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「新しい普通」とこれからのマーケティング

category
ワンダーマン・ニューズレター
writer
落藤 隆夫
series
Wunderman's view No.100
date
2011年7月 7日
themes
その他

新しい「普通」の始まり
3/11が教えてくれたこと。それは「絆(きずな)」の大切さではないのだろうか?震災後に増えた結婚や婚活ビジネスの活況なども、それを物語っていると言えよう。一人より二人。そして家族、友達、仕事の仲間、隣人など、人と支え合う力の大切さを痛感したのである。同時に、普段は当たり前だった人との絆がいとも簡単に断れてしまうという現実に、絆の貴さが余計に身に染みたのである。

マーケティングにとっても、3/11は大きな変化をもたらした。サプライチェーンの復旧に時間がかかり、売りたくても売ることができない状態が続いているうちに、消費者はその多くがなくても十分に暮らしができる不要不急な消費であることに気づいてしまった。同時に電気を当たり前のように使う暮らしには戻れないことを認識し、節電生活が当然のものと覚悟を決めたのである。消費生活における価値が、この3/11を境に大きく変わってしまったと言えよう。

震災前の「普通」は、本当に当たり前のことだったのだろうか? この価値観の変化の中で、消費者は寄り添い続けるに値するブランドかどうか、商品やサービスの値踏みを始めている。新しい「普通」の意味を思考しながら、ブランドと消費者との新しい絆作りを考えなければならないのではないだろうか?

「信頼の絆」というビジネス
スーパーの野菜売り場やレストランで見かける光景に、産地で野菜を作っている人の写真とプロフィル紹介がある。その写真を見るだけで作り手の人柄がよく理解できて、どんな広告やPOP(Point Of Purchase)よりも説得力を感じてしまうことがある。作り手の気持ちが野菜に込められているのがよく分かり、他の野菜よりも高くても買って味わいたくなる。風評被害に遭っている野菜だって、普段からプロフィル付きで売っている農家の人が「自分も食べているから安心して食べて欲しい」と呼びかけることができれば、見えない不安から買い控えることも少なくなるのではないだろうか。

普段から売り手と買い手の顔が見える信頼関係を作ることは、本当に大切だと思う。ソーシャルメディアなどのデジタルテクノロジーを利用すれば、両者の間の絆作りは決して難しいものではないはずである。ダイレクトマーケティングを提唱したレスター・ワンダーマンが主張する「売り手と買い手の顔が見える商取引の復権」が、これからのマーケティグのキーワードになるように思えてならない。

当社のクライアントから東北地区の支援ビジネスを一緒に考えようという話をいただき、被災地のビジネスの近況が確認できるサイト設立の提案を行った。ビジネスを再開したいが、どの会社が営業しているのかわからない・・・そんな被災地のニーズに応えるために、4月下旬からサービスを開始した。サイトを通じて必要とする会社同士の顔をつなぐことでビジネスが成立し、少しでも復興のお役に立てればとクライアントともども願ってやまない。そして、この困難を互いに乗り越えながらビジネスとしていく中で信頼の絆が生まれれば、レスター・ワンダーマンの思いが具現化したことになる。

売り手と買い手が顔を見ながらのやり取りを通じて、信頼の絆を深め、相互にビジネスが拡大するウィン・ウィンの関係を作る。ひと昔前に行っていた「市場での顔が見える商取引」は、デジタルテクノロジーの進歩で、直接顔をつき合わせなくても簡単に実現できるようになった。しかしながら、取引が成り立つ前提には、リアルな信頼の絆の存在があるのだ。

同じことは、ブランドと消費者の間にも言える。売り上げは顧客がもたらすものである。売り上げがあるからといって、顧客との間に信頼の絆が結ばれているとは限らない。ブランドもブランドの背後にいる「人」の顔を見せて顧客と接すれば、顧客も心を許してくれるはずである。そこで初めて「売り手と買い手の顔が見える商取引」が成立する。そこから信頼の絆をベースとしたビジネスが発展するのではないだろうか?
  
