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B2Bコミュニケーションにおける購買決定の価値判断

category
ワンダーマン・ニューズレター
writer
明石 智子
series
Wunderman's view No.93
date
2010年11月 4日
themes
B to B ビジネス

B2B(Business to Business)コミュニケーションにおける課題として、「人による営業アプローチをより効率よくできないか」「これまでの顧客との取引が突然なくなってしまった」「どうもオンラインでの継続コミュニケーションがうまくいかない」といった、相談や問い合わせをお客様などからいただくことがある。当社の過去の事例やそこで得た知見に関して説明させていただく際にお話することは、最近ではとみに、B2Bにおけるコミュニケーションでは、その戦略の基本的な部分は踏まえてアプローチするが、B2C(Business to Consumer)コミュニケーションの考え方や知見を応用していくことも考慮した方が効果的という点である。

そこで、B2Bにかかわる読者の皆様とともに、今の時代に捉えておきたいB2Bのコミュニケーション施策について、もう一度考えてみたいと思う。

購買の決定に関わる2つの要点
まず、B2Bにおけるコミュニケーションの要点について、B2Cと対比させながら整理をしておこう。

1点目は、B2Bでは購買の決定が、B2Cのように一人の主観的な価値判断で決まるわけではなく、購買の関与者が複数で多層にわたるなど、購買の意思決定の過程が複雑であることだ。提供する商品・サービスが戦略的な位置を占め、また高額になるほど、対象となる企業の現場の担当者・管理者、購買などの関与部門の担当者・管理者、各担当の役員など、かかわる部署、人やその役割が多岐になる。

ゆえに、ターゲットとなる層の存在とその役割と、それらにどのような順序でアプローチし、何を説得していくと購買意思決定者に効果的に到達するかを事前に把握して、それぞれに応じたコミュニケーションを図ることが肝要となる。

もう1つの点は「購買意思決定におけるターゲット心理」である。B2Cにおける感覚的な判断とは異なり、B2Bでは決定に際して、コスト、納期、スペックに加え、提供企業の社会的な信頼、過去の取引・利用経験の有無、営業担当者に対する評価など、合理的、客観的な面で決定される部分が大きくなる。

そのため、B2Bコミュニケーションを行っている企業では、購買担当者や購買意思決定にかかわるキーパーソンに向けて、売り込む商品・サービスの優位性、競合と比較しての差別化などから購買の正当性を説得するとともに、導入事例やデータなど、彼らが客観的に判断をするサポートとなる、情報の提供に重きを置くことが多いのではないかと思う。

顧客購買行動に現れた変化とは
近年、B2Bを取り巻く事業環境は大きく変化した。商品・サービスを提供する企業の間では、商品・サービスの均質化、近似化などにより差別化が難しくなり、また、個のつながりによる人的な営業活動にも困難さが見え始めている。そこで、効率的な営業活動を組織的に実践するための1つの施策として、プロモーションの役割がより重要になってきている。

新聞などの媒体やイベント、DMなどを通じて、Webへ誘導してお客様情報を登録してもらうことにより、一度に多くのターゲットをスピーディーに獲得。その購買関与度合い別に見込み度を判定して、その見込み度の高いお客様を中心に、効率よく営業活動を行うという、クロス型のコミュニケーションが大切なのである。その際に、ターゲットとなる購買関与者の役割やニーズ、評価基準に合わせて、最適な提案を迅速に行うコミュニケーション活動がポイントとなってくる。

この中で、新たに着目しておきたいのが、購買関与者の評価基準について、変化が見え始めている点だ。「B2B購買関与調査」(出典:AD Studies Vol.32 2010「B2Bコミュニケーションの新たな基軸」余田拓郎著)によると、「業者選定はもっぱら製品・システムなどや、提案内容の客観的・合理的な判断に基づいているか」という問いに対して、"そう思う、ややそう思う"の回答が、約50%であるという。さらに、「企業や商品などに対するイメージや世評が業者選定に少なからず影響している」については、60%を超える回答があるという点だ。

これは、提供企業側からの営業フォローが成されている場合はまだしも、緻密な営業フォローがなく、関係性が十分に築かれていない場合には、「この企業は、あまり好きではない」といった感情的な理由から、取引の非継続につながってしまう可能性があることを示唆している。

従来は、客観面・合理面での購買判断が成されてきたB2Bコミュニケーションであるが、今、考慮しておきたいのは、情緒的な感情面での判断基準が半分以上を占め始めている点である。つまり、あらゆる顧客企業との接点において、企業に対する信頼、評判、姿勢など、購買関与者の感情面を捉えたコミュニケーションに目を向けているかどうかなのだ。

これは、企業への好ましい感情をもたらし、共感を得られるようなコミュニケーションを心がけて、それがあらゆる顧客の層と接しているかが鍵となる。結果、取引の継続はもちろんのこと、初めてコンタクトする顧客企業との営業員による人的なアプローチをも容易にし、購買関与者をうまく巻き込んでの商品・サービスの購入に結びつけることができるようになるのだ。

