解除

Contact us

  • ワンダーマンコンセプト
  • ワンダーマンソリューション
  • コラム
  • 企業情報
  • 採用情報

CRMの進化とCMRの夜明け

category
ワンダーマン・ニューズレター
writer
落藤 隆夫
series
Wunderman's view No.59
date
2008年1月10日
themes
CRM

謹んで新春の寿ぎを申し上げます。
本年も当社ならびに当ニューズレターに対し、変わらぬご厚誼のほどお願い申し上げます。

さて、読者の皆様は、CRMの必要性を重々承知されていると思うが、もしも顧客の囲い込みのためだけにCRMを導入するのであれば、Web 2.0 の時代には考えを改める必要があることだろう。情報発信の主導権を顧客も握る今の時代に、CRM(Customer Relationship Management)を"Customer Really Manage?"と揶揄されない発想の転換が必要ではないだろうか?

Webメール、検索エンジンへのクリック、Webブラウザ履歴、ブログにおける個人日記の公化、そしてmixiやSNSなどのマイクロコミュニティへの参加、Twitterなどのマイクロブロッギング・・・。消費者はさまざまな足跡をWeb上に残している。しかし、その足跡を追いかけられ、行く先々でマーケティングメッセージにぶつかると、理屈ではパーソナライズされた効果的な広告となるのであろうが、感情的な部分で消費者はどう思うだろうか?

アメリカのニールセン/ネット・レイティング社とウェブ・ビジブル社が2007年9月に行った調査では、インターネットユーザーの75%が必要以上に広告に晒されていると思っており、また、92%の人が携帯電話への広告に不快感を示しているとレポートしている。

追いかける側のテクノロジーが進んでも、追いかけられる側の気持ちに即したアプローチをしない限り、顧客は陽炎のように逃げていくものである。

レスター・ワンダーマンが提唱する「成功するダイレクトマーケティングの19のルール」の一つに、"言葉に出なかった「いつ」を学ぶ"がある。いつ買う気になるかを知っているのは顧客だけであり、その顧客の気持ちを尊重した正しいアプローチをすることが大切である。そのためには、まず顧客をデータとして見ないことである。一人の顧客と接するときに、店にやってきたお客様をもてなすかのごとく想像力を働かすことが肝心である。

皆様が個人で検索エンジンに向かうときと、mixiやFacebookで仲間とチャットしたいときとでは、マーケティングメッセージに対する心構えは違うはずである。前者ではマーケティングメッセージに対して結構オープンであっても、後者では土足でプライベートな空間に踏み込まれた気持ちになるのではないだろうか?顧客のWebリテラシーが高まるほど、リアルな世界での広告クラッターと同じ現象が、Webの世界でも出現しようとしているのである。

顧客を追いかけることより、顧客が話しかけてきた瞬間や、興味を持って近づいてきた瞬間に、丁寧に応対する。19の中のもう一つのルール、"消費者に対して一方的に話すより双方向の対話を始めること"だ。

そこで提唱したいのが、CRMのWeb 2.0 時代対応策がCMR(Customer Managed Relationship)である。20世紀のマーケティングは一方通行のブランドコミュニケーションであったが、21世紀にはマーケターと顧客が双方向で会話できる時代になったのである。その利便性をCRMに応用する考えが、CMRだ。

CMRに近い考え方を、当社が担当する損害保険会社のケースで説明しよう。
自動車保険に入るときに気になることは、価格以外に、事故にあったときの対応である。これは、どの保険会社でもなかなか保険勧誘時には説明しきれないものである。顧客が一番気にする事故への対応の評価、その生の声を同社のコミュニケーションサイトでは紹介している。

そのオープンな顧客の声をマーケティングコミュニケーションに生かすことで、ブランドと見込み客との絆を確かなものにしているのだ。何故それが可能なのか?それはCRMをベースにした顧客の声をマーケティング活動に取り入れているからである。だからこそ、メッセージに「虚構」がない。ポジティブな声も、ネガティブな声もすべて紹介し、(見込み)顧客にブランドの信頼性の判断を委ねているのである。

