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デジタル×アナログで相乗効果をもたらすコミュニケーションとは

category
ワンダーマン・ニューズレター
writer
明石 智子
series
Wunderman's view No.160
date
2017年4月21日
themes
クリエーティブ,コミュニケーション戦略,新規顧客の獲得,顧客維持とロイヤル化

 今年で第31回目を迎えた全日本DM大賞ですが、8回目の最終審査委員を務めさせていただきました。今年は、例年に比べ多種多様な業態の企業から応募があったこと、SNS連動やブランド醸成を狙った成功事例も多く見られたこと、各課題に対して分析による把握と戦略設計はもちろん、特にコミュニケーションの仕掛けやクリエーティブに秀逸なアイデアがあったのが印象的でした。

 デジタルマーケティング主流の中で、ダイレクトメールというカタチがあり、直接、顧客に届けることができるメディアとデジタルを有効に組み合わせることで、大きな相乗効果をもたらすことができるのを改めて実感もしています。

 どのような場面でDMを投下すると効果的なのか、受賞作より施策概要、成果、優れた点、そして、応用のヒントを交えながら紹介させていただくこととします。


■タイミングを捉え、自然なコミュニケーションで知人紹介を実現
【施策】
新居を持つというのは人生の大イベント。特に入居したてのタイミングは住宅を皆に披露する時期で、知人を新居に招くことも多く、最も知人紹介の効果が高い時とも言われています。そうしたタイミングを捉えアプローチに成功したのが、今年のグランプリ&金賞を獲得した滋賀県にある大兼工務店のミニ新居DMです。
企業から新居完成のお祝いの意も込めて、新居を建てた際の案内状として使用できる「転居のお知らせ」をプレゼント。転居のお知らせキットは、各家の設計図を基につくったミニチュアの家と、夫婦と子どもなど、家族の構成にあったイラストが、あたかもそこに暮らしているかのように飛び出すカードになっています。この一家だけのオリジナルカードが届く仕掛けです。

【結果】
ミニ新居を転居のお知らせに使いたいと申し込んだのが10組。220名の知人にこのカードを送付

【Good Point】
注文住宅市場では、クチコミや紹介から商談に結びつくことが多いと言います。引き渡し直後からどうしたらお客様がクチコミを発してくれるのかを考えるのが大事にもなってきます。当DMの優れている点は、自然なコミュニケーションでの知人紹介やクチコミを発生させ、ブランド認知させている点です。企業側からは、お祝いの気持ちを「新居完成のお祝い」として届けることで顧客のロイヤルティを高めることができます。一方、顧客は、嫌味なく自然な形で知人に新居のことを伝えることができるのがポイントです。例えば、この後、新居でのパーティーで知人を招き、当カードとともにどこで家を建てたのかなどを話題にして、オーナーの口から直接に当工務店のことを紹介してもらえることが期待できます。顧客の体験から伝えられる紹介なので、説得力も増してくるに違いありません。机に飾ってもらったり、SNSでの話題性の効果も期待ができます。もらって嬉しい、さらに送って嬉しい、話が弾むきっかけが生まれる仕組みです。
知人紹介では、紹介のしやすさがカギとなります。また、オリジナリティ、One to One、立体カード、温かみなど、デジタルとは一味違うコミュニケーションが参考になるのではないでしょうか。


■SNSでも効果抜群、出演者からの感謝の手紙
【施策】
TBSテレビでは、番組『モニタリング』が毎週木曜日の2時間のレギュラー放送となったことを受けて、ファンづくりの目的で視聴者へ「出演者からの感謝の手紙」を届けています。DMは水引デザインの封筒とメッセージカードの構成で、出演者の手書きメッセージ(直筆の複製)が届くという洒落た趣向となっています。

【結果】
SNSでは全出演者のDMを集めようとコレクション
話題喚起と長期的な番組ファンづくりの有効な手段として寄与
 
【Good Point】
マスコミでのDM活用というのが斬新でした。SNSでの効果をあらかじめ見込んでDMを設計しています。手書きのメッセージは各出演者の個性が感じられて、まさしくもらって嬉しく、みんなに見せたくなり、ありがたみがあるもの。そして、番組を応援する気持ちにもつながる効果もあります。購入を促すためにターゲットの理解・説得促進での役割を担うことが多いDMですが、話題喚起やブランディングという観点でのDM活用が参考になります。


