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「上得意ではない顧客」も「大切な顧客」~ロイヤリティ・フレームワーク導入のすすめ

category
ワンダーマン・ニューズレター
writer
小笠原 更
series
Wunderman's view No.90
date
2010年8月 5日
themes
顧客維持とロイヤル化

消費者の夢「楽しい百貨店」はどこへ行ってしまったのか?
小学生の頃の私にとって、百貨店は特別な存在だった。両親に連れられて行く、滅多に行けない場所であり、食事をしたり、屋上で遊んだりと、一日かけて楽しむレジャー施設のような存在だった。見るもの触るものが欲しくなる夏休みイベントや、大食堂で食べたお子様ランチの味は、「楽しかった」という記憶と共に、私の心の中に今でも残っている。

しかし、いま百貨店に行くと、そのように人で溢れかえっていた時代との差に愕然(がくぜん)とすることが多い。1階に設けられている化粧品売り場や、地下の食料品売り場はまだしも、平日ともなると2階より上のフロアは閑散としている。買い物客は50代以上が中心であり、10代後半から20代の若い世代はあまり見かけることがない。

かつて感じていた、「楽しい百貨店」というのはそこには存在しない。どの百貨店もあまり代わり映えがせず、重厚長大な内装と同じような品揃えで、何か時代に取り残されたような印象がある。「景気が悪い」「消費者の財布の紐が固い」と言ってしまえば簡単だが、百貨店の勢いがなくなった理由は、果たしてそれだけなのだろうか。

そこで今号のニューズレターでは、この百貨店業界の活性化をテーマに、筆者なりの考察をご紹介したい。

百貨店が見過ごしていた「上得意ではない顧客」
百貨店の業績悪化に大きく影響を与えた要素の一つには、競合となりうる他業種・業態の登場が挙げられる。大型スーパーの百貨店化、コンビニエンスストアの拡充、大型専門店、ショッピングセンターやショッピングモールの開業、ネット通販やネットショップの登場、さらには最近のファストファッションなどにより、顧客が次々と低価格の、手軽で便利な方へ流出する結果となった。

景気の悪化や、これらの競合となりうる業態の登場に対して、百貨店は何をすべきだったのだろうか?それには、「上得意ではない顧客」への取り組みを挙げることができると、私は考えている。

百貨店の中心顧客は富裕層である。上得意顧客に対しては個人外商の担当者が、顧客の職業や趣味、家族構成を把握し、宝石・貴金属・美術品などの趣味に合う商品の販売を中心に手厚いサービスを行っている。この層は、百貨店に対してのロイヤルティーが高く、差別的なサービス提供を行うことで大きな販売促進効果を生むと考えられ、実際に大きな利益をもたらしている。

個人外商が付かない次の得意顧客の層に対しては、「友の会」などの会員組織を作り差別化を図っている。百貨店カードの会員もロイヤルティーの高い得意顧客を囲い込むための施策の一つである。ここまでは、高度なOne to Oneサービスを実施していると言えるが、問題は休眠顧客(離反客)や新規顧客など「上得意ではない顧客」への対応がどのようになっていたのかである。

顧客がなぜ流出しているのかを把握し、迅速に対処できていれば、ある程度は流出を止めることができたのではないだろうか。10代後半から20代の、今までの百貨店の顧客とは違う新しい客層の特性を早くに手の内に入れていれば、高齢化による顧客の減少に対処することも可能だったのではないだろうか。

RFM分析の課題点
多くの企業では、売上データに対するRFM分析を行い、より貢献度が高い「上得意」に対して差別的なサービスを提供している。ここで見過ごしがちなのが、ロイヤル顧客以外の「上得意ではない顧客」ではなかろうか。ロイヤル顧客には手厚いサービスを行っているが、それ以外の顧客には手が回らず、放っておくということがままあるのではないだろうか。前述の百貨店の例も「上得意ではない顧客」をいち早く捉えていれば、手を打てることもあったのではないかと思う。

