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不況明けの新しい時代にマーケティングは追いつけるのか

category
ワンダーマン・ニューズレター
writer
落藤 隆夫
series
Wunderman's view No.77
date
2009年7月 2日
themes
その他

消費者不足という新しい時代
そろそろ不況は底を打ったのではないか、と思わせる報道もチラホラ出てきた。トンネルの先に光がようやく見えてきた状況なのかもしれない。しかし、トヨタショックが日本を席巻し景気の指標ともなった自動車業界では、エコカーである「プリウス」や「インサイト」は快調にセールスを伸ばしているものの、新車販売全体では相変わらず不振である。これは、すべて景気のせいなのだろうか?

よく観察してみると、新車販売、中古車販売、そして運転免許証の新規交付者そもそもが、今回の百年に一度といわれる不況の前からダウントレンドになっているのだ(表1)。一見、不況が自動車販売の不振の原因であるようにとらえられているが、21世紀に入り、消費潮流の大きな変化が既に自動車業界を襲っていたのである。これは、決して自動車業界だけの問題ではない。それは、人口の減少に伴う「消費者の不足」を起因とするからだ。この不況が明けたとしても、日本の抱えるマーケティングの大きな課題として姿を現わすのである。

(表1)
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日本の人口構成(表2)を見ると、30歳未満の若年人口が過去10年で700万人近く減っている。30年前には5,300万人いた"モノ"の消費に対して一番活発な世代が、3割も減少しているのである。そして、2030年にはほぼ半減となる。この人口減少が抱える問題は、消費の中核を担う30〜50歳の子育て世代が大きく減り、家族消費に大きな影響を与えることにある(表3)。恋愛、結婚、子育てという消費を伴う層が激減するわけである。もう一つの懸念は、年収200万円以下の層が1千万人もおり、それが毎年増えていることだ(表4)。中流階級になりきれない層が増えると、ますます消費者不足に拍車をかけるのである。

(表2)
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(表3)
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(表4)
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この人口の潮流は急には変わらない。トヨタショックは、日本の生産基地の外需依存を浮き彫りにするとともに、その前から続いていた内需不足に拍車をかけただけである。「消費者不足」の時代に、いままでのようなマスマーケティングの仕組みは役に立たないのだ。マスマーケティングの前提である、大量生産を支える大量の消費者が姿を消しつつあるからである。

顧客データをベースに、今のお客様を大切にすることから始める
でも悲観的になる必要はない。新しい時代に対応する手段は存在する。企業が生存していけるのは、既存顧客の支持があるからだ。顧客は突然消えるわけではなく、徐々に姿を隠すだけである。大切なことは、今の顧客を大事に扱うことである。

これまでのマーケティングでは、新しい顧客を獲得するアクイジションに常に重点が置かれてきた。新しい顧客が大幅に増えることが望めない今後は、既存顧客が離れていかないように、顧客の維持すなわちリテンションに力を入れることが肝要である。そして、その既存顧客が生涯顧客になるようにクロスセル、アップセルを心がけ、ライフタイムバリュー(生涯価値)の向上を目指せばよいのである。

それには、既存顧客に対する理解が必要である。最初に手がけなければならいことは、既存顧客データの整備と統合である。ただ、その前提となるデータの統合が、部門間の障壁によって成されていないケースが散見される。システム部門、マーケティング部門、営業部門に散在する顧客データは、統合されれば宝の山なのである。しかし、残念なことに個々のデータから抽出されたレポートは山ほどあり、情報過剰気味であるにもかかわらず、顧客の本当の姿を照らし出し、次のマーケティングアクションに繋がるデータは少ないのだ。データに基づいたマーケティングサービスを手がける当社であっても、部門の壁を超えて統合されたデータに接することのできるクライアントは限られている。

個人的な話であるが、筆者のクルマはまもなく13年目を迎える。今回のエコカー減税の対象になる以前より、常々、ディーラーのセールスマンにはエコカーが発売されたら検討すると言っていたにもかかわらず、いつものような新車販売キャンペーンのDMが来るだけである。いま放映の2社のテレビCMにも、エコカーが出たこと以外には「差異の価値」が全く表現されておらず、ブランドを作る意思が見受けられない。

もし顧客データが部門を超えて整備されているのであれば、減税対象の13年目以上のクルマの保有者と、ディーラーの営業活動や車検の際に得た「エコカーに興味のある」保有者に、自社のブランド価値を提示したDMやEメールを送ることで、単なる新車販売キャンペーンとは違った効果的なマーケティングができるのではないだろうか?

