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レスターの予言とこれからのマーケティング

category
ワンダーマン・ニューズレター
writer
落藤 隆夫
series
Wunderman's view No.85
date
2010年3月 4日
themes
その他

レスターの予言と新しいマーケティングの到来
当社は、この3月で創立25周年を迎えた。そこで今号では、ワンダーマンの創始者であり、当社の創始者の一人でもあるレスター・ワンダーマンが提唱、実践してきたことを、「レスターの予言とこれからのマーケティング」と題して書いてみたい。

レスター・ワンダーマンは、今から50年も前に新しいマーケティングを提唱している。1961年に、通信販売やダイレクトレスポンス広告とは違う「ダイレクトマーケティング」という言葉を作ったのである。

「私たちはコンビニエンス・リテーリングの時代に生きています。自宅で買い物ができる以上に便利なことがあるでしょうか・・・今後10年で、従来のような形の通信販売ビジネスはすたれていくことでしょう。代わりに登場するのは、ダイレクトマーケティングです。これは科学的な広告原理に基づいており、自動化の一層進んだ保管倉庫、出荷、料金回収方法による効率的な新しい販売方法です。」
(1961年ハンドレッド・ミリオンクラブでの講演)

それから10年後には、次のような予言を行っている。
「マスマーケティングとその小売りでは、細分化された市場が要求するさまざまな種類の製品を正しく扱うことはできない・・・メーカーと消費者の間では対話がもっと頻繁にされるようになる。マーケティングと広告は、両者の橋渡し役を務めることをますます求められる。同時に私たちマーケターはメーカーと消費者双方のニーズを代表していることを自覚しなければならなくなる。」
(1971年ダイレクトマーケティング・デイでの講演)

そして、その40年後の今日、消費者は自分の欲しいものをオンラインショッピングで入手することが当たり前の時代。それは、在庫に物理的な限りがある百貨店、スーパー、CVS(コンビニエンスストア)は行き詰まり、現在の多様化した消費者のニーズに100%応えられないことを物語っている。しかも、顧客自らが情報の発信者となって、気に入った商品やサービスがあれば自主的に推薦したり、気に入らないことがあればメーカーに注文を突きつけたりもするのだ。ピーター・ドラッカーは「ビジネスの目的は、顧客の創造である」と言っているが、いまや顧客が新しい顧客を創造することもあれば、一瞬にして破壊する時代でもある。
    
1971年にまた、レスター・ワンダーマンはメーカーと消費者の対話が作る新しいマーケティングを提唱したが、今日それを可能にしているのは、マーケティングのデジタル化、データ化による可視化である。そして、その流れは加速化していると言えるだろう。

Everything Is Measurable. Everything Should Be Measurable.
情報がデジタル化した今日においては、マーケティング活動の計測化と可視化は不可欠である。消費者のデジタルフットプリント(デジタル上の足跡)をマーケティングプログラムに上手に生かしたマーケターが、市場での勝者になるであろう。デジタルフットプリントは、消費者の声であり、消費者の行動結果であり、消費者の購買態度、ブランドとの関係性を明らかにしてくれる。しかもリアルタイムに、である。「デジタルはダイレクトである」とワンダーマン本社のデビッド・セーブルCOOが主張する理由は、データをベースにマーケティングROIを追求するダイレクトマーケティングの手法が、デジタル化によってどんなマーケティングにも適用できるからである。

かつてのジョン・ワナメーカー氏の格言「広告の半分が無駄なのは分かっているが、どちらの半分なのかが分からない」の時代には、消費者調査を仕立てなければ広告効果との因果関係は分からなかった。現在では、広告などのマーケティングプログラムが消費者の行動変化にいかに貢献したかを計測する手段はいくらでもある。少なくとも最大のマーケティング費用である広告費のマーケティングROIへの貢献度を、他のプログラムの効果と比較しながらデータによって可視化し、計測化していなければ、時代の先を行くマーケティングとは言えないのだ。

ワンダーマンのグローバルクライアントにおいても、データの計測がマーケティング活動の中心になっている。これらのクライアントでは、クリエーティブエージェンシーの活動も、メディアエージェンシーの活動も、デジタルエージェンシーであるワンダーマンが分析するデータがベースになっている。クリエーティブの効果、メディア配分の効果、すべてが可視化され、クライアントを含めたエージェンシー間で議論され、次のアクションにつなげていく。このことは、ある地域でマーケティングコミュニケーション施策が継続して行われ成功している場合、似たマーケティング環境にあればそこにもその施策を展開できる。世界中のマーケティング活動がデータ化されることにより、そのデータを礎(いしずえ)として国や地域ごとのアクションプランを決めることさえできるのだ。これもデジタル時代の申し子故である。そして日本においても、デジタルエージェンシーの役割が重要視される潮流にあり、電通ワンダーマンのお客様の一部でも、その流れに乗ろうとしている。