■浄水効果を体感できる実験キットで継続利用を促進
【概要】
浄水器を提供するタカギは大東建託と連携。同社の物件で浄水器を標準設置していますが、浄水カートリッジの継続利用率は54%(契約後4ヵ月未満)程度。解約した顧客に定性調査をしたところ、浄水効果を実感できていない無関心層が存在することがわかってきました。そこで浄水効果を体感できるDMを企画。プレゼント型のボックスを届けた。開封すると飛び出す絵本の仕立てとなった読本が現れます。浄水がおいしくなる理由、おいしい水を感じられる料理、費用などを訴求。さらに、カートリッジの使用前と使用後でビジュアルにわかる実験キットをつけることで、浄水の効果が体感できる仕組みとなっています。

【結果】
カートリッジの継続利用率を62%に向上

【Good Point】
解約者への調査を行いターゲットのインサイトを把握して、課題を抽出し、的を絞って対策を練っています。とりわけ、無関心層を惹き付けることが継続利用の要であり、決定の声が大きいと思われる女性の理解を得るためのシナリオを考えています。カートリッジとともに「飛び出す絵本」が同封されており、思わず手にして、テンポよく読み進めてもらえる構成。コンテンツも女性が気にする水についてのテーマで、イラストも交えることで、自主的に楽しみながら読んでもらえる展開です。効果がひと目でわかる「実験キット」は、他にはない新しい仕掛けでもあり、理科の教材を彷彿させ、つい試してみたくなるアイデアです。構成や実験キット同封など、無関心層を振り向かせる際の参考にしたい作品です。


■脅威の疑似体験を促して、契約更新率を向上
【概要】
商品のウイルスバスターの契約更新率の向上を目的に、顧客にDMを送付したのがトレンドマイクロです。当企画では2回にわたりDMを送付。第1弾では手軽に開封が可能なはがきでアプローチして、マルチデバイスの認知とインストール方法を告知しています。2弾目では、封書タイプを採用。事前の調査から、不安を感じていながら対策がうたれていないスマートフォンにテーマを絞って、ABテストを実施しています。封書DMでは、開封するとウイルスの形をしたクリップが床にばらまかれ、ウイルス感染を思いがけず疑似体験させる仕掛けとなっています。

【結果】
第1弾 8.1%、第2弾 Aは8.1% Bは12.3%獲得
スマートフォンの登録増加、更新率ともに成果

【Good Point】
このDMで参考になるのは、当サービスはマルチデバイス対応でありながら、調査から導いた仮説に沿って、スマートフォンでの対策にテーマを絞ってストーリーを構築している点です。また、ターゲットに関しても、宛名本人だけでなく、家庭に届くDMであることから、家族の巻き込みを意識していることが窺えます。ばらばらと散らばるウイルスの感染イメージを体験してもらい、家族皆での話題としてもらうことが意図されています。クリップにもなるウイルスのデザインはユーモラスで、保存性も考えられています。DMで完結させず、スマートフォンへの動線も確保することで、レスポンスに寄与することができています。
契約更新の行動は、忘れてしまったり、面倒に感じたりする場合もあるものです。ターゲットに体験を促すという刺激を与え、記憶に残すことで、顧客が自発的な行動を誘発できる好例ではないでしょうか。


■複数商材の利用促進に成功して客層拡大
【施策】
買取サービスを展開するコメ兵は、ジュエリー、時計、バッグ、衣料の4商材をメインに買取を行っています。複数商材を利用する顧客は少ないため、当初は商材ごとでの常連客に絞ってアプローチしていました。当DMでは、客層を広げる目的で顧客データを分析。購入歴や属性などから予測した買取見込み客に、圧着タイプのDMを送付しました。

【結果】
ジュエリー買取サービス未経験者からレスポンス獲得、一人当たりの買取金額が増加

【Good Point】
データから予測することで、ジュエリーの買取利用の確度が高い見込み客の対象を絞っています。さらに、当サービスを利用したくなるクリエーティブ はひきこまれるストーリー展開。表側には「ご存知ですか?一般的にはひと家庭あたり16万円分の買取可能商品が眠っていると言われています。」という気になるコピー。さらに開封すると、「片方だけのピアス、切れたネックレスなど、あなたの想い出とともに眠ったままのジュエリーはありませんか?」という問いかけがジュエリーの写真とともに現れます。順序よく開けられる圧着形状の利点を生かして、買取額の参考例、買取金額アップのクーポン券などが次々と現れるストーリーが巧みです。
想い出のあるジュエリーを手放してもコメ兵であれば大切に扱ってくれそうという企業の真摯な姿勢も感じ取ることができます。データ分析で絞り込むターゲットの精度を上げ、企業側の想いも込めつつ、読み手は自身が持つジュエリーのことを想起して行動に結び付けている構成。ターゲット抽出やニーズ喚起が決め手となるクロスセルの場面での参考としたいものです。


