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ダイレクトメールへの「ユーモアのすゝめ」

category
ワンダーマン・ニューズレター
writer
高野 基
series
Wunderman's view No.68
date
2008年10月 2日
themes
その他

今回の「Wunderman's view」は少し趣を変えて、既存顧客向けダイレクトメール(以下DM)やカスタマー・リレーションシップ・マネジメント(以下CRM)のレスポンスに伸び悩みを感じている方、戦略会議にマンネリや停滞を感じている方に向けて、広告効果のリフレッシュ材料としての「広告表現のユーモア」についての考察を、筆者なりの切り口でご紹介したい。

ユーモアと関連語の定義
本稿でいう「ユーモア」とは、受け手・読み手の口元に思わず笑みが浮んでくるような、温かみのある面白さや、上品な滑稽さのある言葉(文章)や視覚による表現を指し、他者への非難や皮肉が混ざった「ブラック・ユーモア」、落語や漫才などが持つ洒落を意味する「ジョーク」とは、一線を隔すものである。また、「ユーモア」の中でも知的要素の強い「ウイット」は、主に対面での会話やスピーチで使われ、とっさの気の利いた機知や頓知(とんち)と定義される。

「広告におけるユーモア表現の効果」に関する学説
読者の中にも「広告におけるユーモア表現の効果」について詳しい方もおられると思うが、ここでいま一度、広告における「ユーモアの効果」に関する研究者や見識者の諸説をご紹介しておくことにする。

このテーマの研究は、1990年前後から心理学を中心として科学的な検証が進んでおり、『Psychology and Marketing』(Wiley Inter Science社発行)などのマーケティング関連の専門誌に掲載の学術論文では「事前の態度が良好なとき、広告のユーモアはより高い効果を発揮」し、「ユーモアは広告メッセージへの反感を抑制」し、「関与度が低い商品のほうがユーモアで好意度が高まりやすい」といった言説の立証が公表されている。多くの研究者や実業家においては、いまだ特定の条件での検証結果の再現性が低いといった議論があるものの、現在進行形の研究では、これら言説をベースにする傾向がある。

また、近年では実業での研究も進み、ジョナサン・ボンド氏とリチャード・カーシェンバウム氏の『Under The Radar』(1998年初版発行)、マーク・ヒューズ氏の『Buzz Marketing』(2005年初版発行)といった著書において、受け手が<広告に目をとめる>、<中身に目を通す>、<商品を理解する>、<記憶に残す>、<購入・契約に向けた行動(来店や見積請求など)を起こす>、<友人・知人に紹介する>といった消費者の一連の態度変化の過程で、「<好意的な意識>を誘発する効果の高い、ユーモア表現は非常に有益である」という言説が実例とともに展開されている。補足すれば、最近では、この<好意的な意識>が高まった状態をといった呼び方もしている。

筆者が調べた範囲では、言説の大半が検証の際にプリント広告を用いており、それ以外のメディアでの効果まで言及した言説を見出すことはできなかったが、よりパーソナルな文脈に基づくダイレクト広告の分野では、ユーモア表現が有効な手段になると期待できる。特に、プロファイルが明確な顧客や限られた対象者に送るDMでは、企画・制作者の能力に左右される部分も大きいが、おおむね「受け手の思考や特長を推し量りやすく、心に響くメッセージを開発しやすいので、ユーモア表現を加えた場合は、ない場合と比べて、より高い効果を得られるのではないか」と考えることができる。

ユーモア表現を用いたDMの事例
それでは、DMにユーモア表現を用いた事例をいくつか紹介しながら、その構造と効果を解説していきたい。

航空輸送会社:上位優良顧客向けDM
上位優良顧客のリテンション・プログラムの一環として、法人の経営層が多数を占める顧客に対し新年の挨拶状にフリスビー(先付けオファー)を添えて送付。同社では、いかにして新サービスのイメージを伝えるかを検討した結果、新サービスを開始する年の始まりにマッチしたコピーとともに、同社の旅客機での快適なサービス体験と新年を迎えるウキウキした気分を想起させるユーモア(受け手によっては「ウィット」と認識)の利いた先付けオファーとしてフリスビーを採用したのである。

このオファーにより、秘書室の厳しい郵送物チェックを笑顔とともに通過し、経営層の顧客の手元にDMが届けられ、同社に対して良好な印象を抱いてもらうことに成功。同社のカスタマーサービスセンターに、このDMを受け取った数名の顧客から直接電話があり、DMに対する賞賛の言葉があったという。DM配布数のうち、電話の件数の割合は僅かではあるが、DMが届いた経営者や秘書室の人々の心に残るものであったことは想像に難くない。その後、このDMを契機として、同社の法人営業部門の営業活動にも良い効果を与えたり、DM受領者の家族や友人・知人への口コミ(バズ)が生まれたことも、同様に想像ができよう。