これは、RFM分析の構造的な部分に起因することが多い。RFM分析はトランザクションデータを元に、個人の購買履歴を追いかけることはできるが、顧客の心理変容、特に「ブランドに対する好意・態度」の変容を押さえることができない。顧客が離反した、あるいは新規顧客が増えたことは分かっても、その原因となる「なぜ?」までは追いかけることができない。

もちろん「ブランド調査」などで、顧客の属性別に態度を測ることはできるが、あくまでも客層別の傾向を見ることに留まり、ブランドに対する好意が高い層と低い層での売上に対する貢献度の違いや、特定の顧客のブランド意識が時系列的にどのように変化したのかまでは追うことができない。

顧客の心理変容と販売傾向を紐付けて管理する方法「ロイヤリティ・フレームワーク」
RFM分析だけでは、離反客とその原因となる態度変容を把握して、離反防止を図ることや、これから注力すべき新規顧客を特定して、継続的な囲い込みを行うことは難しい。このような問題を解決するために、電通ワンダーマンでは、独自のフレームワーク「ロイヤリティ・フレームワーク(以下LFW)」を開発し、お客様に推奨している。

LFWは、顧客をDesired Behavior軸(行動軸)、Depth of Involvement軸(深度軸)、Commitment軸(心情軸)の3つの指標で分類し、顧客の企業(または製品・サービス)に対するロイヤルティーを分析・把握するための手法である。それぞれの軸を3段階に分けた27のセグメント(3×3×3)に顧客をプロットし、それぞれのセグメントの特性を把握した上で、より上位のセグメントへ移動させるためのコミュニケーションを実施する。

Desired Behavior軸(行動軸)とDepth of Involvement軸(深度軸)は、RFM分析に用いる一般的なデータがあれば分析が可能だが、Commitment軸(心情軸)は、アンケートを中心に評価を行う必要がある。当社では、このCommitment軸(心情軸)のアンケートにおいても独自の評価指標とメソッドを開発、より精緻な顧客インサイト、心理変容を把握することが可能である。

LFW導入企業の多くでは、3カ月(四半期)に一度分析を実施して、顧客の購買動向と心理変容を把握し、ロイヤル顧客の特定と囲い込み施策はもとより、離反予備軍の顧客の特定とその特性や新規顧客の特性の把握を行っている。これにより、注力すべき顧客層を特定し、適切なビジネスプランを基にした営業戦略やマーケティング戦略の立案・実施が可能になる。

すべての企業にLFWが当てはまるわけではないが、前述の百貨店やカード会社、通信販売企業など、顧客の購買情報が確実に取れる業種では、LFWが活用できる可能性が高い。当ニューズレターの読者の中で、販売データだけではビジネスの課題が明らかにならず、いま何に注力すればよいかに迷いを持たれている営業開発部門やマーケティング部門の方には、ぜひ一度、当社にお声を掛けていただきたい。

百貨店の再生と発展
百貨店では、2008年以降、若年層向けのフロアを充実させるなど、10代後半~20代顧客の取り込み・囲い込みに力を入れ始めている。"カワイイ"をキーワードとした伊勢丹新宿本店「イセタンガール」や、19歳~20代前半をターゲットとした高島屋大阪店 「gokai」。大丸では心斎橋店に続き、京都店にも「うふふガールズ」を投入し、若年層の開拓に動いている。そして、2010年9月には東京の銀座・有楽町地区では最大の売り場面積となる銀座三越がリニューアルオープンの予定であり、百貨店業界の復権のバロメーターとして注目を集めている。

今、百貨店のこれらの動きを見るにつけ、富裕層を中心とした上得意顧客を囲い込む戦略から、上得意顧客を大切にしながらも、かつて「上得意ではなかった」新しい顧客層を開発し囲い込む戦略へと変化を見せ始めていることと思う。かつて、子供達やその家族に夢を与えていた「楽しい百貨店」が、現代の消費者にとっても夢を与える、「新しい百貨店」として復活する日も近いのかもしれない。

*記載されている会社名、製品・サービス名は、各社の登録商標または商標

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