共有のマーケティング
信頼の絆は一朝一夕にでき上がるものではない。時間がかかるのである。マーケティングという顧客へ向けた投資が必要である。なぜなら顧客だけがモノを売り上げに変える。他のモノに代替できない効用体験を顧客にもたらして初めて、ブランド価値を生み出す。商品やサービスを通じた体験や、コールセンターや店頭でのサービスと対峙(たいじ)した顧客の反応は、決して嘘をつかないブランドの真実である。その結果は、リピート購入または離反、売り上げまたは損失として眼で見えるからである。顧客のブランド体験ほど本物の声はないのである。

ファンの声を聞きながら軌道修正を繰り返すAKBのビジネスは、まさに顧客と共に寄り添いながら作り上げる共有のマーケティングそのものである。AKBの総選挙とは、ファンが参加してAKBというブランドを作り上げる手段である。これからのマーケティングに、このAKBマーケティングが一つの示唆を与えていると思う。

顧客のブランド体験の声を将来のマーケティングに反映することで、顧客が顧客を生むサイクルを作ればマーケティングはもっと効率的になるはずである。顧客と寄り添いながらブランド体験を共有化し、共にブランドを育てることが共有のマーケティングである。顧客がブランドを作る物語に参加することで、その絆は離れ難いものになるのだ。

顧客のブランド体験の声を拾うには、社外にあるデジタルな顧客の足跡としてのデータと、社内に点在しているさまざまな顧客データ、顧客接点で寄せられた声を統合・分析すればよい。賞賛も文句も、顧客によるブランドへのSWOTアナリシスとして受け止めて、その声をマーケティングに反映することである。ブランドに自分の声を聞いてもらえれば、顧客は自(おの)ずとファンになって声援を続けてくれるようになる。

当社のあるクライアントでは、顧客へのサービスとして企業哲学の「おもてなし」が社内のすべてのセクションに徹底され、それが顧客の獲得と維持につながっている。お客の声をマーケティングに反映することが「おもてなし」そのものであり、社員一人ひとりの「おもてなし」がブランド価値を強化し、顧客の離反を防ぐとともに、新しい顧客の獲得につながることを知っているからである。少なくとも、顧客にはブランドの声が聞こえ、その後ろにある「人」の存在を感じてもらえる。

顧客は、売り手の「人」としての顔が見えることで信頼感を醸成する。「おもてなし」を重視するこのクライアントの場合には、コールセンターの受付担当者がその任を負っている。顧客一人ひとりと「人」として接することにより、顧客満足は高まるのである。そして何よりもソーシャルメディアをうまく使えば、自ずと売り手の顔を見せることができる。ブランド体験を高める顔の見せ方を工夫すべきである。

レスター・ワンダーマンは、成功するダイレクトマーケティングのルールの中で「ブランド体験を作る」ことの重要性を強調している。顔が見える取引への第一歩は、顧客が価値を見出す商品やサービスの提供である。そして、パッケージ、売り場、アフターセールスなどのさまざまなコミュニケーションで伝える際に、できるだけ「人」と「人」の会話にすることが肝要である。

そこで生まれた売り手と買い手の対話を顧客の声として受け止め、ブランドの物語作りに生かす。顧客の声からブランドの真実を探し、デジタルテクノロジーをリアルな絆作りに活かせば、ダイレクトマーケティングの真髄である「売り手と買い手の顔の見える商取引」が実現すると信じている。

電通ワンダーマンでは、商取引の結果の責任を共有(Shared Accountability)させていただくことで、顧客を育成するという同じ思いの下に、クライアントとのビジネスパートナーとしての絆を強固なものにすることを目指している。

最後に
3/11から4カ月が過ぎようとしている。あの日から1週間は、すべてのビジネスが滞り、顧客の姿が消えてしまった。それは同時に、ビジネスは顧客が支えているものだと痛感した一瞬でもあった。顧客と一緒にビジネスが育つ関係を作れるのか。新しい「普通」の時代のマーケティングには、顧客との絆の再興が求められているのではないだろうか。

そして最後に、今回の東日本大震災で被災された方々には慎んでお見舞い申し上げるとともに、被害を受けた地区の一日も早い復興をお祈り申し上げます。 

                 (株式会社電通ワンダーマン・代表取締役社長)


*記載されている会社名、商品・サービス名は、各社の登録商標または商標です。

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