マーケティング目標を達成するためには、計測可能なデータに基づいたマーケティングこそが、これからの時代を制するのである。潜在顧客、見込み客、新規顧客、浮遊顧客、継続顧客、優良顧客とセグメントされたユーザーのどこに効果的にマーケティング施策を打てば、会社全体として最大のマーケティングROI(Return On Investment)が達成できるのか。費用対効果の最大化を意識することが、「消費者が不足する」時代のマーケティングに求められることではないだろうか?

顧客と会話するマーケティングが新しい時代には必要
では、データ統合システムを作れば自動的にインサイトは抽出されるのであろうか?それにはデータを読んで仮説を立てる人間の頭脳が必要である。データの裏にある顧(個)客の心をどう読むか。社会の潮流を読みながら合理的な行動ばかりをとるとは限らない、顧客の心の一歩先を行くマーケティング施策に繋がるインサイトは、コンピューターから自動的に出てくるわけではないのだ。

でも、顧客の心の声は、コールセンター、Webサイト、販売の現場にデータとして表出しているはずである。その声を拾ってマーケティングにフィードバックする仕組みが大切なのである。クロスセル、アップセルのための消費者ニーズを探る。マーケティングコミュニケーションの成果を反映して、よりROIを向上させるためにプランを再構築する。プッシュ型マーケティングからプル型マーケティングへの転換。6月のニューズレターで当社の野口健介が、マーケティングの4Pにもう一つのP(Person)を加えることを提案していたが、それを顧客視点のマーケティングにおいて言い換えれば4C(Consumer value、Customer cost、Convenience、Communication)のCommunicationを他の3つのCに常にフィードバックする仕組みができているか、つまり、顧客が何に価値を感じているのか、またそれに対していくらなら支払うのか、そしてどのようにして購入したいのか、顧客の声をきき、それに対して企業は応える。顧客との継続した対話から顧客の求めていることが発見できる仕組みになっているかが、これからのマーケティングの成功の鍵を握っているといえるだろう。

一方的なプロダクトアウトのマーケティングは、消費者が不足し、常に供給過剰な時代には通用しないのである。セグメントされた顧客の声を聞くためのシステムを整備し、そこから拾い上げたさまざまな顧客データを統合し、インサイトを抽出し、商品・サービス開発を含めたマーケティング施策に反映する「顧客と対話する会話マーケティング」。ロイヤルカスタマーがポジティブなブランド体験を繰り返せば、黙っていても口コミで友人や知人に推奨してくれることだろう。そうすれば新規顧客の獲得に多大な費用をかけずにすむのだ。「消費者が不足する」時代に大切なのは、まず既存顧客を大切にして、その声を丁寧に聞き、その声に応えたマーケティングを行って市場の勝ち組になることである。

最後にダイレクトマーケティングの始祖であり、当社の生みの親でもあるレスター・ワンダーマンが当社の創立20周年記念の講演で初めて示唆した「成功するすべての企業が知っているルール」の20番目をご紹介する。

 『会社は顧客の話に耳を傾け、顧客を理解し、そして顧客が必要とするメッセージを提供すべきである。さもなくば、顧客はあなたのメッセージを雑音と受け取り、誰もあなたの話を聞かないかもしれない。』まさに、電通ワンダーマンの仕事の哲学のひとつである。
                                
(株式会社電通ワンダーマン 代表取締役社長)

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