上位優良顧客へのオファーは、通常であれば高額な品を選択するところだが、プラスチック製のフリスビーを「年賀状」のタイミングをはずさずにメッセージとともに発送したことが、キャンペーンの効果をより大きなものとしたのである。

通信サービス事業会社:法人顧客向けバレンタインデーDM
通信サービス事業会社では、法人顧客のリテンションを目的として、バレンタインデー当日に、TVCMで起用中の人気女性モデルが同社のセールスレディに扮して、レターでこれまでのサービス利用のお礼を伝えるとともに、特大サイズのチョコレートを贈ったのである。

実施されたのは十数年前。本命ではない「義理チョコ」に対しても、ホワイトデーには2倍、3倍のお返しが当たり前と言われたバブル景気の時代である。当時の風潮から、このDMの特大サイズのチョコレートによって取引拡大を、との願望を込めたバレンタインデー限定のユーモアと読み取れる。人気女性モデルの笑みと特大のバレンタインチョコレートが、DMを受け取った職場に好印象と話題を提供したことが容易にうかがえる事例である。

この2件の事例に共通することは、封筒を開けさせるためのユーモア、特に機知に富んだヘッドコピーと先付けオファーが受け手の想像力を助成し、残る印象や記憶によってDMの効果をより強めていることである。そして、基本的なことだが、ヘッドコピーと先付けオファーが、商品・サービスの特性と分かりやすく結び付いていると同時に、次に目に留まるボディコピー(説明文など)では、商品・サービスの機能、課題解決、問い合わせ方法などが、順にきちんとした文脈で続いていることは言うまでもない。換言すれば、雑誌や新聞でのイメージビジュアルやヘッドコピーだけで完結した広告とは異なり、DMでは、封筒を開けさせるための商品・サービスの特性と分かりやすく結び付いたユーモアのある広告表現が、成否を強めるポイントの1つと言うことができる。

もう1つのポイントは、送付のタイミング。それは、「エモーショナル・アピール」や「エゴ訴求」と呼ばれるDM手法である。受け手(消費者・顧客)の感情的欲求に訴えることを最大の目的として、楽しさ、癒し、安心、健康、非日常(ハレ)の思い出、他人とは異なる体験を、個人や所属組織の行事に合わせて提供するもので、他の手法と比べて、到達率に留まらず、資料請求や問い合わせといった初期レスポンスの比率も高い。

DMのユーモア表現が有効な業界、商品・サービス
上述した研究者の言説によれば、ユーモア表現が効果を発揮するには、「事前に良好な関係があり、関与度が比較的低い商品・サービス」が望ましい。さらに、筆者の経験を元に付け加えるならば、「購入手続や試用体験まで手間がかかる、営業部門が直接会話する頻度を増やしにくい、などの特性のある法人向けビジネスで、かつ既存顧客向けの顧客維持あるいはロイヤルティ向上を目的としたキャンペーン」に適していると言える。

ちなみに、近年の広告賞を受賞した海外の事例の1つに、汚れたTシャツに包まれた家庭用洗剤の試供品を送るサンプリングDMがあった。一見、面白そうで、広告作品として印象には残るが、仮にこれを日本で実施したとしたら、逆効果となっていただろう。ユーモアとは受け止られずに、クレームの電話がなり続けることとなるだろう。私たち広告の送り手側は、この手の広告ユーモアに対する日本人の受容性が、米国やヨーロッパの人たちのそれとは異なる点も配慮することが必要である。

今後の発展活用の方法
「広告のユーモア表現」は、TVCMなどのマス広告の分野では当然のように行われているが、ダイレクトマーケティングやCRMの分野ではむしろまれなケースである。筆者がうかがい知るところでは、これらの分野の広告などでは、機能性や投資対効果、目標数値の達成を意識するあまりに、広告コミュニケーションが本来的に必要な表現や語り口において、想像性や創造性をないがしろにしてしまう傾向さえある。この傾向は、ダイレクトマーケティングやCRMの効果指標が販売数値と結び付きやすいという、長所の裏返しだとも言えるだろう。

冒頭の研究者の言説でも記したように、「広告のユーモア表現」は、確かにまだ科学的に検証され尽くされていない部分もあるものの、既存顧客向けDMやCRMのレスポンスに伸び悩みや、戦略会議のマンネリや停滞を打開していくには、時としてDMへのそうした「ユーモア表現」の採用は有益であると言えよう。

もう一点付け加えておくならば、「ユーモア表現」の検討を契機として、「顧客や見込客に届けるメッセージは「『安い』、『今なら○○%安い』とダイレクトで味も素っ気もないもので良いのか?」、「広告にレスポンスしなかった顧客の心に何をもたらしたのか?」といった客観的な視点で、これまでやってきたダイレクト広告を見直すこともオススメしておきたい。

*記載されている会社名、商品・サービス名は、各社の登録商標または商標

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