実際には「保険の安心感」をサポートするマーケティングメッセージなのだが、一方的に説得させられているのではなく、自分と同じ仲間に声をかけられている安心感があるからである。マーケターと顧客が対峙する場合には力関係が違うので、顧客の側に躊躇する気持ちが常に存在する。しかし、同じ立場の同じような視点の多数の声から本人が判断し、納得した場合には、コミュニティ意識が醸成されるのである。これこそ「囲い込み」ではなく、顧客自らが囲いの中に入って行きたくなる「誘い込み」の仕組みといえる。

すなわち顧客がブランドとのリレーションを、自分で判断してマネジメントする仕組みができ上がるのである。もちろんコミュニケーションサイト上だけではなく、実際の損害サービスを含めて会社全体でのCRM対応ができていなければ、ポジティブなブランド体験の声は上がらない。

Web上にはさまざまな顧客の声が載っている。アメリカのバザーボイスという会社が行ったオンライン評価調査では、8対1の割合でポジティブな評価を掲載する人間が多いという結果が出ている。良いブランド経験をすれば、それをシェアしたくなる善意の顧客が多いという証左である。企業やブランドが顧客の声のアグリゲーターとなり、顧客個人のブログや顧客のコミュニティページにリンクすることで、実際の顧客とブランドの絆が明確になるである。

そして、それが見込み客を顧客に変えるきっかけ、すなわち口コミ・マーケティングにもなる。一方的なマーケティングメッセージだけではなく、顧客の声がサポートするマーケティングメッセージを掲載することで、顧客とブランドの絆がますます強固になるのではないだろうか?

FacebookのBeaconの導入失敗以来、アメリカやヨーロッパではオンライン上での個人情報保護の動きがますます強まっている。データとしての個人を追いかけるテクノロジーの進展が、Webの広告経済化を加速しているからである。そうした風潮の中で、突如として消費者の反発が表面化してきたのだ。しかし、CRMでは蓄積されたデータを追いかけるために使うのではなく、顧客が話しかけて来たときに、一人ひとりの顧客データをベースに一人のお客様としてもてなすCMRの考えで対応すれば、このような問題は起きないと思う。

間違いなくテクノロジーは年を追うごとに進展している。それを間違った方向に使うか、正しい方向に使うかは、私たちのようなこの業界にいるプロフェッショナルに託されている。19世紀の発明王エジソンの言葉である「やがてくる機械文明を生きるには人の心も進化させなければいけない」を噛み締めるべきだろう。テクノロジーの進化を後戻りさせることはできないのだから、そのWebテクノロジーをCMRの考え方で活用する時代にしょう。

電通ワンダーマンの仕事は、価値ある顧客を獲得し、維持しようとするお客様(クライアント)へのコミットメントである。少子高齢化の時代こそ、優良な顧客を長期的なロイヤルカスタマーとして維持することがますます大切である。そのためにも顧客の力をマーケティングや、マーケティングコミュニケーションに組み入れる努力をする時代になってきたのではないだろうか?そして、2008年がその記念碑になるようなサクセスストーリーを、読者の皆様やお客様と一緒に作り上げることができれば幸いである。

【用語説明】
広告クラッター:多くの広告が競合してノイズとなり、送り手の意図した効果が妨害されるような状態のこと

*記載されている会社名および製品/サービス名は、各社の登録商標または商標

<筆者>落藤 隆夫(おちふじ たかお) 
      電通ワンダーマン 代表取締役社長

【ワンダーマン・ニューズレター】 Wunderman's view一覧へ

コラムは毎月1回メルマガでも配信中 購読はこちら(無料)


PageTop

Copyright © Wunderman Dentsu, Inc. All Rights Reserved

ISO/IEC 27001:2013(JIS Q 27001:2014) 電通ワンダーマンは、
右記のセキュリティ認証を取得しています。

ISO/IEC 27001:2013 / JIS Q 27001:2014