すべてのマーケティング活動は計測可能であり、計測すべきであり、そうすることによってより消費者ニーズに近づくことができるのである。

デジタルな会話がマーケットを作る
レスター・ワンダーマンが提唱したダイレクトマーケティングの考えの源流に、「マスマーケティングで失われた個人と個人の双方向の取引の回復」がある。
 
昔から日本にあった「御用聞き」のような取引である。御用聞きとは、商店などの販売員が定期的に得意先(家庭)を訪問して必要な品物を聞いて回り、場合によっては気を利かせて前もって届けてくれるサービスである。その得意先の家族構成や好みまでを把握した「御用聞き」は「歩くCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)」を実践していたわけである。顧客の囲い込みが目的ではあったが、同時に消費者にとっては買い物の手間を省いてくれる便利な役割を果たしていたのだ。勝手口での「御用聞き」と主婦との会話は、お互いにとっての大切な情報源であると同時に、取引を楽しむ場でもあったのである。信頼できる「御用聞き」はセールスマンでもあり、データセンターでもあった。この顧客と「御用聞き」の会話は、デジタル時代の今日では、人手に頼ることなくできるようになったのである。

もうひとつ大切なこと。デジタルな会話とは、消費者とマーケターの間だけで起こるものではないことである。消費者間でも起こることにも留意しなければならない。昨年のニールセン調査(米国)によると、世界中のインターネットユーザーの90%が「知っている人の推薦を信用する」、70%が「オンライン上の消費者の声を信用する」と言っている。その反面、半数以上の人が「オンライン上のすべてのタイプの広告を信頼できない」と言っている。このことは、消費者がオンライン上のコミュニケーションに何を求めているのかを如実に表しているのだ。

それは、時間と価値の交換である。能動的に情報を取りに行くインターネットの世界では、サーチ時間の消費に値するコンテンツを提供できるかが勝負。サーチする消費者が使う時間と手間を省くとともに、消費者の目線で真に求める情報(価値)を提供することが肝要である。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)では、仲間が会話の結果として価値ある情報を教えてくれる。比較サイトも同じように、商品情報をユーザー視点で教えてくれる。オンライン上で広告が見向きもされないのは、アテンションばかりを狙っているからではないだろうか?価値あるマーケティングメッセージは、広告という形態を取らない方がいいのかもしれない。ネット空間では、価値ある情報を提供できるものが、プロ、アマを問わずに勝者なのである。

1999年に公開されたWebの指南書である「クルートレイン・マニフェスト」では、「すべての市場は会話になる」と宣言している。産業革命以前の「楽市」や「スーク」(アラブ地方の定期的に立つ交易の市)などの市場は、そもそも相対取引の場であった。お客が商人と交渉し、商談が成立するためには、商品力だけではなく会話の力が必要であった。デジタルは、この市場における会話の力を取り戻したのである。情報力に優れるマーケターの力が圧倒的に強い時代には、一方通行の広告が大きな力を発揮した。しかし、消費者が情報発信する時代になった今、消費者の声が市場を作ることもできるのである。
 
このようなデジタルの時代、再び消費者との会話が市場を作る時代になり、レスター・ワンダーマンが願っていた双方向の取引の場が復活したと言えるだろう。

2007年には、レスター・ワンダーマンは「今日もっとも大切なのは、消費者との、消費者間でのデジタルな会話である」と述べている。デジタルな会話をどうマーケット作りに活かすか、顧客作りに活かすか、すべてのマーケターのチャレンジが始まったのである。

2005年、レスター・ワンダーマンは電通ワンダーマン20周年にちなんで、「成功する会社が知らねばならない19のルール」に20番目を加えてくれた。それは、『会社は聞くべきだ』。「あなたから話し続けるのではなく、語ると同じくらい聞くべきである。そこに対話の鍵がある」。

そして、今年の4月に、レスター・ワンダーマンは著書である「Being Direct(売る広告)」の中国語版の出版を記念して上海で講演を行う。次の時代のマーケティングを示唆する新しい予言があるのか。近いうちに、このニューズレターでご報告できると思うので、ご期待いただきたい。               

(電通ワンダーマン 代表取締役社長)

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