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変革へのコミットメント~学校経営にもイノベーション

category
ワンダーマン・ニューズレター
writer
池田 俊右
series
Wunderman's view No.82
date
2009年12月 3日
themes
コミュニケーション戦略

未曾有の危機がもたらした発想の転換
光陰矢の如(ごと)しで、2009年のWunderman's viewの最終発行となった今号では、多くの企業にとって非常に厳しいものがあったこの一年の締めくくりとして、ダイレクトマーケティングの本質についての読者の皆様の考えを、いま一度新たにさせてくれるであろう事例をご紹介したい。
 
皆様の多くは疾(と)うの昔に縁が切れて、その実情をあまりご存知ないであろう特殊な産業・・・「大学」についてである。

一部では「象牙の塔」とあがめられ一定の社会的権威と使命を持ち、そこで行われる経済活動の実態については、これまであまり世間に知られることがなかった大学。しかし、近年では、リーマンショックを引き金とする経済不況のあおりを受けての資金運用の失敗などにより、深刻な経営的危機に陥っている実態が白日の下にさらされ、その旧態依然とした体質に対し変革の必要性があちこちで取り沙汰されている。

「知名度」や世間で一人歩きする「評判」、「偏差値」などの力で、放っておいても入学志望者が集まり、受験料や入学金、入学寄付金、授業料などの莫大な資金を享受できた時代もあったが、少子化による学生数の恒常的な減少と相まって、今ではTVCMや交通広告、果ては高校に直接出向いてのPR活動に血眼にならなければ学校の存続そのものが危ぶまれるほど、経営基盤が脆弱(ぜいじゃく)になってきているケースも少なくない。(宣伝やPR費を使える余力のある所は、むしろ良い方なのかも知れない)

少々乱暴な言い方ではあるが、己のブランドバリューに寄っていた大学ほど、この問題は深刻のようだ。長い歴史と伝統の染み付いた古い体質や考え方を変えるというのは、とても難しいものである。

ダイレクトマーケティングへの開眼
金融経済の冷え込みだけでなく、社会の構造的変化がもたらしたこれらの大学の危機的状況は、営利企業が行うようなあからさまな経済活動から一定の距離を置いてきた、学校関係者とりわけ経営者のマインドに大きな変革をもたらし始めているのだ。それは、「消費者マーケティング」、特に「ダイレクトマーケティング」や「CRM(Customer Relationship Management)」分野へのパラダイムシフトである。

この変革とは、かつて一段高い所から見下ろしていた立場を自ら否定することから始め、受験生や父母を「プロスペクト(見込客)」、在校生やOB卒業生を「カスタマー(顧客)」ととらえ、彼らの要望を聞き、それに応えるという双方向コミュニケーションを基盤とする濃密な関係性を構築することによって、より長いタイムスパンで、さらに大きなビジネスプロフィットを得ようとする試みである。

これは、顧客個々が大学の経費と利益に将来寄与するであろうすべてのものを現時点で測った総価値、いわゆる「生涯価値(Life Time Value)の最大化」を目指すものであり、単に大学4年間のつきあいに留まらない。受験生の入学前囲い込みはもちろん、OBが卒業後に社会人となり、親になり、そして彼らの子弟を受験、入学させるという極めて長期的かつ強固なロイヤリティを構築・維持するための長いスパンでの「戦略」である。これを実現するには、当然ながら、大学側の「信念」とも呼ぶにふさわしい「意思とコミットメント」を要するのである。

もともと大学は、教育という「聖域」において「最高学府」と呼ばれるように「絶対的権威」であり、「顧客中心主義」的な発想はもとより、「お客様」に「サービスを買っていただく」という、商売の基本姿勢すら持ち合わせてこなかった。こういう大学が苦悩の末に、生き残りをかけて望みを託したのがダイレクトマーケティングの分野であったことは、筆者にとって実に興味深いものがある。

ブランド体験を通じた見込客・顧客のロイヤル化
マーケティング的発想において、仮に大学を「ブランド」と位置づけるならば、そのロイヤリスト育成には、適切な「ブランド体験」の機会を提供することが不可欠である。その最初の機会となるのが「オープンキャンパス」などの学校見学、つまり、これが学生にとって初めてのブランド体験であり、生涯を通じた長い付き合いの始まりでもある。ところが、ダイレクトマーケティングの本質にいまだ理解の浅い大学では、ここで大きな過ちを犯すことが多い。大学側が「見せたいモノだけを見せる」場にしてしまうのだ。