顧客企業に届けたい「好ましい感情」
では、感情面を捉えたコミュニケーション事例として、B2Bの通販型PCの例をご紹介したい。この企業の商品は、競合と価格競争を日々繰り広げており、Webや新聞などの広告を通じて、「価格」を判断基準に購入されるケースが多かった。また、商品購入などにより登録のお客様には、Eメールでキャンペーンや新商品情報をお知らせし、定期的にWebサイトへの誘引を行っていた。常に、お客様との関係性を保ち、お客様のニーズを知ることができるアンケートも用意をしていた。

しかしながら、当該企業ではアピールできる商品の優位性がありながら、競合企業との価格競争にさらされ、顧客からのアンケート回答などからも、購買担当者の導入の判断基準が「価格」であったために、それを覆すことができずにいた。それに加え、一度、顧客となったにもかかわらず、増設や他ジャンルの商品の購入に、必ずしも至らない状況にあった。そこで、当社が導き出した対策は、価格でない評価基準をターゲットの心の中に残すことであった。

コミュニケーションとしては、当該企業の商品に対する「こだわり」「ビジョン」「信頼性」「開発の舞台裏」「エコへの取り組み」などを、担当する社員の方が登場してその思いを語り、読み手があたかも社内見学をしているような気持ちとなるような読み物を作成。顧客の担当者の手元に残るように箱型のDMとしてシリーズで送付した。また、それは、受け取った担当者のみならず、購買関与者、影響者にも回覧できるよう工夫を凝らすと同時に、お客様のニーズや声を知るためのアンケートに彼らが個々に回答できる仕組みとした。

アンケート結果として興味深いのは、読み物に対する評価が想定以上に高く、「会社の企業努力と誠意が伝わった」「姿勢を見直した」「良い商品だけでなく、環境への取り組みがわかった」など読んだ後で、その企業に対する認識・イメージが変わったと答えた方が多数にのぼったことだ。また、回を重ねるにつれ、社内購入時の検討資料として役立つという回答の率が高まったことも、効果として現れた。

通販型であるため、価格訴求が中心となり携わる社員の姿勢や意気込みが見えにくく、企業や商品の信頼や品質が伝わりにくいという面を改善。最新の商品メッセージを知らせるEメールと、社員の分身となって、「個」の説得ができるリアルなメディア(箱型DM)とを組み合わせてコミュニケーションすることで、企業に対する好ましいイメージを、ターゲットの心の中に残すことができた例といえる。

心の小箱に残したいことを描く
マスメディア、交通広告、Web・メール、カタログ、イベント、ソーシャルメディアと、ターゲットが接するオン/オフメディアを駆使して、日々、読者の皆様も、顧客企業のターゲット・購買関係者のニーズを知り、その関係性を保つためのコミュニケーション施策を模索し実践されていることであろう。

その際に、


  • Webで掲出する情報が、商品カタログをそのまま流用しているようなことになっていないか?

  • 手元に届けられるDMでは、会社のビジョンを相手に語りかけ、心をゆさぶる説得がなされているか?

  • WebやEメールでは、キャンペーン情報ばかりでなく、顧客の声を聞き相手が必要とする役立つ情報をお知らせしているか? 

  • それらに、好意を抱いてもらうためのアイデアを入れているか?

  • このようなコミュニケーションを順序よく、立体的に組み立てて、好ましい感情を引き出しているか?

  • リテンション活動においては、商品開発のヒントともなるような声を、お客様から引き出せるまでに関係性を高めているか?


などを、今一度、吟味してみることで、B2Bコミュニケーションにおける見直しのチェックポイントにしていただければと思う。

ターゲット企業の担当者が心変わりしていないかなどの変化や、どの層での購買行動が売りに直結しているのかを購買データ、アンケート、ログ解析などから探り続けていく。そして、もう1つ、忘れていけないのは、「どのような印象・感情がターゲットの心の小箱に入っているのか」を絶えず考え、コミュニケーションのストーリーをつくることである。

B2Bにおいても、B2Cでのコミュニケーションと同様に、ターゲットは一人の消費者であり、ターゲットの本音を知るための「洞察」を行い、横のつながりをもたらしにくい企業内においても、相互で話題にしたくなるような「刺激」を提示して、心をつかみ、関係性を高めていくことが重要なのだ。そのためには、感じてほしい気持ちを芽生えさせるような、企業からのコミュニケーションを、あらゆる顧客接点で一貫性をもって繰り返すことではないかと思う。これは、短期的に解決できるものでもなく、長い目で腰を据すえて行う必要があろう。
最後に、ダイレクトマーケティングの父である、レスター・ワンダーマンの「成功する会社が知らねばならない20のルール」の中から、8番目のルールをご紹介して、筆をおかせていただく。
「関係を創造する」
関係は育ち続けるが、偶然の出会いは育たない。買い手と売り手の関係が良好であればあるほど、利益は大きくなる。

*当ニューズレターの執筆に当たっては、以下の文献を参考にしました。
財団法人吉田秀雄記念財団 研究広報誌「AD Studies Vol.32(2010)『B2Bコミュニケーションの新たな基軸』」余田拓郎著

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