■新サービスのトライで休眠顧客の呼び戻しを実現
【概要】
開店から20周年を迎えリニューアルしたTSUTAYA三軒茶屋店。サービスも充実を図っていたが伸び悩んでいたと言います。2ヵ月間来店しない顧客は大幅に離反率が高まる傾向があることから、休眠客に向けて当DMを送付して再来店を促し、新サービスを利用してもらうことを狙いました。来店誘導の仕掛けとして考えたのは、同店を喚起し、実際に店内で使用できる専用マイバッグ、売場担当者 の似顔絵入りおすすめ店内案内マップ、手書き風のクーポン券などのアイデアでした。

【結果】
来店率 56%、約1ヵ月月間の利用回数は全体平均の1.5倍、新サービス利用率は3倍の効果

【Good Point】
休眠客の場合、Eメールなどでのアプローチでは気持ちが離れているため呼び戻しが難しい部分があります。その点、直接手元に届くDMでは、仕掛け方次第で大きな効果を生み出すことが期待できます。当DMでは、休眠客が再来店したくなるアイデアが満載。同店を想起させ、ショップに持参して実際に使用できるマイバッグ、店員の似顔絵で親しみがわく立体的な店内マップは手に取って見てしまうもの。店員のおすすめの言葉もありこれなら行ってみようかなと共感できる構成です。クーポン券もショップの手作り風で自分だけに届いたような限定感を醸し出している。手書き風や店舗スタッフの顔が見える親しみやおもてなしの演出がうまく成されています。また。すべてのツールが行動喚起を意識して設計されているのもポイント。一度心が離れてしまった顧客への関心のつかみ方、実際に休眠客にアクションしたらどうしたら動いてくれるのかで参考になる作品です。


■ブランドおよびCSR活動の理解促進
【概要】
商品を繰り返し買ってもらうには商品のベネフィットのみならず、企業の活動姿勢を理解してもらうことも大切です。それを解決したのがオルビスのクリスマスカード。同社の課題は、顧客への情報提供が商品情報に偏り、ブランドに対する理解度やCSRの認知度が低い点にありました。そこで、ロイヤル顧客に向けてクリスマスカードを送付。カードとともに、山梨県甲州市で社員が里山再生に取り組む「オルビスの森」で採った間伐材を使用した「リスのしおり」を添えて送りました。

【結果】
例年のクリスマスカードの約4倍の反響

【Good Point】
顧客に向けてのコミュニケーションはとかく商品やキャンペーン情報に集中しがちです。当DMでは、従来の情報発信では伝えきれないブランド価値や企業の想いを、常連のロイヤル顧客に絞って、感謝の気持ちを込めて届けることで、顧客の心の中にそっと入りこみ、記憶に留めてもらうことに成功したことにあります。リスのしおりも、サプライズでもらって嬉しく、身近で役立ててもらえるもの。直接的なセールスには直結しないかも知れませんが、デジタルとは違ったアプローチでロイヤルティを高めていく際の参考となります。


*第31回全日本DMの受賞作はこちらからご確認いただけます。
https://www.dm-award.jp/award-31/


■DM活用まとめ
今年のDM大賞受賞作品から、DM企画の成功ポイントを以下に列挙します。企画の際の確認点としてお役立ていただければ幸いです。

 ・DMが有効となる場面があるのか顧客ステージから探してみる
 ・デジタル連動やブリッジを考えてみる
 ・ロイヤル顧客、休眠の予兆がある顧客など、
  課題を解決したいターゲットを絞り込む
 ・ターゲットの心理やインサイトを定量・定性の両面から把握し、研究する
 ・行動のゴールを決めて、そこに向かってプログラムを設計する
 ・時系列、ステップ型など、ターゲットが必要とするタイミングでの
  ストーリーを描く
 ・SNSでの展開を意識する
 ・話題性、サプライズ、役に立つモノ、ひと言の決めコピーなど、
  心をつかむクリエーティブにこだわる

最後に、企業の真摯な姿勢を伝えるなど、ブランド価値を高めるコミュニケーション方法としてDMはさらに活用の余地がありそうです。顧客の心の中にどのように印象を残し、刺激し、心理変容を促していけるのか、これからのDMの発展にますます期待したいと思います。


第31回全日本DM大賞最終審査員
株式会社電通ワンダーマン
明石 智子


参考文献:全日本DM大賞年鑑2017年ダイジェスト版
※掲載されている商品・サービス名は各社の商標・商標登録です。

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