受験や入学をこれから検討しようという学生(見込客)は、既にパンフレットに書かれているようなありきたりのパブリシティにいまさら興味を持っているのではない。自分の興味や疑問に対する「誠意ある答」であり、「真摯な姿勢」であり、人対人のコミュニケーションを通じた「相互理解」である。リレーションシップの構築というのは、実はそのぐらい人間臭いのだ。

某大学関係者から当社への相談もまさにそれだった。
「オープンキャンパス参加者の受験する数が伸び悩んでいる」というのがその趣旨である。彼らのオープンキャンパスは、受験生の要望を聞くこともなく、学校説明とただ名物ゼミをいくつか観覧させ、校内の小ギレイな場所を案内するだけの、まさに大学側が「見せたい場所を見せる」だけのおざなりのものだった。

これに対し、私たちはオープンキャンパス施策の一環として、「受験生の要望を聞く」仕組みと、「受験生と在校生が対話する」仕組みを提案した。これはいずれも、「まずは受験生の声を聞く」ことが彼らのブランド体験の出発点となり、やがてそれが強固なロイヤリティへと結実するものであるという、当社のホームページでも紹介させていただいている「レスター・ワンダーマン 20のルール」の最後にもある「企業(大学)はまず『聞く』べき」という極めて基本的なダイレクトマーケティングの在り方を体現したものである。(お客様の戦略にかかわることであり、これ以上の詳細を紹介できないことをお許しいただきたい)

受験生にとって大学選びとは、彼らの将来を大きく左右する人生の岐路の1つであり、本来ならば広告やカタログで安易に選べるものではなく、どちらかと言えば、そのプロセスは「家」を買うのに似ているだろう。家を買うまでには何度も現地へ足を運び、そこで将来の生活を具体的にイメージし、もし何か疑問や不安に思うことでもあろうものなら不動産会社と納得いくまで話し合う。最近では、同タイプの物件に暮らす家庭を訪問し、生活者の生の声を聞かせる見学会も盛況である。つまり、受験生の声に耳を傾け、彼らの「インサイト」を充分に理解し、伝えるべきところを伝え、体験させるところは体験させ、彼らの生涯設計に共に知恵を絞るような姿勢が、これからの大学には求められているのである。これなくして、真の「ブランド価値」と「生涯価値」の確立は難しい。また、それは従来の「リーチ&フリクエンシー型プロモーション」で受験者数のみを稼ぐような発想からは決して生まれてこないアプローチなのである。

最後に、マーケティングを指向する大学がとるべきこれからの手順を、筆者なりにまとめてみよう。

  • まずは「顧客」の声を聞き、どうすればその声に応えられるかを検討
  • 「ブランド」にふさわしい優良かつ有望な「顧客」を選別しコンタクト
  • 価値ある「ブランド」体験を提供し、「顧客」のロイヤリティを向上
  • One to Oneコミュニケーションで「顧客」満足度の最大化を図る
  • 「ブランド」への思いを、「顧客」同志で共有&共感する場を提供
  • 使用期間」だけに限らず、その前後、さらに次のジェネレーションへと「ブランド」とのかかわりを保ち続ける ⇒LTV(生涯価値)の最大化

いうまでもなく、「顧客」とは「学生や父母」であり、「ブランド」とは「学校」、「使用期間」とは「在学期間」のことであり、このプロセス自体は、私たちが一般企業やブランドを相手に日々実践しているダイレクトマーケティング手法そのものである。その適用先が、たとえ大学のように本来マーケティングと縁の薄い産業であっても、じつは意外にもごく自然になじんでいるのである。(他の例を引き合いに出すなら、官公庁や公共サービスにも、同様のメソッドが適用できる。)

いずれにせよ、はっきりとしたビジネス上の問題意識と目的意識を持ち、変革のためのコミットメントを惜しまない経営マインドがお客様にあれば、それがどんな産業であろうと、きっと電通ワンダーマンの提供するダイレクトマーケティングがそのパフォーマンスを発揮できるものと確信している。 最後に、2010年が読者の皆様のビジネスにとって、大きな飛躍の年になることを願ってやみません。

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